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2008/12/02

メディアスクラム

メディアスクラム
一昨週に元事務次官夫婦が亡くなった現場の近くである親類の話が聞きたくてね、某女性誌記者とふたりで何時間も立ちっぱなしで表に出てくるのを待ち続けたの。6時間を過ぎたころに、新聞を取りに出てきたところへ初めて声をかけた。深く深く頭を下げて、「辛いときに煩い思いをさせて本当に申し訳ありません」と何度も前置きして話し始めた。本当に申し訳ないけど、こういう人たちの協力を頼りに僕らはようやく仕事をさせてもらってるんだから。その人が重い口を開き始めたところへ、たまたま通りかかった中年の新聞記者が合流して、不躾に投げかけた言葉は「遺体はいつ戻ってくるんすか?」。「そんなの分からん」と言って玄関に向かう彼に、僕と女性誌記者だけが「辛いところを申し訳ありませんでした」と頭を下げた。よくメディアスクラムの問題が言われるけどさ、取材の陣容よりも現場に来てる記者のレベルが問題なんじゃないかと僕はよく思う。話を聞くのが自分の仕事で、相手が協力するのは普通。そんなふうに厚かましくも思ってる新聞やテレビの記者が多すぎるんだ。取材相手に対して、協力してもらってる、時間を割いてもらってる、余計な心労を与
えてる、そのおかげで何とか僕らの商売が成立している。そう分かっている記者ばかりなら、いま起きてるメディアスクラムの問題はだいぶ解消する。社内の1年生記者向けの研修でコメントを求められたから、大切なのは過度に遠慮することじゃなくて、相手を気遣いながら謙虚に取材のお願いをしてゆくことだと寄せたんだけどね、そういうマインドが少しでも広がっていけば、僕ら現場の環境ももう少しよくなる気がするんだ。きっと。

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