オバマ米次期大統領が国務長官にクリントン上院議員を起用したことに、期待と不安が交じる、と報じられている。政敵をあえて腹心に取り込むのは、冒険に違いない 麻生政権にも、総裁選を戦った与謝野馨経済財政担当相が副総理格でいる。が、ナンバー2の振る舞いとしては、首相がぶち上げた定額給付金に対して、所得制限の注文をつけたのが記憶に新しい。「腹心」の異論で給付金は迷走し、支持率を下げた ナンバー2の大切さや厄介さを思うとき、身近な例として加賀藩祖・前田利家が浮かぶ。豊臣秀吉の腹心として天下取りを実現させ、徳川家康とは覇権を争わずに戦乱を終わらせた。「天下第2の男」と称される もっとも、利家は天下取りの野望を抱いていた、と見る研究者もいる。それなら、その野心を抑えてナンバー2として重用した秀吉や家康のしたたかさが際立つ 歴史のせんさくや、海の向こうの新政権の動きよりも、気になるのは、わが身を取り巻く揺れ動く政治である。現政権や明日の政権を担うかもしれぬ面々の中に、利家役を見事に演じる人材がいるのだろうか。
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