ずっと前に僕がセイユー(スーパーマーケット)に入ると、レジのおばさんが新人の女の子に研修をしていたのでした。
それの内容が実に厳しくて、嫌な感じでした。
レジのオペレーションは出来て当然だから一度聞いたら覚えろ。
その上でお客さんの一挙手一投足に細心の注意を払い無言の要望を把握、最高のサービスを提供しながらも、最速でレジの行列を捌けッ! これが出来ても最低レベルだッ!! このウジ虫がッ!!! という感じです。
お姉さんはそのオバハンの研修に困惑顔です。
僕も一月だけコンビニでレジのバイトをして、給料もらったその日に速攻やめた人ですから、その気持は分かる。はっきし言いまして、そのババアの言うことを実行するのなんかは無理です。
もう一回書きます。
ババアの言うことを実行するのは、普通の人には絶対に無理!!! つまりババアは自分が出来ないことをお姉さんに要求しているということになりますから、当然ながら僕はお姉さんの味方だ!
そんなわけで僕はお姉さんを気の毒に思いながら、会計の時にもしもこのババアがレジ打ち担当をしていたら、お会計をしてもらって、ちょびっとでも失敗したらヘコましてやるぞなどと決心したりしていたのでした。
買物していると晩御飯の買物タイムに突入、みるみるうちにレジに行列が出来て、そのオバハンもレジスターの前に立ち臨戦態勢に入ったのでした。
当然ながら買物を終えた僕は、オバハンにプレッシャーを与えるために、オバハン担当のレジに並び、さあお前が言う最高のサービスを魅せてみろやとか思っているうちに、みるみる行列が無くなっていく。途中オッさんがポケットから小銭を探し当てる冒険に出たり、常連の婆さんが白菜について雑談したりなどのトラブルがあったにも関わらず、隣の二倍くらいの速度でレジが短かくなっていくのです。
加えてオバサンの接客は完璧で、お客さんはみな高速のベルトコンベヤに乗っているみたいな感じなのに、みなさんとってもご機嫌さんになってしまう。
僕のレジ打ちも感覚的には3秒くらいで終了、これは異常だ。
もうすごすぎて、どういう仕組みなのか理解不能なんですけど、このオバサンは普通の人が出来ないことが出来る人であったのです。
指導が厳しくなるのも当たり前だ。
世の中というのはおかしなもので、才能やら磨き抜かれた技術とは別の部分で給料が決まったりする。
例えば業種が変れば、給料の高低が変化したりするわけです。
これは給料を貰う人にとっても、サービスを受ける人にとっても、実は不幸なことです。
変な話しですけど、あのオバサンが駄目な高級官僚になれる程度の能力と、奇跡のレジ打ちの才能を持っていたとしたら、選ぶ職業は恐らく高級官僚です。
だけど僕はあのオバサンにはレジ打ちしてもらったほうが嬉しいですし、みなさんも偉大な才能が世の中から失なわれてしまうのはもったいないと思うことでしょう。
それでもあのオバサンが選ぶ職業は高級官僚なのです。
これって不思議でおかしな話しだよなーって、僕はしょっちゅう思うんですけど、みなさんはどうでしょうか?
ワーキングプアーな職場で10倍くらい働くという事 - コトリコ
「やあねぇ、高級だかなんだかしらないけど、そんなしちめんどうなことやりたくないわ」
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えっとちょっと僕の書き方がへたくそだったんですけど、要するにこのおばさんみたいな人が、自分の才能に自覚と誇りをもてて、それ相応の対価を得られるようになればよいなという感じです。
清掃やらレジ打ちの人の中にも、努力とかじゃ到底到達出来ない技術を持った人がいるって認められないことこそ、僕は職業蔑視だと思うんだ。
つかお前が100年くらいレジ打ちの修行をした後で、あのレジのおばさんとレジ打ち勝負したとしても、100回中10000回負けるし、お前のレジ打ちなんかは、あのおばさんのレジ打ちの前ではへたくそなドジョウ掬いみたいなものです。
つまり才能って言うのはそういうものなのです。