転勤で初めての地で過した家は、区画整理されたばかりの、周りには3軒しか建っていない、しかも外灯も無いような寂しい所だった。
一戸建ての平屋で、お玄関の正面にお風呂がある家だったのだが。
子供もその頃は幼く、伴侶も忙しく遅くに帰って来る生活だった。
お玄関の正面にお風呂は、チト何なので衝立でも明日は買いに行こう、と思いながらお風呂へ入り、そして上がって身体を拭いていたら、何か視線を感じて、何気なくお玄関の上の明り取りの窓に目をやった。
そうしたら、男が窓に手をついて覗いていた目と、私の目があったのだ。
あまりの恐怖に普通は声が出ないと言うが、私は騒音の様な絶叫が出た。
それから男は逃げ、私は身体を拭くのも忘れ、110番をしたのだが、「区画整理したばかりで番地が分からない」と、その頃から警察は頼りなかった。
仕方なく、真っ暗中を子供の手を引き、おまわりさんが分かる所まで、私はゴルフクラブを振り回しながら、絶叫しながら走った。
それから実況見分が始まったのだが、男が覗く時に乗ったと思われる、玄関外の空調機に足跡は付いていなかった。
御丁寧に靴を脱いでいたのだろうという事になったのだが・・。
そしてその家に住んでいるころは、とにかくトラブルが多かった。
その家を出て、10数年経った先日、小娘達と当時の思い出話をしていたら、小娘は言った。
「バカにされると思って言わなかったけど、明け方位に、男の人が時々、寝室のドアの所に立っていたのよ。」と言った。
そして中娘は「私はあの家に居る間中、外でお葬式の時にお坊さんが鳴らす鈴の音が聞こえていたんだ。」と言った。
何でそれを当時言わなかったんだ!!
と言う事は、私が見た覗いていた男は・・・人間様ではなかったの?
よくぞ今、家族全員が無事で今が過せている事に、守護霊様ありがとう!!!
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