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社説:クラスター爆弾 地球で使えない兵器となれ

 市民を無差別に殺傷するクラスター爆弾を廃止しようとするクラスター爆弾禁止条約が3日、ノルウェー・オスロで調印される。日本を含む107カ国が条約案を採択している。クラスター爆弾の使用、生産、保有を禁止する法的拘束力を持った条約の調印を改めて歓迎する。

 残酷な戦禍を食い止めるため、人類は非人道的な兵器を違法とし、罪なき市民を戦争被害から守ろうとさまざまな条約を作ってきた。今回の調印は国際人道法の歴史が21世紀に到達した最新の成果と位置づけていいだろう。

 条約の前文は「武力紛争の当事者が戦闘の手段と方法を選ぶ権利は無制限ではない」「当事者は軍事目標だけを作戦の対象とし市民を保護する」という国際法の原則に立脚すると宣言した。この原則をさらに広げ、市民の理不尽な殺傷を防ぐ国際合意を強化したい。

 日本政府は自衛隊の爆弾保有の正当性を主張していたが、条約交渉の最終段階で賛成に政策を転換した。毎日新聞が主張してきたクラスター爆弾全廃や世界の被害者支援を実施する日本の新方針を評価したい。条約が発効するには30カ国の批准が必要であり、日本はこの最初の30カ国となるよう、批准を急いでほしい。

 政府はクラスター爆弾の詳細をいまだに公表していない。条約は加盟国が国連に対し爆弾の数や型式など詳しい内容を報告するよう義務づけている。隠せるものではないのだから、政府は早急に保有爆弾の詳細を国民に説明すべきだ。

 条約は、加盟していないすべての国に対し条約締結を奨励するよう加盟国に求めている。また、非加盟国が爆弾を使用しないよう促す努力も加盟国の責務だ。条約に従って、政府は使用禁止を米国に対し働きかけるべきだ。また、米中露など非加盟国に条約参加を促す外交も必要だ。

 条約は国際規範となり、非加盟国であっても使用すれば国際世論から非難されるだろう。対人地雷禁止条約により地雷が実質的に使えない兵器となったのと同じように、クラスター爆弾が地球上で使えない兵器となる時を早く実現したい。日本が主導的な役割を果たすよう期待する。

 米軍は03年のイラク侵攻作戦を最後に使っていない。オバマ次期政権が日本を見習う政策転換で条約に加盟するよう求めたい。

 条約作りは賛同国政府だけでなく、国際NGO「クラスター爆弾連合」も推進した。国益を代表する外交官だけではなく、市民参加により条約に普遍性が増したことは重要だ。日本では同連合に加わる「地雷廃絶日本キャンペーン」が活発に動いた。セルビア人の被害者を日本に招き、国会議員に禁止条約支持を呼びかけた。政府の政策転換の流れを作る上で、市民が果たした役割も高く評価したい。

毎日新聞 2008年12月3日 東京朝刊

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