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社会
新生児 市立札幌病院、13件拒否 本年度、NICU満床で(12/03 07:45)札幌市内で昨年十一月、未熟児が七病院に受け入れを断られ、新生児集中治療室(NICU)がない病院に搬送された後に死亡した問題をめぐり、「総合周産期母子医療センター」である市立札幌病院がNICU満床を理由に今年四月から十月までに妊婦や新生児十三件の受け入れを断っていたことが二日、分かった。 道内六地区の三次医療圏に一カ所ずつある同センターのうち、同期間で妊婦や新生児の受け入れを断っていたのは市立札幌病院のみ。地域にNICUを備える病院が複数あるため、「受け入れ拒否」が起きやすい都市部特有の事情が浮き彫りになった。 市立札幌病院によると、同院で今年四月から十月まで受け入れを断った妊婦と新生児は四十一件。このうち「産科病床満床のため」は二十件、「NICU満床のため」が十三件だった。 背景には、都市部の方が「断りやすい」事情がある。道内六つの三次医療圏のうち、同じ地域内でNICUを備える病院が複数あるのは道央(八病院)と道北(二病院)のみ。総合周産期母子医療センターが唯一のNICUを抱えるケースが多く、「重症患者を診るのはうちしかない。満床でもすべて受け入れてきた」(北見赤十字病院)、「過去三年間で断ったことは一度もない」(函館中央病院)という。 これに対して、札幌にはNICUを持つ病院が市立札幌病院を含めて六病院(四十八床)と集中しており、市内の男性医師は「多忙な時などには『うちでやらなくてもほかで引き受けてくれる』と思ってしまう」と言う。 東京都内で、七カ所の病院に受け入れを断られた妊婦が死亡した問題も、近くに他の総合病院がある大都会だからこそ起きたとされることと同様の構図だ。 一方、道央圏は出生数に対するNICUのベッド数が絶対的に不足している。北大の長和俊准教授の試算では、道央圏は、厚労省の研究班の目標値(出生数千当たり三床)に対する不足数で、最多の十八床に上り、道内全体の不足数の半数以上を占めている。長准教授は「責任を持って診る病院をルール化することが必要だ」としている。
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