2008年12月02日
太田述正コラム#2948(2008.12.2)
<皆さんとディスカッション(続x324)>
<海驢>
太田さんが<コラム#2946で>引用されたasahi.com記事に出てきた「近代史研究家」は、拓殖大学日本文化研究所客員研究員の岩田温氏と思われます。当方が購読しているメルマガにおいて、件のアパ懸賞論文「佳作」として全文紹介されていました。
岩田氏の論文『真実の歴史の復活を求めて―検閲と東京裁判史観―』の内容は、「日本人の現実感覚の欠如。これこそが根源的に問われなければならない<上記論文より引用>」と問題提起し、それは歴史の喪失を要因とし、その端緒は「東京裁判、および特にGHQの検閲」であったとしています。
GHQの占領政策に進んで同調した左右を問わない日本人(吉田茂元首相をはじめ)への言及がない点などは少々食い足りなさを感じますが、プランゲ文庫等の一次資料にキチンと当たっていること、知覧の特攻平和会館での実体験を交えていること、「国家はあくまで自国の国益を追求する」「現在のヘタレぶりは日本人自身の問題」という指摘などは評価できると思います。
引用したいのですが、文字制限を超えるため、お手数ですが読みたい方は以下のURLからご確認ください。
※参考:宮崎正弘の国際ニュース・早読み - メルマ!
http://www.melma.com/backnumber_45206_4293522/
内容的には、こちらが「特賞」ではないかとの印象を受けましたが、審査側(全体ではないにせよ、その一部)では、「空幕長の論文」というインパクトで田母神氏が特賞になったのではないかと推察します。
蛇足ながら、朝日をはじめとしたマスコミは、「アパグループ代表と空幕長の癒着」という構図をやけに熱心に報道していますが、たかが賞金300万円を献上するために、公募・(外部審査員による)審査という手間をかけるとは思えないので(贈賄なら他にもいくらでも方法はある)、穿ちすぎのような気がします(論文内容の検証を避けるため?)。
<πππ>(http://society6.2ch.net/test/read.cgi/mass/1196337365/l50x)
たかじんに出てた元軍人さんにメディア露出するなとか言ってたけど、自分が呼ばれなかった嫉妬かw
主張が相入れないからってあんなこと言っちゃいかんわ。
自分だって呼ばれりゃ出るんだから。
<ΠΠΠ>(同上)
ヒント:東大卒が防大卒を管理するの図
<ΩΩΩ>(同上)
田母神を擁護するために出るな、ってことだろ
実際そうだよな。田母神を元自衛官総出で擁護すればするほど、一般視聴者には「なんか軍国主義っぽい」と思われちゃうんだから。逆効果。
<太田>
πππさん。私、加藤紘一(東大卒)、守屋武昌(東北大卒)、田母神俊雄(防大卒)、と皆さんを分け隔てなく「管理」してまっせ。
ΩΩΩさん、仰るとおりです。
「桜」の番組でご一緒した松島、川村、そして佐藤の元自衛隊将官の皆さんには、ダメな仲間を庇うな、と番組の中で申し上げたところです。
それにそもそも、このお三方とも天下り経験者でいらっしゃる。
(「桜」に出た時点では、そうではないと思っていたのですがね。ところが、松島氏は、経歴にそのことを謳われています
http://www.bodaidsk.com/19mci-00/01syoseki02/03-matsushima/matsushima00.html、
し、佐藤氏については、番組収録直後にご本人から直接うかがいました。また川村氏は、岡崎研究所副理事長をされており
http://www.okazaki-inst.jp/official/okazaki-inst/okazaki-aboutus.html
、同研究所の性格からして、これ自体が、(給与が出ているかどうかはともかくとして、)一種の天下りですし、川村氏には、これまで、恐らく文字通りの天下り経験もおありになる、と見るに至っています。)
こういう方々は、現役の自衛隊将官に準じ、私は、評論家活動それ自体をお控えになるべきだと思います。評論家がヒモ付きじゃ自由な評論などできないはずだからです。
私が潔癖すぎるというご批判は、甘んじて受けます。
なお、海驢さん、「名誉」を与えることだって、刑法の贈賄にこそ当たらないかもしれないけれど、贈賄的な行為ではあると思いますよ。しかも、それに賞金までついているというのですからね。
私なら、こんな「名誉」は、今からでも返上しますが・・。
<KS>
太田さんのコラムで今までなかった視点を知り、勉強させていただいております。50歳を超えて初めて日本人による現実主義に出合えた気持です。
<太田>
新たな購読者の方は大歓迎です。
<FUKO>
≫日本の安全保障の基本の基本について余りにも無知・・・です。一体どうしたらいいんでしょうね。≪(コラム#2946。太田)
安全保障を、中学・高校の教育で教えればいいと思います。
と言っても、現実的には安全保障を学問として中学・高校教育で教えるのは不可能でしょうか…。
世界史を学習する際、各国の安全保障を抜きにしては話が進んでいきません。にもかかわらず、(典拠がつけられないのですが…太田氏の経験に照らして頂ければお分かりになるのではないかと思います)安全保障というものを身近なものとして受け入れていない、どこか自らには関係ない世界の話として受け取っている人が多いと感じます。
例えば、ナチスに占領されたフランスを救ったのは米英による集団的自衛権の行使ですが、それを日本に置き換えて考える、ということをしているかといえば、あやしいものがありますし、
そもそも地理的に朝鮮半島が「日本の安全保障」にとって極めて重要であることすら日本人は忘れていやしないか…と考えてしまうのです。
そしてなぜ安全保障について日本人は無関心かつ自分勝手でいられるのか…
これについては太田氏のコラムを読むことで分かりました。
結局、国際政治において一人前の役割を果たすことができない属国ゆえ、安全保障について知り、考える機会が少なく、無知となるのだと思います。
なので解決策は民主党が政権を取り、独立国となること…でしょうか。
<太田>
民主党には、天下りの全廃を含む、政官業癒着構造の粉砕までしか期待はしていません。
ただし、それが日本が「独立」する前提条件である、と私は固く信じているのです。
最後にちょっとだけ記事の紹介です。
ムンバイのテロによる死者(テロリスト等が含まれているかどうかは不明)は173名へと下方修正されました。
http://www.nytimes.com/2008/12/02/world/asia/02mumbai.html?_r=1&hp=&pagewanted=print
支那人花嫁が日本でどんどん増えている、という記事が出ていました。
http://j.peopledaily.com.cn/94475/94701/6543908.html、
http://j.peopledaily.com.cn/94475/94701/6543910.html、
http://j.peopledaily.com.cn/94475/94701/6543915.html
<皆さんとディスカッション(続x324)>
<海驢>
太田さんが<コラム#2946で>引用されたasahi.com記事に出てきた「近代史研究家」は、拓殖大学日本文化研究所客員研究員の岩田温氏と思われます。当方が購読しているメルマガにおいて、件のアパ懸賞論文「佳作」として全文紹介されていました。
岩田氏の論文『真実の歴史の復活を求めて―検閲と東京裁判史観―』の内容は、「日本人の現実感覚の欠如。これこそが根源的に問われなければならない<上記論文より引用>」と問題提起し、それは歴史の喪失を要因とし、その端緒は「東京裁判、および特にGHQの検閲」であったとしています。
GHQの占領政策に進んで同調した左右を問わない日本人(吉田茂元首相をはじめ)への言及がない点などは少々食い足りなさを感じますが、プランゲ文庫等の一次資料にキチンと当たっていること、知覧の特攻平和会館での実体験を交えていること、「国家はあくまで自国の国益を追求する」「現在のヘタレぶりは日本人自身の問題」という指摘などは評価できると思います。
引用したいのですが、文字制限を超えるため、お手数ですが読みたい方は以下のURLからご確認ください。
※参考:宮崎正弘の国際ニュース・早読み - メルマ!
http://www.melma.com/backnumber_45206_4293522/
内容的には、こちらが「特賞」ではないかとの印象を受けましたが、審査側(全体ではないにせよ、その一部)では、「空幕長の論文」というインパクトで田母神氏が特賞になったのではないかと推察します。
蛇足ながら、朝日をはじめとしたマスコミは、「アパグループ代表と空幕長の癒着」という構図をやけに熱心に報道していますが、たかが賞金300万円を献上するために、公募・(外部審査員による)審査という手間をかけるとは思えないので(贈賄なら他にもいくらでも方法はある)、穿ちすぎのような気がします(論文内容の検証を避けるため?)。
<πππ>(http://society6.2ch.net/test/read.cgi/mass/1196337365/l50x)
たかじんに出てた元軍人さんにメディア露出するなとか言ってたけど、自分が呼ばれなかった嫉妬かw
主張が相入れないからってあんなこと言っちゃいかんわ。
自分だって呼ばれりゃ出るんだから。
<ΠΠΠ>(同上)
ヒント:東大卒が防大卒を管理するの図
<ΩΩΩ>(同上)
田母神を擁護するために出るな、ってことだろ
実際そうだよな。田母神を元自衛官総出で擁護すればするほど、一般視聴者には「なんか軍国主義っぽい」と思われちゃうんだから。逆効果。
<太田>
πππさん。私、加藤紘一(東大卒)、守屋武昌(東北大卒)、田母神俊雄(防大卒)、と皆さんを分け隔てなく「管理」してまっせ。
ΩΩΩさん、仰るとおりです。
「桜」の番組でご一緒した松島、川村、そして佐藤の元自衛隊将官の皆さんには、ダメな仲間を庇うな、と番組の中で申し上げたところです。
それにそもそも、このお三方とも天下り経験者でいらっしゃる。
(「桜」に出た時点では、そうではないと思っていたのですがね。ところが、松島氏は、経歴にそのことを謳われています
http://www.bodaidsk.com/19mci-00/01syoseki02/03-matsushima/matsushima00.html、
し、佐藤氏については、番組収録直後にご本人から直接うかがいました。また川村氏は、岡崎研究所副理事長をされており
http://www.okazaki-inst.jp/official/okazaki-inst/okazaki-aboutus.html
、同研究所の性格からして、これ自体が、(給与が出ているかどうかはともかくとして、)一種の天下りですし、川村氏には、これまで、恐らく文字通りの天下り経験もおありになる、と見るに至っています。)
こういう方々は、現役の自衛隊将官に準じ、私は、評論家活動それ自体をお控えになるべきだと思います。評論家がヒモ付きじゃ自由な評論などできないはずだからです。
私が潔癖すぎるというご批判は、甘んじて受けます。
なお、海驢さん、「名誉」を与えることだって、刑法の贈賄にこそ当たらないかもしれないけれど、贈賄的な行為ではあると思いますよ。しかも、それに賞金までついているというのですからね。
私なら、こんな「名誉」は、今からでも返上しますが・・。
<KS>
太田さんのコラムで今までなかった視点を知り、勉強させていただいております。50歳を超えて初めて日本人による現実主義に出合えた気持です。
<太田>
新たな購読者の方は大歓迎です。
<FUKO>
≫日本の安全保障の基本の基本について余りにも無知・・・です。一体どうしたらいいんでしょうね。≪(コラム#2946。太田)
安全保障を、中学・高校の教育で教えればいいと思います。
と言っても、現実的には安全保障を学問として中学・高校教育で教えるのは不可能でしょうか…。
世界史を学習する際、各国の安全保障を抜きにしては話が進んでいきません。にもかかわらず、(典拠がつけられないのですが…太田氏の経験に照らして頂ければお分かりになるのではないかと思います)安全保障というものを身近なものとして受け入れていない、どこか自らには関係ない世界の話として受け取っている人が多いと感じます。
例えば、ナチスに占領されたフランスを救ったのは米英による集団的自衛権の行使ですが、それを日本に置き換えて考える、ということをしているかといえば、あやしいものがありますし、
そもそも地理的に朝鮮半島が「日本の安全保障」にとって極めて重要であることすら日本人は忘れていやしないか…と考えてしまうのです。
そしてなぜ安全保障について日本人は無関心かつ自分勝手でいられるのか…
これについては太田氏のコラムを読むことで分かりました。
結局、国際政治において一人前の役割を果たすことができない属国ゆえ、安全保障について知り、考える機会が少なく、無知となるのだと思います。
なので解決策は民主党が政権を取り、独立国となること…でしょうか。
<太田>
民主党には、天下りの全廃を含む、政官業癒着構造の粉砕までしか期待はしていません。
ただし、それが日本が「独立」する前提条件である、と私は固く信じているのです。
最後にちょっとだけ記事の紹介です。
ムンバイのテロによる死者(テロリスト等が含まれているかどうかは不明)は173名へと下方修正されました。
http://www.nytimes.com/2008/12/02/world/asia/02mumbai.html?_r=1&hp=&pagewanted=print
支那人花嫁が日本でどんどん増えている、という記事が出ていました。
http://j.peopledaily.com.cn/94475/94701/6543908.html、
http://j.peopledaily.com.cn/94475/94701/6543910.html、
http://j.peopledaily.com.cn/94475/94701/6543915.html
防衛省17:51
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太田述正コラム#2854(2008.10.16)
<米国はどうして覇権国になれたのか(その1)>(2008.12.2公開)
1 始めに
コラム#2853で「米国が世界の覇権国になれたのは、それが賭博師の国だからだ、というのが私の考えです。 正確に言うと、その賭博師で成功を収めた個々人が同時に無償の慈善活動や社会活動を担ったことが米国をして覇権国たらしめたのです。」と申し上げたところです。
少し補足しておきましょう。
2 米国はどうして覇権国になれたのか
(1)賭博師の国
ドイツの大蔵大臣のシュタインブルック(Peer Steinbruck)は、先般、「一つ大いにありそうなことがある。それは、米国が世界の金融システムにおける超大国としての地位を失うだろうということだ。」と述べました(
http://www.nytimes.com/2008/10/12/weekinreview/12leonhardt.html?hp=&pagewanted=print
。10月13日アクセス)。
一方、オーストラリアの首相のラッド(Kevin Rudd)は10月15日、「われわれが目にしているのは<米国における>極端な資本主義の完全な失敗だ。極端な資本主義は、今度は将来の失敗を防止するために政府に助けを求めている。」と述べ、世界は現在恐怖と貪欲という「双子の悪」と格闘しており、政府が盛んに救いの手を差し伸べているのは前者に対処するためであり、後者に対処するためには今後<金融産業の>幹部達への巨額の給与や賞与を是正しなければならない」と続けました(
http://www.taipeitimes.com/News/world/archives/2008/10/16/2003426051
。10月16日アクセス)。
しかし、私に言わせれば、一攫千金を夢見て新大陸に移住してきた賭博師的な人々(コラム#307)の「貪欲」とすってんてんになるのではないかという「恐怖」こそが米国を覇権国まで押し上げた(注)のであり、このような米国人のメンタリティーを変えることは容易ではありませんし、また、このようなメンタリティーが変わらない限り、米国が人口減少に見舞われでもしない限り、「世界の金融システムにおける超大国としての地位」を失う可能性もまたほとんど考えられないのです。
(注)後述の説明参照のこと。なお、雑ぱくに過ぎることは承知の上で申し上げるが、同じく一攫千金を夢見ていたとはいえ、中南米にやってきた人々は、一攫千金に成功したらそのカネを持って本国に戻ろうと思っていたし、後にカナダとなる地域にやってきた人々は、そもそも賭博師的な人々ではなかった、といったところか。このスタート地点での違いが尾を引き、米国>カナダ>中南米、という経済成長率格差を生んだと私は考えている。
米国が英国に倣って、欧州大陸諸国同様、金融危機回避のため、資本注入を行うこととしたことも、米国が極端な資本主義から変針する兆候と見ることはできません。
2001年のノーベル経済学賞受賞者のスティグリッツ(Joseph Stiglitz)は次のように記しています。
「英国は何らかのアカウンタビリティのシステムを信奉していることを示した。<資本注入の見返りに>銀行の頭取達は辞任したからだ。この類のことは米国では起きなかった。
・・・はっきりしているのは、われわれは<銀行等に>投票権を持たないであろうことだ。ウォール街はわれわれのカネを与えられるけれど、そのカネを連中がどう使うかについて十分な発言権を持たないであろうということだ。・・・
ウォーレン・バフェット(Warren Buffett)がゴールドマン・サックスに資本を提供した時に確保した条件とは比べものにならない。バフェットは、<同社の株式を>将来、現在の<下がった>株価以下で買うことができる保証を得た。ところが、ポールソン<財務長官>は、将来、その時点での時価で買うことができる保証を得たにとどまる。バフェットは彼が投じたカネの価値に100%見合う保証を得たのに、米国の納税者は15%しか得ていないのだ。しかも、ジョージ・ソロス(George Soros)が指摘したように、何年か経って、経済情勢が好転した時、諸銀行は、政府に資本<注入>の見返りを提供することが義務づけられていないのだ。政府は転換社債(convertible shares)の形で資本注入をすることで、将来株価が上がった時に自動的に利益が帰属するようにすべきだったのだ。
(以上、
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2008/oct/16/useconomy-usa
(10月16日アクセス)による。)
(2)無償の慈善活動や社会活動の国
では、私が、米国をして世界の覇権国たらしめたもう一つの要素である、無償の慈善活動や社会活動の方はどんな具合になっているのでしょうか。
(続く)
<米国はどうして覇権国になれたのか(その1)>(2008.12.2公開)
1 始めに
コラム#2853で「米国が世界の覇権国になれたのは、それが賭博師の国だからだ、というのが私の考えです。 正確に言うと、その賭博師で成功を収めた個々人が同時に無償の慈善活動や社会活動を担ったことが米国をして覇権国たらしめたのです。」と申し上げたところです。
少し補足しておきましょう。
2 米国はどうして覇権国になれたのか
(1)賭博師の国
ドイツの大蔵大臣のシュタインブルック(Peer Steinbruck)は、先般、「一つ大いにありそうなことがある。それは、米国が世界の金融システムにおける超大国としての地位を失うだろうということだ。」と述べました(
http://www.nytimes.com/2008/10/12/weekinreview/12leonhardt.html?hp=&pagewanted=print
。10月13日アクセス)。
一方、オーストラリアの首相のラッド(Kevin Rudd)は10月15日、「われわれが目にしているのは<米国における>極端な資本主義の完全な失敗だ。極端な資本主義は、今度は将来の失敗を防止するために政府に助けを求めている。」と述べ、世界は現在恐怖と貪欲という「双子の悪」と格闘しており、政府が盛んに救いの手を差し伸べているのは前者に対処するためであり、後者に対処するためには今後<金融産業の>幹部達への巨額の給与や賞与を是正しなければならない」と続けました(
http://www.taipeitimes.com/News/world/archives/2008/10/16/2003426051
。10月16日アクセス)。
しかし、私に言わせれば、一攫千金を夢見て新大陸に移住してきた賭博師的な人々(コラム#307)の「貪欲」とすってんてんになるのではないかという「恐怖」こそが米国を覇権国まで押し上げた(注)のであり、このような米国人のメンタリティーを変えることは容易ではありませんし、また、このようなメンタリティーが変わらない限り、米国が人口減少に見舞われでもしない限り、「世界の金融システムにおける超大国としての地位」を失う可能性もまたほとんど考えられないのです。
(注)後述の説明参照のこと。なお、雑ぱくに過ぎることは承知の上で申し上げるが、同じく一攫千金を夢見ていたとはいえ、中南米にやってきた人々は、一攫千金に成功したらそのカネを持って本国に戻ろうと思っていたし、後にカナダとなる地域にやってきた人々は、そもそも賭博師的な人々ではなかった、といったところか。このスタート地点での違いが尾を引き、米国>カナダ>中南米、という経済成長率格差を生んだと私は考えている。
米国が英国に倣って、欧州大陸諸国同様、金融危機回避のため、資本注入を行うこととしたことも、米国が極端な資本主義から変針する兆候と見ることはできません。
2001年のノーベル経済学賞受賞者のスティグリッツ(Joseph Stiglitz)は次のように記しています。
「英国は何らかのアカウンタビリティのシステムを信奉していることを示した。<資本注入の見返りに>銀行の頭取達は辞任したからだ。この類のことは米国では起きなかった。
・・・はっきりしているのは、われわれは<銀行等に>投票権を持たないであろうことだ。ウォール街はわれわれのカネを与えられるけれど、そのカネを連中がどう使うかについて十分な発言権を持たないであろうということだ。・・・
ウォーレン・バフェット(Warren Buffett)がゴールドマン・サックスに資本を提供した時に確保した条件とは比べものにならない。バフェットは、<同社の株式を>将来、現在の<下がった>株価以下で買うことができる保証を得た。ところが、ポールソン<財務長官>は、将来、その時点での時価で買うことができる保証を得たにとどまる。バフェットは彼が投じたカネの価値に100%見合う保証を得たのに、米国の納税者は15%しか得ていないのだ。しかも、ジョージ・ソロス(George Soros)が指摘したように、何年か経って、経済情勢が好転した時、諸銀行は、政府に資本<注入>の見返りを提供することが義務づけられていないのだ。政府は転換社債(convertible shares)の形で資本注入をすることで、将来株価が上がった時に自動的に利益が帰属するようにすべきだったのだ。
(以上、
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2008/oct/16/useconomy-usa
(10月16日アクセス)による。)
(2)無償の慈善活動や社会活動の国
では、私が、米国をして世界の覇権国たらしめたもう一つの要素である、無償の慈善活動や社会活動の方はどんな具合になっているのでしょうか。
(続く)
防衛省08:15
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2008年12月01日
太田述正コラム#2946(2008.12.1)
<皆さんとディスカッション(続x323)>
<ばんぷ>
お気づきかもしれませんが、田母神さん@たかじん〜がアップされました。
ご感想をお聞かせ頂ければと思います。
http://takajintv.blog101.fc2.com/blog-entry-66.html
<太田>
勘弁して下さい。
「・・・アパグループ<の>・・・元谷代表は当初から田母神氏の論文と知り得る立場で審査に加わり、メンバーで唯一最高点を与えていた。田母神論文を含む3作品が同点で並ぶと、元谷代表は田母神論文を推していたという。・・・委員の一人、花岡信昭氏によると、審査の後、元谷代表が審査前から田母神氏の論文応募を知っていたことを明かしたという。元谷代表は審査委員に名を連ねておらず、アパ側は元谷代表が採点に加わっていた事実をこれまで公表していない。山本秀一氏は「元谷代表が、他の委員が高く評価した論文をおしなべて低く評価したことに不自然さを感じた」と話す。一覧表では、田母神論文と大学生、近代史研究家の論文が合計点数で同点に並んでいた。元谷代表の提案で大学生の論文をまず優秀賞に落とし、残った2作品のうち、元谷代表が田母神論文を推した。「異存ありませんか」と元谷代表が各委員に確認したが、反対意見は出なかったという。小松崎和夫氏は「今思えば、元谷代表は初めから田母神氏の応募を知っていたのだから、トップにしようと思えばできたはずだ」と話す。山本氏は「田母神氏に賞金を贈るための懸賞論文と見られても仕方がない」と語る。・・・」
http://www.asahi.com/national/update/1201/OSK200811300062.html
田母神氏は恥を知るべきです。そして、申し訳ないが松島氏と川村氏(後出)もね。
彼らは、いつまで本件でマスコミへの露出を続けるつもりなのでしょうか。
<VincentVega>
先週ファンさんが書いていた、田母神さん登場の「たかじんの〜」がさっそくユーチューブにあがっていたので観ました。
http://jp.youtube.com/watch?v=LimSaXq1VQY
チャンネル桜で太田さんと討論していた松島さんと川村さんも登場して相変わらず同じような主張で共同戦線を張っていますね。
しかし右と左の言い合いはいつまでも話が平行線で物足りなく感じるので、太田さんがあいだに割り込んでほしいところです。
<太田>
ユーチューブ見るのはやめて、
http://takajintv.blog101.fc2.com/blog-entry-66.html
を斜め読みしました。
a:左派でまともな人ってたとえば誰? 見たことないぞ。
b:あれ<(原和美)>よりましなのはいるだろう。いなかったら辻本でも呼べよ。もうちょっとまともな反論するだろう。共産党の誰かでもいいよ。ちょっとあれはひどすぎるよ。左派がかわいそうだw。・・・
c:福島瑞穂に出演のオファーを出したら最初は受けたのに、すぐ後にドタキャンして結局番組出演はなしになった。辛抱が暴露してたよ^^
・・・
d:IQが100に満たないネトウヨ
・・・
e:国防だ国防だといいながらそれを食い物にしている輩が多勢居るんだ 防衛族? こいつらは国賊だぜ
→「左」と「右」がディベートできないわけですな。
私が「左」の人とウマが合う理由もお分かりいただけるのでは。
もうじき辻元さんと私との対談が雑誌に載るので、お読みあれ。
f:太田述正などは冷戦期のソ連でも日本への侵略の可能性はなかったと言ってる。
と私への言及がなされていたのにはニンマリ。
この際一言。
これまで、私の話を聞いてそれを記事にした場合、私が手を入れなきゃ支離滅裂な内容になっちゃうことが多いのですな。
これはジャーナリスト、ライター、編集者の皆さんがどれだけ優秀であろうと、安全保障、とりわけ日本の安全保障の基本の基本について余りにも無知だからです。
一体どうしたらいいんでしょうね。
<qqq>(http://society6.2ch.net/test/read.cgi/mass/1196337365/l50x)
太田の話は最期までじっくり聞くとなかなか面白いことを言ってるけど、ではどう行動するかになるととんちんかんになることが多い。
西部邁なんかと同じで性根左翼のちょっと変わったことを言う人ってのがせいぜいじゃないかな。
だけど西部にしても太田にしても局面局面ではとても鋭いことを言ってるから、ときどきマスコミに登場してマジックで魅せて欲しい
<太田>
マジック、マジックとおっしゃるが、口幅ったいけど、私は現在のあなた方の醜い姿を鏡に映して見せてあげているだけすよ。
あなた方こそ、まともな日本人へと回帰する変身譚の主人公になれるし、なって欲しい。
期待しています。
<moshika>
<コラム#2942でのディスチミアと雅子様への言及について。>
皇室問題を取り扱った「朝生」(2008/8/29)で精神科医の斎藤環氏が、雅子様の病状を「ディスチミア親和型うつなのでは」とおっしゃっていました。
「私はディスチミア親和型うつ病という診断の方がより適切ではないかと考えています。適応障害は一番浅いレベルの病理。重篤な診断名を避けるために政治的判断でつけられた大変巧妙な診断名だと思います」(斎藤)
http://www.mainichi.co.jp/syuppan/sunday/tokusyuu/news/20081125-151928.html
適応障害は「症状はストレス因子が消失すれば数か月程度の期間をおいて消失することが多い」のであり、ディスチミア親和型うつは「置かれた場・環境の変化で急速に改善することがある」ものの、「部分的効果にとどまる(病み終えない)」のならば、環境=皇室から離れ続ける理由になってしまうのでは。
http://slackerscript.blog18.fc2.com/blog-entry-86.html
朝生) http://blog.livedoor.jp/fanny_valentine/archives/51121346.html
<太田>
お示しの
http://slackerscript.blog18.fc2.com/blog-entry-86.html
を読んでの感想です。
「朝まで生テレビの中で、斉藤環がディスチミア親和型うつ病を"不真面目なうつ"、例えば、「仕事は出来ないけど遊びは出来る」、「公務は出来ないけどフランス料理を食べにいくなら何時間でもいい」、と説明した。」
→皇太子妃、そして皇后としての公務が果たせないのなら、公務復帰は諦めるのも一つの方策ですね。問題は国民の多数がそれで納得するかですが・・。だけど、現状においては愛子様のご養育だって雅子様のご公務であるという面もあるのでは? となると、女性天皇を可能にするような皇室典範の改正は行わないと閣議決定でもしてさしあげる必要がある、ということにもなりそうですね。(太田)
「衆人環視の状況に置かれて、普通でいられる人の方が珍しいのではないか?と思う。」
→美智子様が大変なご苦労をされてそれを克服された、というより、それをだましだまし公務を続けて来られただけに、国民の雅子様を見る目が厳しい、ということなのでしょう。雅子様が皇居に行きたがらない(=美智子様に会いたがらない)気持ち分かるなあ。(太田)
「精神疾患というと、なんだか根性論・精神論をもちだす人がいるので腹が立つ。がんになった人に、がんになったのはお前が悪い、という人はそうはいないのに、心の健康を害した人に対しては、甘えている、サボっている、やる気が無い、と言う。」
→それはその通りなのですが、どうしても国民の多数は美智子様と比較してしまうのでしょうね。
私が関心があるのは、どうして雅子様がこうなっちゃったかです。
事前に徹底的に調べただろうから、遺伝的要因は考えにくい。
となると、雅子様の養育環境に問題があった可能性が大です。
「ディスチミアの根本的な原因<は>「幼少時から親に過保護に育てられ、自分らしさを抑圧されてきた『いい子』の自己コミュニケーション障害」
http://sankei.jp.msn.com/life/body/081129/bdy0811290748000-n1.htm
だそうですよ(コラム#2374参照)。(太田)
話変わりますが、躁鬱病への処方薬を使いすぎて症状を悪化させてしまうケースが多いんだそうです。
http://www.taipeitimes.com/News/editorials/archives/2008/11/30/2003429929
(11月30日アクセス)
「知人」との出会い以来、心の病についての記事が出るとつい読んでしまいます。
<ファン>
さっき近所に最近できた本屋さん、明屋書店にいったら、太田さんの『実名告発 防衛省』が本棚に2冊あった。山口のど田舎にも、太田さんの本あるんだねえ・・・。amazonで注文する手間が省けた。
<太田>
それはそれは心強い。
ご購入ありがとうございます。
だけど、『実名告発 防衛省』は、いわば撒き餌であり、本当はその先の話にこそ皆さんに関心を持って欲しいってことを分かってくださいね。
「NHK「篤姫」視聴率、自己最高の29.2%、フィギュアも20%突破・・・週末夜のドラマ、スポーツ番組で、NHKが民放を圧倒した。
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/media/081201/med0812011019000-n1.htm
私も、「篤姫」と真央ちゃんが出たフィギュア見たよ。ただし、NHKハイビジョンでだけど。私だってミーハーなんです。
「・・・母子家庭が貧困に陥りやすいこと(日本のひとり親家庭の貧困率 は主要先進国で一番である)、そしてワーキングプア(低所得で過酷な労働の状況)であることが、母親の精神的な健康を悪化させ、また子どもへの虐待に結び付いている。・・・」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20081128/178627/
そりゃそうかもしれないけど、父子家庭が少なすぎること、つまり親権を母親に与えるのが当然という社会通念、そしてこの社会通念を踏まえた裁判所の調停や判決の際の逆男女差別的な方針がそもそも問題じゃないかい?
・・・麻生内閣の支持率は31%となり、10月末の前回調査に比べて17ポイント低下した。不支持率は19ポイント上昇し62%となり、初めて支持と不支持が逆転した。・・・政党支持率は自民党が前回から2ポイント低下し39%、民主が1ポイント低下し30%となり両党ともほぼ横ばいだった。自民支持率は6月以来、民主を上回っている。
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20081201AT3S3000K30112008.html
・・・「衆院選後の首相にふさわしい人」を尋ねたところ、麻生首相は17%で前回の36%から急落したが、民主党の小沢一郎代表は前回からわずか1ポイント上昇の17%にとどまった。最も多いのは「麻生首相と小沢氏のどちらでもない」の60%だった。・・・
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20081201AT3S3000S30112008.html
小沢氏を代表に選んだ民主党議員達と麻生氏を総裁に選んだ自民党議員達は、いずれも明々白々な自傷行為に及んだのであり、一種心の病に罹っていると言ってよいでしょう。
こりゃ雅子様の心の病よりかよっぽど深刻な問題ですよ。
こんな議員連中を選んだのはあなた方有権者ですぞ。
ま、そうは言っても、何度も繰り返しているように、日本が米国の属国として厳しい世界情勢から隔離され保護されているため、国民の政治家への期待度が低く、碌な人物が政治家を目指さない、ということなんだけどね。
今日の「ディスカッション」は、ミーハーっぽくまとめました。
いかにも、フツーのブログっぽくなったかもね。
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太田述正コラム#2946(2008.12.1)
<スタンフォード留学と私>
→非公開
<皆さんとディスカッション(続x323)>
<ばんぷ>
お気づきかもしれませんが、田母神さん@たかじん〜がアップされました。
ご感想をお聞かせ頂ければと思います。
http://takajintv.blog101.fc2.com/blog-entry-66.html
<太田>
勘弁して下さい。
「・・・アパグループ<の>・・・元谷代表は当初から田母神氏の論文と知り得る立場で審査に加わり、メンバーで唯一最高点を与えていた。田母神論文を含む3作品が同点で並ぶと、元谷代表は田母神論文を推していたという。・・・委員の一人、花岡信昭氏によると、審査の後、元谷代表が審査前から田母神氏の論文応募を知っていたことを明かしたという。元谷代表は審査委員に名を連ねておらず、アパ側は元谷代表が採点に加わっていた事実をこれまで公表していない。山本秀一氏は「元谷代表が、他の委員が高く評価した論文をおしなべて低く評価したことに不自然さを感じた」と話す。一覧表では、田母神論文と大学生、近代史研究家の論文が合計点数で同点に並んでいた。元谷代表の提案で大学生の論文をまず優秀賞に落とし、残った2作品のうち、元谷代表が田母神論文を推した。「異存ありませんか」と元谷代表が各委員に確認したが、反対意見は出なかったという。小松崎和夫氏は「今思えば、元谷代表は初めから田母神氏の応募を知っていたのだから、トップにしようと思えばできたはずだ」と話す。山本氏は「田母神氏に賞金を贈るための懸賞論文と見られても仕方がない」と語る。・・・」
http://www.asahi.com/national/update/1201/OSK200811300062.html
田母神氏は恥を知るべきです。そして、申し訳ないが松島氏と川村氏(後出)もね。
彼らは、いつまで本件でマスコミへの露出を続けるつもりなのでしょうか。
<VincentVega>
先週ファンさんが書いていた、田母神さん登場の「たかじんの〜」がさっそくユーチューブにあがっていたので観ました。
http://jp.youtube.com/watch?v=LimSaXq1VQY
チャンネル桜で太田さんと討論していた松島さんと川村さんも登場して相変わらず同じような主張で共同戦線を張っていますね。
しかし右と左の言い合いはいつまでも話が平行線で物足りなく感じるので、太田さんがあいだに割り込んでほしいところです。
<太田>
ユーチューブ見るのはやめて、
http://takajintv.blog101.fc2.com/blog-entry-66.html
を斜め読みしました。
a:左派でまともな人ってたとえば誰? 見たことないぞ。
b:あれ<(原和美)>よりましなのはいるだろう。いなかったら辻本でも呼べよ。もうちょっとまともな反論するだろう。共産党の誰かでもいいよ。ちょっとあれはひどすぎるよ。左派がかわいそうだw。・・・
c:福島瑞穂に出演のオファーを出したら最初は受けたのに、すぐ後にドタキャンして結局番組出演はなしになった。辛抱が暴露してたよ^^
・・・
d:IQが100に満たないネトウヨ
・・・
e:国防だ国防だといいながらそれを食い物にしている輩が多勢居るんだ 防衛族? こいつらは国賊だぜ
→「左」と「右」がディベートできないわけですな。
私が「左」の人とウマが合う理由もお分かりいただけるのでは。
もうじき辻元さんと私との対談が雑誌に載るので、お読みあれ。
f:太田述正などは冷戦期のソ連でも日本への侵略の可能性はなかったと言ってる。
と私への言及がなされていたのにはニンマリ。
この際一言。
これまで、私の話を聞いてそれを記事にした場合、私が手を入れなきゃ支離滅裂な内容になっちゃうことが多いのですな。
これはジャーナリスト、ライター、編集者の皆さんがどれだけ優秀であろうと、安全保障、とりわけ日本の安全保障の基本の基本について余りにも無知だからです。
一体どうしたらいいんでしょうね。
<qqq>(http://society6.2ch.net/test/read.cgi/mass/1196337365/l50x)
太田の話は最期までじっくり聞くとなかなか面白いことを言ってるけど、ではどう行動するかになるととんちんかんになることが多い。
西部邁なんかと同じで性根左翼のちょっと変わったことを言う人ってのがせいぜいじゃないかな。
だけど西部にしても太田にしても局面局面ではとても鋭いことを言ってるから、ときどきマスコミに登場してマジックで魅せて欲しい
<太田>
マジック、マジックとおっしゃるが、口幅ったいけど、私は現在のあなた方の醜い姿を鏡に映して見せてあげているだけすよ。
あなた方こそ、まともな日本人へと回帰する変身譚の主人公になれるし、なって欲しい。
期待しています。
<moshika>
<コラム#2942でのディスチミアと雅子様への言及について。>
皇室問題を取り扱った「朝生」(2008/8/29)で精神科医の斎藤環氏が、雅子様の病状を「ディスチミア親和型うつなのでは」とおっしゃっていました。
「私はディスチミア親和型うつ病という診断の方がより適切ではないかと考えています。適応障害は一番浅いレベルの病理。重篤な診断名を避けるために政治的判断でつけられた大変巧妙な診断名だと思います」(斎藤)
http://www.mainichi.co.jp/syuppan/sunday/tokusyuu/news/20081125-151928.html
適応障害は「症状はストレス因子が消失すれば数か月程度の期間をおいて消失することが多い」のであり、ディスチミア親和型うつは「置かれた場・環境の変化で急速に改善することがある」ものの、「部分的効果にとどまる(病み終えない)」のならば、環境=皇室から離れ続ける理由になってしまうのでは。
http://slackerscript.blog18.fc2.com/blog-entry-86.html
朝生) http://blog.livedoor.jp/fanny_valentine/archives/51121346.html
<太田>
お示しの
http://slackerscript.blog18.fc2.com/blog-entry-86.html
を読んでの感想です。
「朝まで生テレビの中で、斉藤環がディスチミア親和型うつ病を"不真面目なうつ"、例えば、「仕事は出来ないけど遊びは出来る」、「公務は出来ないけどフランス料理を食べにいくなら何時間でもいい」、と説明した。」
→皇太子妃、そして皇后としての公務が果たせないのなら、公務復帰は諦めるのも一つの方策ですね。問題は国民の多数がそれで納得するかですが・・。だけど、現状においては愛子様のご養育だって雅子様のご公務であるという面もあるのでは? となると、女性天皇を可能にするような皇室典範の改正は行わないと閣議決定でもしてさしあげる必要がある、ということにもなりそうですね。(太田)
「衆人環視の状況に置かれて、普通でいられる人の方が珍しいのではないか?と思う。」
→美智子様が大変なご苦労をされてそれを克服された、というより、それをだましだまし公務を続けて来られただけに、国民の雅子様を見る目が厳しい、ということなのでしょう。雅子様が皇居に行きたがらない(=美智子様に会いたがらない)気持ち分かるなあ。(太田)
「精神疾患というと、なんだか根性論・精神論をもちだす人がいるので腹が立つ。がんになった人に、がんになったのはお前が悪い、という人はそうはいないのに、心の健康を害した人に対しては、甘えている、サボっている、やる気が無い、と言う。」
→それはその通りなのですが、どうしても国民の多数は美智子様と比較してしまうのでしょうね。
私が関心があるのは、どうして雅子様がこうなっちゃったかです。
事前に徹底的に調べただろうから、遺伝的要因は考えにくい。
となると、雅子様の養育環境に問題があった可能性が大です。
「ディスチミアの根本的な原因<は>「幼少時から親に過保護に育てられ、自分らしさを抑圧されてきた『いい子』の自己コミュニケーション障害」
http://sankei.jp.msn.com/life/body/081129/bdy0811290748000-n1.htm
だそうですよ(コラム#2374参照)。(太田)
話変わりますが、躁鬱病への処方薬を使いすぎて症状を悪化させてしまうケースが多いんだそうです。
http://www.taipeitimes.com/News/editorials/archives/2008/11/30/2003429929
(11月30日アクセス)
「知人」との出会い以来、心の病についての記事が出るとつい読んでしまいます。
<ファン>
さっき近所に最近できた本屋さん、明屋書店にいったら、太田さんの『実名告発 防衛省』が本棚に2冊あった。山口のど田舎にも、太田さんの本あるんだねえ・・・。amazonで注文する手間が省けた。
<太田>
それはそれは心強い。
ご購入ありがとうございます。
だけど、『実名告発 防衛省』は、いわば撒き餌であり、本当はその先の話にこそ皆さんに関心を持って欲しいってことを分かってくださいね。
「NHK「篤姫」視聴率、自己最高の29.2%、フィギュアも20%突破・・・週末夜のドラマ、スポーツ番組で、NHKが民放を圧倒した。
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/media/081201/med0812011019000-n1.htm
私も、「篤姫」と真央ちゃんが出たフィギュア見たよ。ただし、NHKハイビジョンでだけど。私だってミーハーなんです。
「・・・母子家庭が貧困に陥りやすいこと(日本のひとり親家庭の貧困率 は主要先進国で一番である)、そしてワーキングプア(低所得で過酷な労働の状況)であることが、母親の精神的な健康を悪化させ、また子どもへの虐待に結び付いている。・・・」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20081128/178627/
そりゃそうかもしれないけど、父子家庭が少なすぎること、つまり親権を母親に与えるのが当然という社会通念、そしてこの社会通念を踏まえた裁判所の調停や判決の際の逆男女差別的な方針がそもそも問題じゃないかい?
・・・麻生内閣の支持率は31%となり、10月末の前回調査に比べて17ポイント低下した。不支持率は19ポイント上昇し62%となり、初めて支持と不支持が逆転した。・・・政党支持率は自民党が前回から2ポイント低下し39%、民主が1ポイント低下し30%となり両党ともほぼ横ばいだった。自民支持率は6月以来、民主を上回っている。
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20081201AT3S3000K30112008.html
・・・「衆院選後の首相にふさわしい人」を尋ねたところ、麻生首相は17%で前回の36%から急落したが、民主党の小沢一郎代表は前回からわずか1ポイント上昇の17%にとどまった。最も多いのは「麻生首相と小沢氏のどちらでもない」の60%だった。・・・
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20081201AT3S3000S30112008.html
小沢氏を代表に選んだ民主党議員達と麻生氏を総裁に選んだ自民党議員達は、いずれも明々白々な自傷行為に及んだのであり、一種心の病に罹っていると言ってよいでしょう。
こりゃ雅子様の心の病よりかよっぽど深刻な問題ですよ。
こんな議員連中を選んだのはあなた方有権者ですぞ。
ま、そうは言っても、何度も繰り返しているように、日本が米国の属国として厳しい世界情勢から隔離され保護されているため、国民の政治家への期待度が低く、碌な人物が政治家を目指さない、ということなんだけどね。
今日の「ディスカッション」は、ミーハーっぽくまとめました。
いかにも、フツーのブログっぽくなったかもね。
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太田述正コラム#2946(2008.12.1)
<スタンフォード留学と私>
→非公開
防衛省14:09
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