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悲運の全盲落語家…電車に引きずられ重体

笑福亭伯鶴さん
笑福亭伯鶴さん
Photo By 共同

 全盲の落語家・笑福亭伯鶴(はっかく)さん(51)=大阪市淀川区西三国=が1日、自宅最寄り駅である同区の阪急宝塚線三国駅ホームで、梅田発雲雀丘花屋敷行き普通電車に接触して引きずられ、脳挫傷と両脚骨折で重体となった。関係者によると伯鶴さんは、8日に出演する予定だった寄席の打ち合わせをした帰りだった。吹田市内の病院で治療中で、意識は戻っていないが容体は安定しているという。

 伯鶴さんが事故に遭ったのは1日午後11時ごろ。三国駅に降りた伯鶴さんが先頭車両付近で電車に接触し、列車とホームの間に足を踏み外した。利用客が気づき、駅係員に通報した。駆けつけた係員が、ホーム端の柵の外側で倒れているのを発見した。

 淀川署では誤って接触した可能性があるとみている。脚をホームと電車に挟まれたまま、約15メートル引きずられた可能性が高く、詳しい状況を調べている。

 人権問題などにも積極的に取り組んでいる伯鶴さんは同日午後7時ごろから市内の飲食店で、8日に北区の天満天神繁昌亭で開かれる「お笑い人権寄席」出演に向けての打ち合わせを終えて帰宅途中だった。同席した関係者は2日、「お酒は飲んでいたが、酔っている感じではなかった」と話した。この関係者は電車にも同乗。伯鶴さんは先に1人で電車を降り、出口に向かったが、ホーム中ほどにある柱にひっかかるような感じで方向感覚を失い、反対方向の先頭車両の方に向かって歩いていたという。

 阪急電鉄によると、運転士(31)や車掌(28)は事故に気づかず、電車は通常運転を続けた。

 車両側面には2両目から最後尾の8両目に引っかいたような傷があり、8両目に血痕が付着していた。ホーム下には、伯鶴さんが使用していた視覚障害者用のつえが落ちていた。当時、駅員はおらず、ホームが左にカーブしており、最後尾の車掌からは事故現場が見えにくい構造。伯鶴さんが柵を越えて倒れていたため事故に気付かなかったという。

 生まれつき目に障害があった伯鶴さんは、中学生のころ、ラジオで落語を聴き興味を持ち、素人が参加するテレビに出場。高校卒業後、番組で審査員をしていた六代目笑福亭松鶴に入門した。

 ◆笑福亭 伯鶴(しょうふくてい・はっかく)本名・丹羽透。1957年(昭32)2月26日、東大阪市出身。大阪府立盲学校(現・視覚支援学校)を卒業後、六代目笑福亭松鶴に入門。古典落語のほか新作にも挑戦し、風刺の効いた話を演じている。98年から点字新聞「点字毎日」で、月1回のコラムを連載中。

[ 2008年12月03日 ]

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