新井将敬と日興証券との会話記録

この反訳の基になったテープは、平成9年6月14日から同年8月31日の間に、新井将敬衆議院議員(以下新井)と、濱平裕行(元日興証券常務、以下濱平)、平石弓夫(元日興証券副社長、以下平石)との間に交わされた会話の記録である。、 この時期においては、新井将敬への利益供与疑惑は、まったく問題になっておらず、新井の取引の経緯、両者と新井の人間関係が自然な形で会話に記録されている。 新井は、平成9年2月始め頃、日興証券の社内トラブルの際に、濱平から聞いた、本店で買って付け替えた取引がある、しかし、これは日常的サービスであって問題はない、という説明に大きな疑惑を感じて取引を停止した。 その後、事実を問いただしても要領を得ず、一方では、小池と同様の取引があるらしい事も察知され、知らないうちに違法行為に巻き込まれたのではないか、と不安を抱いていた時期のものである。

*< >内は、会話の意味を整理するためのコメントである。( )内は、相手方の不規則発言である。

*「付け替え」 ここで言う「付け替え」とは、本店の自己口座で買って、値上がりしそうだったら、せいぜい数十分後に、すぐさま支店の顧客口座の買いに付け替える、といった手法らしい。 ただ、その後の市場価格がどうなるかはわからないので、売る時は市場リスクにさらされてしまう。できあがった、確定した利益を付け替えるものではないので、日興側は違法性の認識がなく時間差サービスと考えていたようだ。 また、あったとしたら、どの程度あったのかはまったく不明である。

*証取法上の「要求」 証取法改正に際して、政府は、国会答弁で、顧客に刑事罰を科すことになる「要求」の具体的中身について、「積極的に市場の価格形成機能をゆがめるような行為を要求する、証券会社に違法行為を行うよう求めるというような場合に限って顧客に刑事罰を科すということで十分ではないか、必要かつ十分であるという風に判断した次第でございます。」と答えている。(平成3年9月25日、証券及び金融問題に関する特別委員会。)




要求行為について
(新井が、濱平や平石に、もうけろ・もうけろと要求をして、そのプレッシャーに負けて濱平や平石が不法行為をやらざるを得なくなった、という疑惑)

(1)
<予想もしなかった付け替え取引に巻き込まれたのではないか、と思った新井は、濱平の好意とはいえ、困ると抗議する。濱平は、自分が逆の立場だったら、「そこまで頼んでないわ、冗談じゃないよ。」と思うという。儲けろ・儲けろと要求されて、不正取引をせざるを得なかった人ならばこういう対応をするだろうか。

(新井) うん、何がまだ何だかわからないね。ただ、僕も濱平さんなんか好意でっていうことはわかってるし、息子に選挙まで来てもらって(ハハハ)、奥さんも私のファンだっていって、好意だっていうのはわかるけど、やっぱりこの取引だけはちょっと止めてほしかったていう感じね。

(濱平) そうそうそうだよ。こんな、こんなことになるんだったら、止めて欲しいわな。そこまで頼んでないわって言いますよ、そりゃ。僕、逆だったらそう思うもん。

(新井) 危険が多すぎる

(濱平) 冗談じゃないよ、止めてよっていうことでしょ。

(新井) 危険が多すぎる。これに巻き込まれると。

(濱平) そりゃそうです。

(新井) 全く知らなかった。

(濱平) それはそうでしょ。

(新井) それは正直そう思うけどね。まあ起きちゃった。

(濱平) 冗談じゃないって思います。
(9・6/14)

(2)
<濱平は、新井への付け替えサービス(違法行為と思っていない)を行った動機を、将来への期待と投資であった、という。極めて楽天的である。要求されたからということはまったくない。

(新井) わかんないと思いますよ。結局その・・・やっぱり同じようにやると思うんですよね全部。だからやっぱりそこは事実関係を明らかにして認めるべきは認めるざるを得ないし、真実でないことは真実でないというしかないんでね。私の方も何も要求したこともない(そうです)ことは一番よく知っているじゃないですか(そうそう)。だけど何か要求したようにねじまげられても困ると思ってね。

(濱平) そうですね。

(新井) そうでしょ。

(濱平) うんそうですね、何にもないしね。

(新井) そう、何にもないんでしょう。じゃあ何でしたんだって動機が、動機を聞かれると思うんですよね。

(濱平) まあ動機は先生に対する期待でしたねハハハ・・・。(ファン)。将来への投資。(ファン)。将来への投資なんて言っちゃいけません。動機を正直に言ったらまあ将来への投資。
(9・8/31)

(3)
<変な取引に巻き込まれたのではないか、と心配する新井に、平石は「正規の商い」をくり返す。新井は釈然とせず「そう理解すればいいんですか」という不安な反応。平石は、もって回った言い方に終始して事実を隠しているが、利益の要求など受けていない、と断言する。>

(新井) いやちょっと心配していたのはね、そういう損失補填ですか、利益供与ですか、ないですか。そういうのに見られる取引をしてたら、何か変に巻き込まれて嫌だなって思ってたんです。

(平石) それは大丈夫でしょう。それはね、あの、損をさせないようなとかね、儲かるような取引をしたでしょうこれは、現実に。だけど、これはみんなね、ことわってですね、やっている。要するに支店長からそうなって、ことわってやっている商いなんだから正規の商いなんですよ。全然問題ないですよ。

(新井) そう理解すればいいんですか。

(平石) ええ。

(新井) いや僕もなんかちょっとね。

(平石) 正規の商いなんですよ。(商いのことは。)いやだから損失を要求したこともないし、利益を要求したこともないし。

(新井) それは一番よくご存じですよね、よく。ねえ、何もないでしょ。
(9・6/24)

(4)
利益供与の要求・約束などまったくない、問題外と平石は言う。まだ、何も事件になっていないこの時点での発言はまったく率直、簡明である。

(平石) そうすると何が、何が起こるんだと。

(新井) 証取法の例の損失補填みたいなやつだけなんですよ、嫌なのは。もしそういうことに巻き込まれてたとすれば。

(平石) それはないでしょう。

(新井) ないですか

(平石) だって損失補填っていうのは何なんだと。ようするに要求をしているのか、あるいはね、何か損があって、やんなきゃいけない理由があるのかどうかと。約束をしたのかと。

(新井) ないですものね。なんにもね。

(平石) そんなものないんだから、全然もう問題外ですよ。例えばそんなのが一取引あったとしてもそんなのたくさんごまんとあるわけです。ごまんとあるわけですよ。例えばそこに公募株はいったとしても、それはもう何十万、何百万と口座があるわけです。そんなことを言えばですね、だから何かがこう為にするためにね、名前をやるならね、別だけどもね。そうじゃない限りはね、はずれないでしょう。

(新井) ですから、まあ私らは一応政治家ですから、最終的にはぎりぎりのことまで考えて、一回、どこかで聞いとかなければいけないなと思っただけですよ。職業柄。これ私が商売してたらねえ。
(9・6/24)

(5)
<予想外の違法取引に巻き込まれたのではないか、と心配する新井に、平石は事実を言わないが、「そんなこと言ってたら証券取引などできませんよ」と逆に強い口調でたしなめる。何らかのプレッシャーを受けて不正取引に追い込まれた人の態度だろうか。>

新井  何か言われたらね。だから私の意識のなかではもちろん平石さんご承知のとおり、頼んだこともないですし、それが万が一濱平さんが怪しいことをしてですね、それで何か名前言われたら嫌だなと、こう思っただけなんですよ。

平石  濱平から先生の名前なんか出るわけがないし。

新井  いや、取引自体がね(取引自体もでることはないでしょう。)。変な取引をね、違法性のある取引をしたら嫌だなあと。

平石  それも出ないでしょう。あったってまあ、これであれでこれでって、よっぽどなんかそういうその。


新井  だから万が一の時のことをやっぱり、ぎりぎりのところまで考えといてですね。

平石  そうですね。わかりました。もう一度よく確かめてみますけども。

新井  僕もよく、本人も聞いたらいやあ厳密にいえば一回あるかもしれない、いやないかも、というくらいの。

平石  まあそんなのね、そんなこと言ってたらですね証券取引できませんよ。

新井  そういうもんですかねえ。

                              (9・6/24)
(6)

(新井) これは向こうから一切わかんないですね、全然、中身。・・・本当にねちょっと困ったと思ったのは、なんとなくニュアンスを濱平さんにSECの後に(ああ、そうだねえ)聞いたときにね、正直言って友達だけど困ったことしてくれたなあとは思いました。

(濱平) 当然です。それはおっしゃるとおり。僕も立場逆だったらそうだ。えらい目になっちゃう。

(新井) 真実・・・。
(9・8/31)

(7)
<小池事件で拘置され、新井口座の取り引きの経緯等にかんして「ずいぶん悪意あるいわされかたをした」調書をとられた平石は、それでも、新井から要求だけはされていない、と言い張っている。検事が、要求という言葉を日常的な感覚からどんどん「膨らまし粉のように拡大していく」(9・10/25)雰囲気が伝わる。>

(平石) ただね、先生ね。この間ちょっと申し上げたと思いますけれども、要するに向こうはね要求をしたかということですね。

(新井) そうですよ

(平石) 要求はありませんと。それから、あのもちろん手口も知りませんと。

(新井) もちろん知らないです。

(平石) これはね、ということなんですよ。ただですね、向こうはいろいろ過去からずっと調べてまして、それから他社の分も全部調べてましてね。

(新井) そう、よく分かってますからね。

(平石) そういったようなことや何かを言いながら、要するに濱平君に運用をいろんなアドバイスを求めたりですね、実際に運用してもらったり、そういうことをするということがもともとね、そういうことが経済的な利益のですね供与をしている、ということにですね、有権的に解釈するようなですね、そういう話なんですよ。
それでそんな馬鹿なことはない、と言っているんですけれども、現実はですねそういう話なんです
。ですから、個別のですね、要求云々のところは私は何も知りませんので、運用も知りませんから。

(新井) それはそうですね。

(平石) ただそういう紹介をした、あるいは紹介を求められたと言うところだけがですね、そういう風になってるんですよ。
(9・12/25)

(8)
<要求はなかった、と主張する平石にたいして検事が、新井が濱平を紹介してもらったこと自体が、利益供与の要求なんだ、というふうにもっていこうとしていることがよくわかる。要求という言葉の中身をどんどん拡大して、自分達で勝手に決めていく検事に、「そうやって睨まれてくると、いろんなことがどんどん別なようになっていく」恐怖を平石は言う>

(平石) 私は、確かにね、濱平を紹介するだけじゃなくて、濱平もやっぱり役員になって幅広く、いろんな人と知り合うことが重要だから、当然紹介したしですね。先生も株も好きだというふうに聞いているし、古見からもそういうふうに聞いてるしですね。だからそれは誰よりも一番濱平君をご紹介したいし、また役に立つかも知れないし、また事実、非常に彼は先生のためにいろんな意味で尽くしたと思うんですよ。実際にね。
だから、そこだけなんですよ。要するに、政治家の方と偽名の取引をやるのはどうだったんだ、ああだったんだ、っていうふうに言われてますけどね。私は実際の人物かどうかをですね確かめた上で、お会いして、それでやるんだよというアドバイスはしてますけどね、だから取引についてですね知らないとは言いませんしね、それは知ってますよと。ただ、要求されたことはないと。

(新井) それはもう事実。そんなことは思いもしなかったですよ。

(平石) ええ。ただそういう濱平君を紹介した、あるいは濱平君とですね、取引を先生
がしようとした、
そこのところだけを強くむこうが言ってるわけですよ。それ以外のこ
と、私についてはですね。

(新井) それはそうでしょうね。ただ、僕は濱平さんを紹介されたのは、平石さんから
紹介されたんだよね。

(平石) ええ。

(新井) 何も濱平さんに直には接触したわけじゃないですもんね。

(平石) そりゃそうですよ。だから、そこらへんのところがね、色々な言い方をしてる
んでしょう、向こうは。


(新井) ただ、結構無理でもやっぱりこじつけてきようとしてきますからね、あの人達は。こじつけ。

(平石) いやもうね、要するに僕の他の件もそうですけどね。そうやって睨まれてくる
と、いろんなことがどんどんどんどん別なようになっていくんですよ。恐いですよ。

(新井) 恐いですね。だけど、まあ事実は事実ですし。

(平石) 私は今日も行きますけどね、今言ったように要求されたこともないしですね。

(新井) 取引の内容、分かるわけないですしね、僕。

(平石) 分からないです。

(新井) それと、平石さんから濱平さんを紹介されたんで、私は何も狙い打ちでいって
ないですからね。

(平石) 要するにね、先生、むこうは全体像だけをいってるんですよ。こんなので、僕
はできるとは思ってなかったんですよ、はっきり言うと。全く、正直な話。

(新井) そう思いますね。
                        (9・12/25)

(9)
<新井から要求されていない、無理矢理も言われていないと平石は言い、また、濱平は他
の多くの人にも同様のことをやっていて、それは好意の部分なんだという。>

(新井) あの証取法にもはっきり不正な利益を要求しなければならないと書いてありま
すからね。

(平石) 要求をして、要求と、濱平がやったにしてもですよ、やった行為と因果関係が
なきゃいけないんですよ。ところがむこうも分かってまして、要するに、濱平は別に先生
だけじゃなくて他の人にも(たくさんやっていたみたいですね。)そういうことをやって
るわけだから、いわば先生に対して好意でやってる部分はあるんですよ。
非常に困ったこ
とに。それは儲けて・・当たり前の行為なんですよ。だから商いもした。

(新井) 結構、日常やってたことでしょ。

(平石) だから因果関係がないんです。因果関係をクロスすると私のところしかないん
ですよ。

(新井) そこで違うんだもんね、本当に。

(平石) 私のところでやろうとしてるんですが、私も政治家とやることについて、はい
はい、ありがとうございます、どんどん行きましょうとそういう風にはさすがになってま
せんよと。それは損されたらいけないし、神経も使うし、そのくらいのことは内心は思い
ますけどね。だけども、要するに無理矢理やられたとか何かは言ってないんですよ。

(新井) 事実じゃないもんね。しかも不正な利益の要求でしょ。

(平石) かなり言わされるんですよ。要するにそんなこと言わなくたって、証取法違反
にはなるんだとか何か言いますからね。

(新井) しかし証取法っていうのは、不正な要求があって応じて。

(平石) 先生の方は要求しなきゃいけないし、要求を我々受けなきゃいけない。要求と
やったこととが合致しなくちゃいけないんですよ。私に対してでもあっても、濱平に対し
てであってもそうなんですけども、私は少なくも要求受けてないんですから、そう言って
ますよ。濱平は知りません。

(新井) それはそう言ってますよ。ないから(そうでしょ。)ないですもん、全然。

(平石) それから武藤君もそう言ってますよ。

(新井) 武藤さんもないですよ、全然。言ったことないし。

(平石) だから武藤もあったろ、あったろ言われてるらしいですけど、事実はないです
よ。

(新井) 事実ないですよ。
                           (9・12/25)

(10)

<平石に濱平を紹介させて、新井が濱平のアドバイスがあることを期待して取り引きをす
ること自体が要求である、というストーリーのために、検事は、要求罪は軽い罪なんだか
らいくらでも幅広く解釈できるんだ、という。平石は、日常感覚とまったく異なる、検事
の解釈に納得できない。>

(平石) まあ、とにかく、前にもお話ししたように、一つ一つのことじゃなくて、濱平
にどうやらしたというか、そこだけしかむこうの頼りっていうのはなくて、そこのとこだ
けを強調しようとしているんですよ。私の方も、強要されたとかそういうことじゃないん
ですよと、事の流れっていうか、そういう風に彼を紹介したり、彼がお手伝いしたりする
のはこちらの商売だから当たり前でしょと。それだけなんですよね。

(新井) 本当ですよね。全くそのとおりスムーズだったですもんね、別に。私らも一顧客ですもんね、ある意味。

(平石) 普通のお客さんでしょ。だから、むこうは要するに一般のお客さんとは違っ
て、濱平君というそういう専門家に手伝ってもらうということになれば、色々な情報だけ
じゃなくてあらゆるエクイティを持っている機能を活用できると、そういうふうに理解す
るのは当たり前で、そのことが何ていうんですか、要求にあたるんだと。要するに、それ
はものすごく、いわば軽い罪だから幅広い解釈が可能なんだ、というのがむこうの主張で
ね、要するにそんなことはないでしょうと、法律だからやっぱり幅広いか広くないか、そ
れはそちらの勝手だけれども、我々とすれば要求っていうのと軽い依頼っていうか、自ずと差があるわけです。そこらへんのところがですね、なかなか微妙なことを言われるもんですから、うるさいんですよ。
まあたぶんね、先生、いろんなものの推移を見なきゃいけ
ないと思うんですけども、いずれにしろむこうの主張は、自分らがあれは流したんじゃな
いんだというのが一つですね。それから、あれが流れたんで概括的な経緯みたいなものは
上にあげざるを得なくなって上にあげているけれども、上が何も決断したわけでも何とも
ないところだ、まあそんな状況じゃないということで、どっちにいくかどうか分からんけれども、要するに、先生がああいう会見で言われたことが、日興証券に不正があったと
か、日興証券をいわば告発したような形になっているから、要するに放置できなくなっ
ちゃったんだというような、そういう言い方をしている。

                           (10・1/15)

(11)

<平石は、新井から、儲けてくれとか、いくら儲けろとか、言われたことはない、とい
う。濱平のアドバイスを求めたことが、要求なんだ、という検事の解釈が、どんどん話を
膨らましていってる様子がうかがえる。濱平を紹介されたとたんに、おい、おまえ手伝え
よ、と言ったようなストーリーが出てきていることが分かる。>

(新井) ただ、私は平石さん、やっぱり事実は事実ですから、いくらそんな解釈を精密にやろうと、やっぱり要求はしていないってことは要求していないことだし。

(平石) 要求っていうことも、先生、意味をよく言って、あれして下さいよ。要求って
いうのは、儲けてくれとか何とかっていう、いくら儲けろとか何パーセントにしろとか、
いくら一〇〇〇万儲けろとか、あるいは選挙資金でいくら必要だからこれだけ儲けろとか
そんなこと一切ないんですよ。そこのところ、僕だって全然言ってないですよ、
要するに
濱平君のアドバイスを求めたか求めないかっていうそこだけに絞られますよ。

(新井) 濱平さんを紹介したのは平石さんですから。

(平石) 僕であろうとなんであろうと、それは関係ないんですよ。

(新井) 私、全然知らなかったですからね、彼のこと。

(平石) 知るとか知らないとかっていうよりも、知った途端に、知ったからその人にお
前気に入ったから手伝えよと、仮にですよ、そのことを言ってるんですからね。

(新井) それもないですから、大丈夫です。

(平石) よくそこのところをあれして下さいよ。

(新井) いや、それはないですから。
                         (10・1/20)


(12)


(平石) 先生、そんなことはないんですよ。要するに、簡単に、前から言っているよう
に利回りの約束や利益の約束や。

(新井) 補填とか。

(平石) そういうものはないんです。それから何かを先生にお頼みしたことも私はない
し、そんなことはないんです。

(新井) 何もないです。

(平石) そこのところ分かってですね。損失保証したこともないんです。そんなことも
全然ないんですよ。

(新井) ないんです。

(平石) だから、そこだけです。

(新井) そうですね。

                          (10・1/20)



一任取り引き疑惑について
(新井が、濱平に、任せるから儲けてくれというような一任取引を要求したとの疑惑、あるいは平石に一任取引を要求して濱平に指示させたとの疑惑)


(1)
<濱平は、「やってちょうだい」あるいは「アドバイスしてちょうだい」という、平石の指示で新井口座の運用を任されて、自己の口座から新井口座への付け替えをはじめた。新井が、濱平に運用を頼んだのではないことがよくわかる。 また、濱平は、新井に利益を付ける理由なんかないと明言している。>

(濱平) だからどうなるかはもちろんわからないですよ。(ああ)だけど、その、注文を出すときに自己の口座で出しているっていうことは確かですからね。だから・・・それが非常に弱いわけですよね。

(新井) それは何で自己でやったんですか?新橋の支店長がやってるとばかり思ってましたから。(うん、うん)どんな経緯だったんですか?少しもわかんないんです。なんで、あそこでね電話がかかってきてたから。(うん。)最初に新橋支店長を紹介されたものだから。(うん。)彼は、挨拶来てたし、連絡来てたしね。売買はあそこでやってるとばっかり、(うん。うん。)前から。そういう説明だったでしょ。(うん。うん。)何で自己でやったんですか。(いやあ自己で別に)一応聞いておかないとなんかよくわからないものだから。

(濱平) うん、だからまあ何でというかその・・・だからあの・・・本当のところは僕が任されてやっていたんです、という形になってる。

(新井) 誰からです?誰から任され・・・平石さんですか?

(濱平) うん。平石さんから話が来て。

(新井) 何て。平石さんはそんなことせいって言ったんですか?

(濱平) いや、そういう指示はしていませんよ。もちろん、だからそういうのは知らないですよね。だけどまあやってちょうだいよと、いややってちょうだいじゃない、アドバイスしてちょうだいよと言うことで(アドバイスでしょ)、ということで誰もそんなこと頼んでないですよ。

(新井) そうですよね。

(濱平) それ知らないですよ。それで僕、利益を付ける理由もないし。

(新井) 理由がないでしょう。
(9・8/31)

(2)
<濱平は、自己売買を新井口座に付け替えたりしていたが、結果報告の場合でも新井には、「買います」・「売ります」と言った事前アドバイスとして、支店長に連絡させていたことがよくわかる。また、もし事実が露見したら一緒に口裏を合わせて、という濱平の誘いを、新井ははっきりと断る。

(新井) 武藤さんと、濱平さんというのは常時連絡はしているわけですか。

(濱平) そうです。そうですっていうか僕が買って、武藤君に電話して買ったよって言ってやってた。

(新井) それで売ったよって。

(濱平) それを、後は結果を。結果を。

(新井) それを僕のところに、これ買います、と言ったわけですか。

(濱平) そうです。そうです。

(新井) 売りますとか。

(濱平) そうです。・・・だから、だからあのまあ。

(新井) 僕の方が見えないですよね。

(濱平) うん、見えない。見えない。だから、サインをあれ何ていうのかな、今まだ早いと思いますけどね。だからちょっとやばそうだったら、武藤君とね何とか支店、長崎支店と話しして、武藤君と話して注文をあれしてたってこと。

(新井) 私は、事実関係、自分が見えてる事実を言うしかないんですよね。

(濱平) まあそうだと思います。

(新井) だから嘘もつけないし、自分が見えてる事実というのは武藤さんのところでやってくれと言われて、アドバイスは多分する(うん。うん。)ということだと思うんですよね。武藤さんから連絡はあって・・・思っていたんでね。何で濱平さんのところに一任になったのかね、自己買になったのかがね、僕自身がよく理解できていない。

(濱平) 自己買は結果論だから、結果論というかその注文の出し方だけの問題ですから。だから自己買なんて使わないでいい。

(新井) ああそう。

(9・8/31)

(3)
<濱平は、普通の取引、つまり支店長が新井にアドバイスをして支店が発注する取引もあるという。そうかと言えば、注文のだし方がイレギュラーだっただけだともいい、いったい自分の口座で何をしていたのか、新井はよくわからない。>

(新井) 濱平さんは、そこの選択ってのはやっぱり情報交換しながら新橋でやらせてる、っていう選択もあったわけでしょう?

(濱平) まあそう。

(新井) もちろん。普通に。

(濱平) ふん。ふん。

(新井) 情報交換は普通やってるわけでしょう?

(濱平) だから普通にやってるのもあるんですよ。普通にやってるのもあるんですよ。

(新井) そうでしょ。支店長と情報交換してやってるんでしょ。それは当然あり得ると思ってたんですよね。そういう話だと思ってた。前から言っているとおりね。

(濱平) だからそれでいいんですよ。(うーん)。ただ僕の注文の出し方が問題だったんだから。(うーん)。注文の出し方の問題だけ。(うーん)。だから支店長があの相談して銘柄・・・僕と支店長がね相談して、それで決めてやってる。で、僕の注文の出し方がイレギュラーだった・・・ということだけですからね。

(4)
<新井は、実態はよくわからないが、違法行為に巻き込まれたのではないかと思い、濱平の好意はわかるが、迷惑であると言う。濱平はそのとおりと言う>

(新井) 大変なあれですよねあの・・・いろいろとありがたい気もするけど、やっぱりそのあの・・・違法行為に巻き込まれるのはね、非常にやっぱり私としては。

(濱平) ねえ、それはそうですね。

(新井) 迷惑ですね。

(濱平) いや本当そうです。それはわかります。

(新井) 知らないうちですからね。

(濱平) うん。そんなもん知らないです。知らないです。

(9・8/31)

(5)
<とにかく、任せるからもうけてくれと新井が平石に強要した、というような報道があるが、平石は、一任のお願いなんか「絶対にない」と言い切る。

(新井) 借名のことはいいです、と。問題はね、一任もお願いしたこともないし。そういう。

(平石) 絶対ない。

(新井) 何もないのにね。正直言って、濱平さん困ったことやってくれたなという感じなわけなんですよ。そんなことしなくてもいいのに。
(9・10/25)

(6)
<この時期においては、平石は小池事件で拘束中に、新井の口座に開設等に関して「悪意に満ちた言われ方をしてますよ」と言うように(9・12/25)、検事に迎合して、調書を作られていることがわかる。突然トーンが変わるのがよくわかる。濱平は、平石の方から紹介したいと言ったのに、何か新井が紹介を求めた、濱平に取引を新井が頼んだという風に唐突にもっていこうとしている。また、「損をさせちゃいけないよ」と濱平に言ったという話もはじめて聞く話で、当所の濱平の話「アドバイスしてちょうだい、といわれた」とも食い違ってきていて、損をさせないように、とかいかにも違法行為を誘導するような言い回しに変化してきている。また、付け替えと言う手法は、日興証券において日常的・全般的であることも言う。>

(新井) 僕が、濱平さんに頼んでくれとは言わなかったでしょう?

(平石) いや、あのね、先生が頼んだとか何とかというのではなくて。

(新井) 平石さんが濱平さんに頼んだということを言っているわけですか。

(平石) ええ。ええ。

(新井) 僕は、平石さんから紹介を受けただけでしたから。

(平石) えー。だから紹介はしましたよと。

(新井) そうですよね。

(平石) それはね、紹介しろっていいましたよと。だけど濱平からとね。結果的にやることになりましたよと。濱平が非常に親しくなって、非常に親しくなって、それで彼が、別に先生だけにやってるわけじゃないんですよ。

(新井) 何か全般みたいですね。

(平石) ええ。だから全般にやっていることを先生にも応用しちゃったというかですね。

(新井) そうですね。それが実態ですよね。

(平石) そうですよ。

(新井) うん、そうらしいです、聞いたら。どうも。平石さんは、でも、一回くらい言っただけでしょ、濱平さんに。

(平石) そうですよ。だけど、ようするに損をさせちゃいけないよというぐらいのことはですね、(うーん。)当たり前ですよね。(うーん。)言うでしょう?

(新井) うーん。うん、なるほどねえ。

(平石) だからそういうに言われても困るんですけどね。(うーん。)要するにそこです、ポイントは。個別のことを要求するわけがないんですよ。

(新井) もちろんですね。
(9・12/23)

新井・平石の人間関係について(新井が、議員の地位を利用して圧力をかけたとの疑惑)
平石は、大蔵大臣、次官でもない新井に頼むことなど何もないという。プレッシャーなどどこにもない。また、小池事件で拘置所から出てきた後になって平石は新井に、「先生は大蔵委員だったんですか」と聞くような認識であった。>
(新井) そうすると僕は、だから基本的には、借名であの
支店で開いた。あそこでやろうって支店でね。新橋でやったこと自体は、借名自体は、自分で百パーセントお願いしたことなんだけど、知らないうちに何か、いわゆる違法取引に巻き込まれたら嫌だなあという。

(平石) それはないでしょう。

(新井) ないですか。そこだけね、知らんうちに違法取引に巻き込まれたらかなわないなということだけ、ちょっと聞いてみようと。

(平石) それは、それはないでしょう。

(新井) いま言ったとおり、別にそんなことお願いしたこともないし、お願いできる筋合いでもないし。

(平石) だから、そんなことないですよ。だから、そこはない。何かあったときに、そんなことは、ご迷惑をかけるようなことはありえませんから。だってね、要するに、こんなこと言っちゃおかしいんだけど、先生が大蔵次官とか大蔵大臣であればですよ、我々から見ていろんな請託する事があるんだろうけれどもね、どうやってみたってですね。

(新井) 関係ないですわね。全然。

(平石) 関係ない、ね。
(9・6/24)

新井・濱平の人間関係について(新井が、議員の地位を利用して圧力をかけたとの疑惑)

(1)
濱平は、新井に何も頼むことなんかないと断言している。また、これらの会話のどこに
濱平のプレッシャーが感じられるだろうか。>

(新井) うん、利害関係なんか何もないからね。

(濱平) 何かやってもらうこと、何もないんだからさ。(なにもないって。)はっきり言って、今はよ。ハハハ。

(新井) 何もないんじゃないんですか。自分が前からいってたじゃないですか。頼むことなど何もないって。威張って。

(濱平) だから、そういう意味でははっきりしているんですよね。
(9・6/14)

(2)
<新井は、大蔵委員の肩書きで日興プレッシャーをかけたという報道があるが、濱平は、まったく新井のポストなど知らず、新井の地位に何の興味もなかったことがわかる。これは平石も同じだった。ただ、濱平も拘置所を出た後に、先生は大蔵委員だったんですか、と平石と同様のことを聞いた。両者が拘置所をでて、同じ事を確認したので印象に残った。>

(新井) 商法は別に私総会屋じゃないんで、あと政治家というのは贈収賄とかね。これはないですね。なにも頼むことはないって言われたぐらいですから。私のだいたいポストもよく知らないでしょ、何やっていたのか。

(濱平) そうですね。あのときは何でしたかね。

(新井) だからそれでいいんです。よくわかってないんですよ。

(濱平) 前は先生はどうでしたか?

(新井) 何の仕事やっているかも知らなかったでしょ。(ええ)。何の委員だとか知らんでしょ。・・・それが事実ですから。(はい。)事実とおりでいきましょ。まあなんか気があったんだね、濱平さんも。愛情が過剰だったんだね。

(濱平) それはそうですね・・・そうですね。
(9・8/31)

新井口座の取引に使った「付け替え」について(当時、違法性の認識が全くなく、一種の、時間差による、日常的サービスと思っていたという箇所)

<(1)〜(4)付け替えという手法が、サービスとして大量に日常的に行われていたこ
とがわかる。数百人と平石はいう。特段の要求やプレッシャーがなくても、顧客サービス
として行っていたものであり、新井だけに特別にと言うものではなかった。。また、違法
じゃない、ルールが変わっただけと思っていた。>

(1)
新井  いやだから平成4年の事件以降はね、すくなくとも損失補填的取引は絶対ないと
こう思ってたよ、頭で。

濱平  だからそれは、新たにいま損失補填っていわれているだけでね、ルールが変わったんです。

新井  という認識なんだよな、前からいってるけど。

濱平  ある日、突然ルール変わっちゃった。だから甘かったていうのはそのとおり。過去の損失補填の時はそれはクリアしている。別にどうってことはなかったんですよ。

                           (9・6/14)
(2)

(新井) 一回本当のことを聞きたいなと思って。

(濱平) いや、本当も何も今まで言ったとおりですよ。だから要は自己の口座を僕が発
注してますからね。自己の口座を使ってやってるわけですよね。(ああ)だから自己の口座をあの新橋の店の口座に付け替えてますから、それだけで花替えと。

(新井) するとやっぱり利益供与なっちゃうでしょう?ならないんですか?

(濱平) うーん、まあ、あの・・・今のこの口座<*小池口座>がそういうことですか
らね。

(新井) なっちゃうでしょう?

(濱平) だから今までの利益供与とまた違ってくる。前は先物で裏に損があるやつが
利益供与って言ってましたけどね。その次は今日の利益確定したやつが利益供与。
今は、その、ただ替えただけで利益供与。値上がりをこう確実な。

(新井) あれは一回秋にたまたま、去年ですか、定期検査ってあったじゃないですか。

(濱平) ええ。ええ。

(新井) あのときに、私が冗談で濱平さんに、あれそういう損失補填や利益供与はない
ですねって言ったら、濱平さんが絶対ないって言ったでしょ。(ええ。ええ。)それが変わったんですか、認定が。


(濱平) 認定が変わったんですよ。

(新井) ああ。
                          (9・8/31)

(3)
(新井) 将来に投資したって何を投資するんですか。ハハハ・・・いつ選挙落ちるかわかんないし。日本・・・・まあやっぱりファンだったんだよね。・・・。あれは・・結
局、武藤さんとはね、何のね・・・あの売買の連絡ばっかり相談と連絡ばっかりしてたけ
ども、武藤さん自身は最初から全然やらないことになっていたんですか。

(濱平) そうですね。武藤さんはノータッチ。

(新井) ノータッチ。(ええ。)・・普通のやっぱりアドバイス・・・結果論だけど
やっぱり普通のアドバイスでやるべきですよね。ね。

(濱平) ・・・そうですね。

(新井) 結局あのやっぱり迷惑かけちゃいますものね、(ええ。)違法行為だと。要求
されて無理にやらされたっていうならともかく。

(濱平) 違法行為と思ってなかったんですけど。(あー)だって支店から直に注文来る
のと一緒ですから。(あー)。・・・・・違法じゃないですよ。


                           (9・8/31)
(4)
(新井) でね、平石さんに連絡取ったら、まあ同じ様な話だったんですけどね。道義的な話になってくるとね。その話がでて・・・。

(平石) でも僕はね、先生ね、そんな話は出るわけがないと思ってます。

(新井) だけど、こういろんな取引の中の、同じ様な手口でやっている取引の一つらしいという感じがあるでしょう。

(平石) まああったとしても、それが数人なら出ますよ。だけど数百人だったら、いくらね先生の名前といえども出ますからね。
                           (9・10/25)


口座開設について(新井が口座開設について、平石に再三再四もうけろと要求をしたとの疑惑)

(1)
<新井が、口座開設にあたって、「運用したい」といっただけであり、それ以外何の要求や依頼もなかったことを平石はこの時点ではっきりと認めている。>

新井  ただ、あれでね、私も、それはそうなんですけど、あそこで口座開設した経緯っていうのを一回ちゃんと整理しとかなければいかんなと思ってね。
だから現実にはあれは、運用をしたい、っていっただけですよね。

平石  そうです。

新井  まったくね。それ以外何も要求していないですよね。

平石  何もしていない。そのとおり。だからそんなもの関係ないんですよ。例えばじゃ
あこう取引があったとしましょう、取引がありましたよ、それこそ当時で言えば毎日連絡
を受けていたんだからね、支店長とやりながらね、だからそういう取引があったよ、それ
だけだよと、これで終わりですよ。
                          (9・6/24)

(2)
<道義的責任を心配して事実関係を知ろうとする新井にたいして、平石は、普通の取り引きだからいいんだ、道義的責任なんかないんだと言い張る。>

(平石) でも、僕は道義的もへったくれもないと思います。道義も何も関係ありませ
ん。普通の取引を自分はやった。それでいいはずですよ。


(新井) 僕と平石さんとの間には、そのあれでしょ、運用をしたい、っていった以外の何のあれもないですものね。

(平石) そうです。何もありません。

(新井) あの別に、ものを頼まれたこともないし。

(平石) いや僕もしたこともないし何もないし、先生もないですこれ。あのこれはもう
はっきりしてますからね。

(新井) ものをね、頼んだ頼まれた関係もない。

(平石) 大丈夫です。

(新井) 要求した、しない関係。要求したって関係もない。

(平石) 僕はだから、先生を知っているというだけですよ。

平石(元副社長)から濱平(元常務)への依頼

新井  そう思っていたんですよ、俺も。俺もあそこのあれであの、僕が、平石さんが頼んだってそういうことじゃなかったの、僕の。平石さんが言ったんでしょ。平石さん、どんな風に言ったんですか。よろしくいうだけでしょ。それだけで。

濱平  常識なんです。(えっ。)常識っていうか、あの、我々の業界だったらそういう
風にするのが普通だし、それをわからないようにちゃんとできると思ったからそうしただけ。図式が急に変わったんですよ、図式が。
ステージが変わったんですよ。それもリスクだったってのを我々は見抜けなかった、とい
うことだけですよ。ステージが変わったんですよ。そんなのわかっていたら、最初からしないです。
                            (9・6/14)

(新井) 真実はもう平石さんよくご承知のとおりですよ、ねえ私の取引なんか。あんなで
も、ひどいことを書いているみたいですよ、今日の読売なんか。

(平石) そうですか。何を?

(新井) 要するにその、利益をね、私がね強要、再三再四にわたり利益を強要したと旧幹部が発言とかいって。

(平石) ああ。そんなことはありませんよ。

(新井) ねえ。何なんでしょう、これ。

(平石) うん。そんなことはない。

                            (9・12/23)

(3)

(新井) そうでしょ。この記事はこんなふうに書いてるんですよ。要するに、当時の株
式担当役員を元日興証券役員が紹介したと、これ古見さんのことだと思うんですよ。古見
さんが平石さんを会わせてくれたときのね。この役員が、とにかく私がその役員にうまく
利益が上がらないので日興に頼むしかない。何とか儲けさせて欲しいなどと再三口座開設
を要求したと。これまたカッコ書きになっているんですよ。

(平石) それは、僕はないですよ。

(新井) おかしいでしょ。それで、この役員は一任勘定で利益を上げるよう求められたと受け止め断ったが、新井議員が何度も要求してくるため、本社株式本部に「新井議員が
儲けさせて欲しいということなので、損にならないよう面倒をみてくれ」と利益提供を指示したと、まるで犯罪者のように書いてあるんです。


(平石) それは、要するに損をしないようにというか、僕は濱平にはそんなに儲けると
か儲けないんじゃなく適当にやって、ご損させたら困りますから、それは言ってますよ、
そのぐらいのことは。ただ、そんなに普通の取引をしてくれって言ってるわけで、何もそんな何か要求をしたりなにかしてるっていうことはないんですよ。

                             (10・1/20)












東京地検の考え方

(1)
<要求という具体的言質がとれなかった検事は、濱平を紹介しろと新井が強要したという
ストーリーを書いていることがうかがえる。新井は、運用したい、といっただけで濱平を
紹介したのは平石である。>


(平石)あのね、こういうことなんですよ先生。要するにね、向こうが言おうとしてい
るのは、濱平にですね、濱平というそういうエクイティ本部長に、あのいろんなものを頼むと。情報とかね、その他を頼む。このこと自体が、あのそのいけないんだっていうかで
すね、利益を、財産的な利益を、供与を求めていることになるんだと。
要するに他の人と違うんだと。(あー)こういう風に言ってまして、個別のものを言っているんじゃないんですよ。(あー)少なくとも私は個別のこと知りませんから、(はいはいはい。)だから
ですね、要するに何回も何回も何回もそういう風にして言ったのかとこういうことを言っているわけですよ。

(新井) え?何ですか?何回も?

(平石) いや要するに、濱平にやってもらってくれということを言われたのかと。

(新井) それ言っていませんよね。

(平石) そんなことはないんですよと。ただ濱平に取引をするというかね、濱平をつうじていろんな話をするというのは当たり前じゃないですか。我々商売ですよと。そうです
よね、株をやるっていうのは商売ですからね。ところがそこのところだけなんですよ、ポイントは。

(新井) あれ、でも、平石さんが濱平さんを紹介してくれたんですよね、もともと。

(平石) そうですよ。

(新井) 僕知らなかったですもんね、彼のこと。

(平石) いやいや、もちろん知らない。いや、だからね、・・・できるのももちろんそう
いうことなんですが、まああの要するに向こうはたぶん我々のところだけとは言ってない
んです。日興証券だけとは言っていないんです。要するにあの、いろんな、・・・やるとき
に、そういう、その専門家といいますかね、そういう人にこういういろんなアドバイスを
もらいながらやるっていうのは当たり前だと思っているわけですよ。

                             (9・12/23)
(2)
<平石は、拘置所で(11月)、新井の取り引きの経緯について「悪意に満ちた言わされ
方」をさせられた、という。ねらいは明らかである。>

(平石) そういう風に今なってますので、私は新聞でやってることと検察でやってるこ
ととは必ずしも一致していないというふうに思っています。

(新井) なるほどね。

(平石) そこはね。だけども油断なりませんよ、これ。私、これはこういう風にならな
いという見通しの下にいろんなことやってましたけど、やっぱりそうなってません。私、
変な話ですけど、拘置所にいるときも偽名の経緯だの何だのって、取引の経緯だ何だの、
ずうっと言わされてますよ。それで、要するに、悪意に満ちた言わされ方、してますか
ら。
ただ、私がそうふうに言ったからといって、要するに要求があったり一任があった
りっていうことはないということになってますから。

(新井) それは本当にしてませんからね。

(平石) ええ、そこのところだけはよく見ておいていただきたいと思います。ただ、そ
の濱平とやったということだけは、これは認めざるを得ないんですよ。

(新井) これはでも平石さんが紹介した人だから。

(平石) それはもう紹介したでいいんです、先生。

(新井) 僕が実際取引やってのは支店長ですから。濱平さんとは別に直接やってません
ものね、何も。

                           (9・12/25)


(3)

<新井が、日興証券が不正をしたと告発した形になったので、やらざるを得なくなった、
と検事がいう。要求がない、と平石がいえば、それなら背任だ、と脅かす。>

(新井) 本当に。口座を無理に強要して開いたとか何か、ああいうの誰が言ってるんで
しょうかと思って。

(平石) よく分かりませんね。

(新井) ねえ。事実関係と違うことを誰がしゃべってるんだろうと思って。

(平石) まあ、とにかく、前にもお話ししたように、一つ一つのことじゃなくて、濱平
にどうやらしたというか、そこだけしかむこうの頼りっていうのはなくて、そこのとこだけを強調しようとしているんですよ。私の方も、強要されたとかそういうことじゃないん
ですよと、事の流れっていうか、そういう風に彼を紹介したり、彼がお手伝いしたりする
のはこちらの商売だから当たり前でしょと。それだけなんですよね。

(新井) 本当ですよね。全くそのとおりスムーズだったですもんね、別に。私らも一顧客ですもんね。ある意味。

(平石) 普通のお客さんでしょう。だから、むこうは要するに一般のお客さんとは違って、濱平君というそういう専門家に手伝ってもらうということになれば、色々な情報だけじゃなくてあらゆるエクイティを持っている機能を活用できると、そういうふうに理解するのは当たり前で、そのことが何ていうんですか、要求にあたるんだと。要するに、それはものすごく、いわば軽い罪だから幅広い解釈が可能なんだ、というのがむこうの主張でね、要するにそんなことはないでしょうと、法律だからやっぱり幅広いか広くないか、それはそちらの勝手だけれども、我々とすれば要求っていうのと軽い依頼っていうか、自ずと差があるわけです。そこらへんのところがですね、なかなか微妙なことを言われるもんですから、うるさいんですよ。まあたぶんね、先生、いろんなものの推移を見なきゃいけないと思うんですけども、いずれにしろむこうの主張は、自分らがあれは流したんじゃないんだというのが一つですね。それから、あれが流れたんで概括的な経緯みたいなものは
上にあげざるを得なくなって上にあげているけれども、上が何も決断したわけでも何とも
ないところだ、まあそんな状況じゃなということで、どっちにいくかどうか分からんけれども、要するに、先生がああいう会見で言われたことが、日興証券に不正があったとか、日興証券をいわば告発したような形になっているから、要するに放置できなくなっちゃたんだというような、そういう言い方している。

(新井) ずるいな。

(平石) 私の方はああいう一面が、あんな記事が出れば、記者会見をして、そういうのをするのは当たり前でしょ。

(新井) 政治家として当然です。

(平石) と言うんですが、要するにそれは結果としては、SECを動かしたり検察を動かすような形になっているんだてなことを言ってまして、だから、その結果、強情にならざるを得なくなっちゃったというか、立件せざるを得なくなっちゃったりとか、むしろむこうの人が強くなっちゃったというか。僕らの方は当初そんなことになるとは、全く想像
もしてませんで、ただ検察の内部でもたぶん分かれてるんだろうなと思っとるんですよ、
今でも。だから、それだけにこちらもすごく慎重に慎重に対応をせざるを得ないんで、そういう対応を今してるんですよ。

(新井) そうですね。

(平石) だけど、状況は六:四とかですね、あるいは四.五の五.五っていうような感じで少しそういうことでマスコミもあるでしょうし、いろんな状況から少しいわば硬派って言うか、そっちのほうが勝ってるような状況でそれもどういくか分からないと言ってるんですよ。ただ、慎重にやらざるを得ないと思いますね。

(新井) そうですね。ただ、平石さんおっしゃったみたいに、別に要求っていうことがあったわけでないですしね。

(平石) だから、その要求っていうことの考え方が、我々の考え方と全然違った考え方をするもんだから困っちゃうわけですよ。要するに。

(新井) 何かこう以心伝心みたい話を言っているわけですね。もう以心伝心で分かるだろうみたいな。

(平石) そう。そういう。

(新井) そうなると、政治家が頼んだら皆以心伝心になるでしょう。

(平石) そうですよ。いや、だからそういう風に思ってるんですよ、むこうは全部。

(新井) それはとおらないんじゃないでしょうかね。

(平石) いや、だからとおらないだろうと僕らは思ってるんですけれども。

(新井) むりやり公判を。

(平石) 公判も。そういう風に言うわけですな。我々の方は、何の理由もなくやれば背任でしょという、別にそう言って脅かすわけでもないんでしょうけども、何を言うんですかと。

(新井) 脅かすんですよね。

(平石) だけど、我々から見るとそんなものは仕事でやってて何が背任ですかと。

                           (9・1/15)


(4)

(平石) もう、ひとつやったときに終わってるんだ、というようなものすごいラフな言い方をするもんだから、それはないでしょうと。そうしたら紹介とか、会わせることもできないと。私は、濱平君はいろんな人達と交際して、それで役員として幅広い人脈や形成をしていくことが必要だからやっているわけですね。これはもう当たり前の行為でしょと。

(新井) そうですよね、直接の部下ですもんね。

(平石) そうですよね。いま先生そう言っているんですけども、この間お話ししましたように、むこうさんは、情報の交換とかそういういろんなお話をすることによって、その度に、それを悪く悪く曲解させるようにさせるように微妙にしてるんですよ。大体こう、手なんですよ、お互いに疑心暗鬼にさせてですね。

(新井) そういうことでしょうね。

(平石) それで僕もね、あんまり連絡とらないほうがいいのかな。連絡があるっていうことは言ってませんし。ないんですよと。今年に入って一昨日かな、呼ばれて行きましたけど、そのときにも、いやご連絡はありませんよと言うふうにずっと話しているんですよ。そうしないと、悪く解釈するんです。すごく悪く解釈して、下手すると証拠隠滅の虞ありとかね、そういう風に言いかねないもんですから。
                             (9・1/15)

(5)
<要求というのは、いくら儲けろとか、何割儲けろとか言うでしょ、そんなものはない、と平石はいう。濱平が手伝っただけで、要求なんておかしいという。検事は、利益の追加といっているらしいが、もっと儲けてちょうだい、もっと儲けてちょうだい、なんて事が本当にあったのか、あるわけないでしょ、と平石はいう。

(平石) まあ、こちらも大切なお客さん、重要なお客さん、大切なお客さんっていうのは、当然なんで、それは別に政治家だからとか何とかいうことじゃないし、誰だって色々なことを頼まれてるし、親しくなれば大切なお客さん、当たり前でしょ、そういう風に
言ってるんですけどね。やっぱりこう政治家の特殊性っていうのか、そういったものをかなりああでもなく聞きますので、こっちも保釈中ですし非常に行動も、それから言葉も立場も非常に微妙なんですよね。

(新井) よく分かります。せいぜい気をつけて下さい。

(平石) やらざるを得ないんですよね。

(新井) 気をつけて下さい。頑張って下さい。だけど、そうは言っても総会屋みたいに総会があるからとか何か必要ですよ。その脅かしてそこまでやらせるには。

(平石) そういうと、そこまで行けば恐喝、強要なんだと。そんな恐喝、強要とかってやらせて、要求っていうのはね、何かいくら儲けろとか何割どうだとか、何か言うでしょうと。

(新井) それはそうでしょう。

(平石) だけど、そんな濱平君にいろんなもの手伝ってもらったから、それだけで要求
っていうのはね、いかがなもんでしょうと。それはそうすれば、儲かる可能性が高いことは分かるけど。


(新井) 情報の問題ですよ。

(平石) だけど、それはちょっとおかしいですねと。

(新井) それは正論ですね。

(平石) そこまでですよ。

(新井) ちゃんとでもあれですよ、平石さん。法律に書いてありますから、利益の要するに約束とか損失補填とか要求って。

(平石) だから、むこうが言っているのは、その中の法律の利益の追加なんですよ。追加っていうこと、それがそんな法律論だけでいってもあれしてもどうのこうの、一緒の勉強しましたけど、損失補填の問題ではないと、利益を約束していないんだから利益のなっとかって問題でないと。そうすると、利益を何にも約束も何もしてないけれども、要はもっと儲けてちょうだい、もっと儲けてちょうだいとこういうこと、追加っていうのはその意味しかないんですけでも、そんなのがね本当にあったんですかねと。そんなものあるわけないでしょと。(そんな馬鹿な)そういう話でしかないんですけどね。

(新井) しかもあれ読むと、やっぱり不正なしかも利益の追加でないとおかしいんですよ。不正取引を強要しないと。

(平石) だから、そこのところが非常にまだむこうも法理論ていうか法解釈っていうかな、それが非常に難しい。

(新井) ことは確かだね。まあ論理的には、しかし他人が、第三者が聞けばちょっとその言い訳はとおらないと思いますね。

(平石) と思うんですよ。

(新井) 世間に出ればちょっといくらなんでも。
(10・1/15)

(6)

(平石) だから、残念ながら、確かに濱平君がそういうサービスをしたっていうのもあって、それももしかすると同様なんだけれども、そのことをとらまえたいっていうもんですから、こっちの方は多少の弱みがあるんですけれども、それを要求があったからした
んだというのが、私の方はそうじゃないんですよと。
儲けさせてあげたいとか、そういう気持ちはあっただろうけども、だからといってそれは供与したわけでもなんでもないんでね。誰にでも、そういうその気持ちでもって接してるわけだから、しょうがないんじゃないですかと言っているんですけどね。

(新井) 不正を指示したわけじゃないのにね。そんなしていて平石さんがいじめられることないですよ。

(新井) まあ、そんなことでございます。
(10・1/15)

(7)

(平石) だから、要求はしてないということでいいんじゃないですか。ただ、むこうに不正がある、不正があるということが、それが我々のところが窮地に陥ってるのも事実でして。

(新井) あれはちょっとね、言い方ミスだったですね。まだ、それを実は今解明している最中なんですね、実は。

(平石) ああ、それでそれがあるもんですから、いま日興自体が窮地に陥ってるんですよ。

(新井) それは申し訳なかったですよ。

(平石) ええ、だからそういうこともありまして、かなり慎重にやらないと挙げ足とっていろんな攻め方をしてくるもんですから、要するに要求がないのに何かそういう便宜を図れば背任だっていって脅してくるわけだし。

(新井)それは難しいでしょうね。そんなことを言って脅すんですね。

(平石) まあ、ちょっとね。そんなことなんで。

(新井) しかし、基本的に会社のために思ってやってることですもんね。

(平石) そうです、それは当たり前ですよ、仕事ですから。

(新井) 何にも恐れることないですよ、仕事、会社のためにと思って仕事してるだけで、自分のものにしてるわけじゃありませんし。

(平石) そうですね
(10・1/15)

(8)

濱平は、エクイティ本部長なので、ちょっと頼むことも、ちょっと儲けてねということも、すべて要求にはいる、と検事は言う
28注1
(平石) ただ、先生、要するに検察はご承知のとおり、何かの目標を定めるとどんどんやってくるもんですから、我々も何にもないのに、我々のところに何にもサービス行為がないのに、じゃなくて、やっぱりサービス行為っていうのはあるわけですよ。だって重要な人に誰でもあるでしょう。私だって変な話だけど、先生にご損かけたらいけないっていう個人的な感情っていうのは必ずあるわけですよ。だって紹介されて、あるいは自分が頼んだりしたらそういうことになるって決まってるでしょ。人間当たり前じゃないですか。そうすると、そういうふうにして上手く損しないようにやってよ、というふうに言うと、それはなぜなんだと。それは政治家だからとか何とかっていうんじゃなくて、だけども重要なお客さんでしょと。そういうことを期待して、あなたに紹介頼んだでしょと。そうでなかったら新橋支店に行って自分でやればいいんでしょとそういうふうに言うんですよ。だから、新橋支店に行ってやればいいんですよと、だけどもいろんな人がいるでしょと、どこの支店がいいんですかと。私は新橋支店っていうのはそのおかしい支店なんですかと、そうじゃなくて例えば千葉だとか静岡だとか言ったらおかしいですねと。あるいは公共法人部だったらおかしいですね。一番便利な店を紹介したらなんで悪いんですかと、そう言ってるわけですよ。

(新井) ホントですね。

(平石) そうでしょ。

(新井) ホント、そのとおりです。

(平石) しかも、僕が信頼している人間を紹介するのにちっともおかしくないんじゃないですかと。まあ僕は武藤君を自分がやったとは思ってないんですけど、濱平君がやってくれると思ってるんですが、おかしくないですかと。ちっともおかしくないと。

(新井) 要するに情報を交換することは自由なんでしょ。

(平石) ただむこうは、要するにエクイティ本部長という特別な人と情報交換ができるっていうのは、あるいは商いのアドバイスができるっていうことは特殊なんでしょと。それはそうでしょうね。何人もいるんだから。特殊な人は特殊ですねといえば特殊ですねとなるでしょ。そういうことをその人とやったっていうことは、結果的には利益が上がるっていうことを期待しちゃったんでしょって言うから、株やってて損すること期待する馬鹿
注128
がいるかと、当たり前でしょとそうするとそのことだけで、この法律は非常に幅広く解釈できるんだから、利益を要求したっていうか依頼したっていうか、軽くちょっと頼むことも、ちょっと儲けてねとかうまくお願いしますよとかいうのも、すべて要求の中に入るんだっていうわけ。それで、よく言うよ、要求っていうのはもっと強いんじゃないのって言ったら、もっと強いのは脅迫だっていうわけですよ。要するに、先生、僕もよく分からんのですよ、法律解釈っていうかそういうようなこと言われちゃうと。これは僕ははっきり言って、事実だけを淡々と言ってるわけで、だけどそういうふうに人間の心理みたいなところを極力論理的に言ってくるわけです。そうすると、そういうものがゼロじゃありませんから。例えば、道路公団と飯食うっていうのは顔つなぎなんだと思ってるわけですよ。その儀礼の最後の目的は何なんだというと、それは商いなりなんなりやりたいとこういうふうになるわけですね。それはそうでしょうね。そこだけを抽出してやってくるわけですから、極めて綿密なものになっていくわけですよ。

(新井) できあがっちゃうんですね。

(平石) 出来上がるんです、それは。

(新井) 作り上げちゃうんだな。

(平石) 先生、いろんなご証言やなんかもあると思うんだけれども、はっきりいって敵を作らないようにして下さい。僕は敵を作られると闘わなくちゃならなくなっちゃうんですよ。
(10・1/20)


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