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オバマ次期米政権:威信回復へ現実外交

 【ワシントン及川正也、草野和彦】来年1月に就任するオバマ次期米大統領の外交・安保チームが発表された1日の記者会見で、次期主要閣僚らは世界における「米国の指導力の再生」(ヒラリー・クリントン上院議員=国務長官指名)に強い意欲を見せた。「変革」を掲げるオバマ氏は、ブッシュ政権下で失墜した国際的な威信の回復を目指し、現実主義的な外交戦略を打ち出すとみられる。

 オバマ氏は会見で「世界中で同盟の再建と強化」を推進する方針を示した。中国やロシアなど新興国の台頭に伴う国際秩序の流動化、温暖化問題、対テロ戦争の行き詰まりなど「地球規模の挑戦」は、「米国だけでは解決できない」(クリントン氏)との認識を強めているためで、日米同盟への影響も避けられない見通しだ。

 オバマ次期政権の対日政策では、ブッシュ政権が推進した「日本強化論」が見直されるとの見方もある。ロンバーグ元国務省日本部長は超党派の対日戦略文書「アーミテージ・リポート」(00年)で提唱された「米英同盟のような日米同盟」を「地域の安定につながらず、非現実的」と切り捨てる。

 ブッシュ政権では日本の集団的自衛権行使容認や国連安保理常任理事国入りなどを後押しし、強固な日米同盟を基軸に世界戦略を描いてきた。しかし、オバマ氏の外交顧問の間には「日本が嫌がることは強要しない」(ジャヌージ上院外交委上級スタッフ)との考えが強く、米外交の中国重視傾向が強まる中、日米の二人三脚による世界戦略がしぼむ可能性もある。

 一方で、次期政権の外交・安保チームは個性派集団の調整という「内憂」を抱えての船出となる。クリントン氏は国務長官就任の条件として、国務省のスタッフを自ら選ぶことを挙げるなど、「強い国務長官」を志向している模様だ。国務省とホワイトハウスが対立する事態も想定され、オバマ氏の指導力が問われることになる。

 オバマ氏とクリントン氏は基本的な外交路線を共有するが、立場を異にする問題もある。オバマ氏が核開発を進めるイランや北朝鮮との「前提条件なしの首脳直接対話」を視野に入れるのに対し、クリントン氏は民主党予備選で「最適な道が見つかるまで直接、会うつもりはない」との立場を示した。

 ただクリントン氏は、ブッシュ政権の「孤立化政策」が北朝鮮やイランの核開発を許したとの見解を示しており、対話路線の中で国際的な圧力を強めていく方針とみられる。

毎日新聞 2008年12月2日 21時56分

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