麻生太郎首相は十七日午後の衆院テロ防止特別委員会で、アフリカ東部ソマリア沖で頻発する海賊被害に対応するため、海上自衛隊艦艇の活用を検討する考えを示した。これに関連し、河村建夫官房長官は記者会見で「法律が必要なら検討しないといけない」と新法整備に前向きな姿勢を見せた。
民主党の長島昭久氏が「自衛隊艦艇による(海賊対策のための)エスコートはかなり効果がある。武力行使目的の派遣でない」と提案。首相は「こういう提案はすごくいいことだ。検討させてもらう」と応じた。
新法制定の動きが本格化すれば、海外での武力行使を禁じた憲法九条との関係や武器使用基準が議論になるのは必至だ。
政府関係者によると、海自艦を海賊対策として公海上に派遣する場合、日本の船舶の護衛に限るなら自衛隊法の海上警備行動発令で対応可能だが、他国船を守る活動では新法が必要となる。
首相は十七日夜、他国船の護衛について官邸で記者団に「二隻が襲われ日本の船だけ助け、ほかの船は助けないというのは世間では通らない」と述べ、新法の必要性に言及した。中曽根弘文外相も特別委で「海賊取り締まりの法制度上の枠組みについて、検討を進めたい」と強調した。
一方、公明党の太田昭宏代表は記者団に「法整備がきちんとできるのか勉強が必要だ」と新法に慎重姿勢を示した。
ソマリア沖は海賊被害が問題化し、日本関連船の被害も相次いでいる。
首相は海自によるインド洋での給油を継続する新テロ対策特別措置法改正案について「国際社会からの評価も高い」と成立に理解を求めた。
民主党の小沢一郎代表が「日本の安全保障は最終的には国連の平和維持活動によって担保される」と表明したことにも触れ「国連を自国の安全保障の最終的なよりどころにする国連中心主義の下で、国民の安寧を守ることはできない」と批判した。自民党の小池百合子元防衛相に対する答弁。
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