医者が工夫すればたらい回しは防げる
宮崎県都城市の藤元早鈴病院についてテレビでレポートしていた。
この病院では出産に関して拒否はしない。必ず受け入れるということだ。
満床にしないために、帝王切開が終わった妊婦など、症状の軽くなった人を他の病院に移したり、開業医が他の病院での出産補助に協力するよう、ネットワークができている。
「担当医がいない。満床」などと言って患者を拒否する病院は怠慢である。担当医がいなければどこならいいのか、プロなのだからそれをきちんと患者や救急隊員に報告すべきだ。
つまり、受け入れ拒否をする医者に常識が欠けている、ないしは拒否する医者のモラルの問題というのは一部において正しい。モラルというより仕事に対する責任感が缺落している医者がただ患者を拒否するだけで、「どこならいいか」を言わずに患者を拒否するのだ。「法律」だの「人員」だの「設備」だのは、すべて、言いわけにすぎない。
└→「裁判」と「辯護士」についてI 受け入れた結果、法に触れるにしろ、そんなものは法自体が間違いなのだから、違法覚悟で人を助ければいいわけで、それをするかしないかは医者個人の職業倫理、事情の違いである。それに受け入れ拒否して患者を「死なせた」ほうの結果責任を問題にすべきである。
「赤穂浪士」の殺人行為や「鼠小僧」の窃盗を美化する民衆が、法を守って人を見殺しにするというのもおかしな話だ。
時代劇などでは麻酔に必要な薬草を違法覚悟で栽培していた医者が出てきた。
医者をやる以上、患者を助けられず、訴えられるのは覚悟の上で、それを恐れて治療をしないなど、初めから医者になる資質に欠けていると言わざるを得ない。安易に訴えるほうも問題である。また、何でも裁判に訴えて賠償金を請求する市民運動的な手法も、かえって社会を停滞させることを考えるべきである。
医者に限らず、食品会社でも違法を承知でやっていることは多い。自分の私利私欲のための違法行為はなくならないのに、人助けのために法に触れてもいいという人間がいないのがおかしい。駐輪や2輪車の3人乗りなど、違反であってもやっている人も多い。
菅谷良男という医者が診療報酬詐欺で逮捕された。医者も自分の判断で法を破ることがあるのだから、法に触れる覚悟で患者を受け入れてることもできるはずだ。法に違反して人を騙すか、法に違反して人を助けるか、どちらかの違いだけ。
「乳腺」という詞(ことば)を看板に出すのが違法であった場合、そこを空欄にしたまま許可を求めて却下された医者もいいれば、違法覚悟で「乳腺」を扱うことを表示していた医者もいる。
また、救急車が消防の管轄で、病人を乗せてから病院を探すのも遅すぎる。
救急車が出動する前から、附近のどこの病院が満床で、どこの病院が受け入れ可能か、一目で分かるシステムを作っておくのが当然で、それには救急車を消防でなく病院のもの、行政でいえば消防庁でなく厚労省の管轄にすべきである。 我々のほうでも、病院は患者を拒否する薄情なところだと覚悟した上で、安易に病院にかからない心構えが必要だ。救急車など呼ぶより、自分で医者に電話して、直接、病人を届けるほうがいいかも知れない。
早鈴病院から轉院した患者の一人は「私はもうだいじょうぶなので、もっと大変な人に早鈴病院のベッドを使ってもらえればいい」とコメントしていた。
日本は間接民主主義の国家であり、官僚も政治家も国民の代表である。そうなると、法律も国民一人一人が間接的に作ったわけで、自分で何もしない人が「法が悪い」「行政が悪い」などと言っても、それはそう言っている本人(を含めた国民全体)が悪いだけの話だ。
そもそも、法律自体が憲法違反として訴訟の対象になるのが実情であるし、市民運動など逮捕されても続けているではないか。
民衆としてやるべきことは、やたらと救急車を呼ばない、安易に病院に頼らない、病人が亡くなっても安易に医者を裁判で訴えないということが必要だ。
裁判で有罪になっても、免許停止でなければ、被告となった側が金を拂うだけの話。「患者の受け入れを拒否した病院」として有名になるか、「治療した患者が亡くなり、訴えられて金を拂った病院」として有名になるか、どちらかの問題である。
「法律」など所詮は紙きれの世界で、問題なら変えればいいが、受け入れて法に触れるのを恐れる医者が多いなら、拒否しても法に触れるように法を変えればいいだけの話。日本で戦争被害者が自分の国の政府を訴える奇妙な論法を考えると、受け入れ拒否をした病院も結果責任を問われてしかるべきであろう。
民主主義国家だから法を変えるのは国民の仕事であり、法の不備は国民の連帯責任である。
過去の関係者を処罰するより、未来の再發防止のほうが大事である。
受け入れ拒否したいくつかの病院のせいで妻を失った夫が「どうすれば助かったか言っても意味がない。この悲劇を二度と繰り返さないほうが大事」(趣旨)と言っていたのは重要だ。
今の社会では、戦争でも何でも「責任」「責任」とわめいて、「責任者」(場合によっては当事者でない、問題となっている戦争や事件のあとに就任したトップ)を処罰すれば事足れりとする風潮があり、それでトップが辞めればお終いということが多い。これでは再發防止にならない。
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コメント(14)
出産の問題とは関係ないのですが、救急病院のベッドをあけて新たに受け入れるためには救急病院の後方病院が必要なのです。これまでは、療養病床がこれを担っていたのですが、2006年度に始まった療養病床6割削減という医療制度改革のためにこれがなくなりつつあります。かわりの受け皿は不十分です。救急病院が受け入れできなくなるのは政策の結果でこんなもの医者が工夫すればというような問題ではありません。
2008/11/27(木) 午前 10:17 [ あのー ]
●なんで急患の受け入れを断るの?
・(人員・設備が足りない…などの)物理的問題で、(受け入れると犯罪になってしまうケースがある…などの)法的問題で「受け入れ不能」だからなんです。
●なんで「専門外だから」が断る理由になるの?
・「専門外の患者を受け入れるのは犯罪」という司法の判例(奈良心タンポナーデ事件)があるんです。
●ベッドが無いなら、廊下で治療すればいいんじゃないの?
・「設備不十分な状態で患者を受け入れるのは犯罪」という司法の判例(加古川心筋梗塞事件)があるんです。
・そもそも、「ベッド」「ベッド」って言われてますけど、病院でいうところの「ベッド」は、心電図とか、酸素マスクとか、呼び出し用ボタンとか、それを管理する人員とか、それら全て「込み」ですからね。もはや「ベッド」というより「設備」と言ったほうが適当かも。
●応急処置してから、他の病院に移すのは駄目なの?
・「応急処置の後、他病院に転送するのは犯罪」という司法の判例(上に同じく、加古川心筋梗塞事件)があるんです。
2008/11/28(金) 午前 6:51 [ 都筑てんが ]
●なんで、一度断った病院が、後になって受け入れるなんて事があるの?
・救命中であった患者が「落ち着く」か「亡くなる」かのどちらかで、病院側に「空き」が出来たからです。
●有名人や金持ちだったら嬉々として受け入れるんじゃないの?
・西村真悟議員の息子の飛び降り自殺…アレも、重度のうつ状態で入院の必要があるとされながらも、「ベッドが無い」という理由で入院できませんでしたよね。もはや、コネやカネではどうにも出来ない程に、患者の受け入れが困難な状況なんです。
●ぶっちゃけ、人の命より金儲けのほうが大事なんでしょ?
・金儲けのほうが大事だったら、そもそも、不採算部門である救急なんて、最初からやりません。
●医師が足りないなら、海外から医師を呼んだらいいんじゃない?
・本国より遥かに待遇の悪い日本に来る理由が見当たりません。…というのも、実は、日本の医師の待遇は、諸外国のソレよりも遥かに悪いんです。
2008/11/28(金) 午前 6:52 [ 都筑てんが ]
●ドクターヘリを導入したら?空からなら直通でしょ?
・ヘリを導入するにも、周囲の建物が邪魔で安全に飛べなかったり(ビルに激突、民家に墜落…の危険性あり)、ヘリポートのある(作れる)病院が少なかったり、騒音問題で導入を反対する住民がいたり…など、色々と問題が山積みなんです…。
・あと、ドクターヘリを必要とするほどの重症患者を扱う「3次救急」自体の数が減っていることも問題の一つとなっています。
●リアルタイムでベッドの空き情報の分かるネットワーク、システムを作ったらいいんじゃない?
・いくら良いシステム、良いネットワークを作っても、医師の手術スピードが上がる訳でもなく、患者を診るための設備が増える訳ではないため、根本的な解決とはなり得ません。
・また、それに近いシステムが既にあるのですが、現在、病院側にそのシステムを操作するマンパワーが足りないために、空き情報をリアルタイムに更新出来ない…という問題が発生しています。
2008/11/28(金) 午前 6:52 [ 都筑てんが ]
●救急病院が急患を受け入れられないなら、救急病院を辞めちゃえば?
・現実に次々と辞め…ていうか、潰れていってるんです…。
・特に、重症患者を扱う「2次救急」、救急最後の砦である「3次救急」が減っていることが深刻な問題となっています。
・また、一つの病院が救急を撤退してしまうと、その病院が受け入れていた患者が他の病院に流れ込み、その病院のキャパシティをオーバーして受け入れ不能…という、「受け入れ不能のドミノ状態」に陥ってしまう…という危険性があります。
●1次・2次・3次って何?どれも救急病院じゃないの?
・救急病院は、患者の緊急度の度合いによって「1次救急」「2次救急」「3次救急」と種別されています。
・「1次救急」は、入院や手術の必要が無い患者が対象、「2次救急」は、入院や手術が必要な患者が対象、「3次救急」は、1次・2次では対応できないレベルの重症患者が対象となっています。
・ここ数年、救急医療が不要なレベルの軽症患者が、夜間救急…特に「2次救急」「3次救急」に駆け込み、夜間救急がパンク状態になっている事が、深刻な問題となっています。
2008/11/28(金) 午前 6:52 [ 都筑てんが ]
●2〜30件も断わられる事なんてあるの?
・大多数の救急が、マンパワー不足・キャパシティ不足のために、常にパンク寸前(or 本当にパンク)の状態に陥っており、2〜30件、いや、それ以上断られる可能性は、大いにありえます。
・また、過重労働で医師が倒れる、燃え尽きて退職…などで、救急を辞める病院も出ており、今後は「受け入れ不能」状態が加速、最悪、「たらい回せる病院」すら無くなり立ち往生…という事態もあり得ます。
●救急病院が多い東京でも患者の受け入れが出来ないのはなぜ?
・救急病院は多いですが、それでも追いつかない程に人口が多すぎるんです。
・また、東京の周囲の他県の受け入れ状況も非常に厳しく、他県からの救急患者が東京に流れ込んでしまっている…という問題を抱えていたりします。(大阪府も同じような問題を抱えている)
2008/11/28(金) 午前 6:53 [ 都筑てんが ]
要するに、こういう事ですね。わかります。
↓
女医^^遊佐奈子のお気楽! ICUを独占する命を引きずり出しつまみ出せ!
http://nakoyusa.blog42.fc2.com/blog-entry-1307.html
…。
……。
………。
他の病院に移しても問題ない位に回復する患者ばかりではないし、そもそも、受け皿となるべき「他の病院」が無ければどうしようもありませんよね。
2008/11/28(金) 午前 7:06 [ 都筑てんが ]
>また、救急車が消防の管轄で、病人を乗せてから病院を探すのも遅すぎる。
>救急車が出動する前から、附近のどこの病院が満床で、
>どこの病院が受け入れ可能か、一目で分かるシステムを作っておくのが当然で、
…。
……。
………。
救急隊の中に、どこに症状があるのか、どの科の病院に運んだらいいのかを、現場に到着して患者を診る前からハッキリ当てられる「予知能力者」が必要ですね。
あと、「どこの病院が受け入れ可能か、一目で分かるシステム」をリアルタイムに情報更新する為のマンパワーは、誰が確保してくれるんでしょうか?
今の病院に、そんなマンパワーを確保する余裕はありませんよ?
2008/11/28(金) 午前 8:35 [ 都筑てんが ]
ブログ主さん、これ以上受け入れ不能事件を増やしたくなければ、コメントをひとつひとつ読んでまず現実を把握してくださいね。
ブログ主さんのような人が医療崩壊の一因になってるんです。
いくらシステムを作っても医師自体が不足してるんだから、はっきりいって大した効果はありません。
ブログ主さん、今時これはヤバイですよ。あまりに無知だと笑われちゃうので、これを機会にきちんと勉強してください。
医療崩壊して困るのは我々一般人です。
2008/11/28(金) 午後 9:55 [ 一般の患者です ]
赤の他人に「人助けのために超法規的に行動しろ」とかいうのも頭悪いし、超法規的に行動しても同時に二件手術したり出来ないという当然のことに思い至らないのも激烈に馬鹿ですね。
こういう馬鹿を見ると吐き気すらしてくる、ほんと見苦しい。
2008/12/2(火) 午後 9:17 [ pontmax ]
>拒否しても法に触れるように法を変えればいいだけの話。
だから、「救急・産科で働いても危ない患者は受け入れない」ではなく、
「そもそも救急・産科では働かない」
に変わってきているんですよ。
そうやって職場と患者と法に押しつぶされるくらいなら、他の科で自分の力を出していこうとね。
医学生は学生といえどそのあたりの情報には敏感です。
最近はネットの普及もあり、入学前から十分考えた上で入っている学生も少なくありません。
では、「強制的に科を押しつけるように法を変えるまで」とでもしますか?
ならば医者の質が低下しますよ。
医療を罰ゲームにしてはいけません。
2008/12/2(火) 午後 9:24 [ 通りすがり ]
貴方がまず外国の医師を誘拐して、日本で強制労働させましょう。
超法規的措置です。
おそらく日本国家は必死になって貴方を逮捕しようとしますが、がんばってください。
あと私は無職でそろそろ失業保険が切れます。
このままでは私は飢え死にしてしまいます。
お願いですから人助けのための超法規的措置で強盗をするなり貴方の貯金をよこすなりして、私を助けてください。私にとって何より大切な私の命がかかっているのですからw
超法規的なんて言葉よく知ってまちゅね〜
偉いでちゅね〜僕ちゃんw
日本は法治主義ですよ〜
貴方の言ってることは朝鮮人や中国人なら理解できると思うんですが、ひょっとして特亜の方ですか〜?
2008/12/2(火) 午後 10:07 [ 国民 ]
>違法覚悟で人を助ければいいわけで
そこまでおっしゃるならブログ主さんが医者になりましょうよ!
ここまで言い切れる貴方ならきっと、眠らず食べずに働いてどんな患者も訴訟を恐れずに受け入れてすべて治すことができるんでしょう。
まさか、自分ができないことを他人に強いてるなんてこと、ないですよね?
2008/12/3(水) 午前 0:07 [ パンピー ]
違法覚悟で人を助けて、収監されて、その後の人生はどうなりますか?
ブログ主さんが一生面倒を見てくれるのですか?
2008/12/3(水) 午前 0:30 [ あのー ]