札幌市北区の女性が自宅で早産した未熟児(男児)が昨年11月、七つの病院に「満床」などの理由で受け入れを断られ、119番通報から約1時間半後、新生児集中治療室(NICU)のない病院に運ばれ、数日後に死亡していたことが分かった。札幌市病院局の野崎清史・経営管理部長は「結果的に亡くなられたことは残念。大変、申し訳ない」と陳謝し、受け入れ態勢に問題があったことを認めた。
市などによると、女性は昨年11月15日深夜、自宅で未熟児を早産。未熟児は救急車で運ばれた。しかし、救急隊は病院を探したが、NICUを備えた市立札幌病院、北大病院、札幌医大付属病院など5病院と、NICUのない2病院が「満床」「別の患者の治療中」などを理由に受け入れを断った。この間、未熟児は一時、心肺停止状態に陥った。通報から約1時間半後、8カ所目の手稲渓仁会病院(同市手稲区)が受け入れたが、同病院にはNICUがなく、未熟児は処置を受けたものの数日後に死亡した。
市消防局は「7病院の受け入れ拒否はまれなケース」と話している。市立札幌病院は「当時、受け入れは現実的に無理だったので、ほかの病院を探すよう要請した」と説明。市保健所は「結果的に被害者は患者で、亡くなったのは大変残念だ。確実に搬送できる態勢を確保していく」と話した。【内藤陽】
毎日新聞 2008年12月2日 12時15分(最終更新 12月2日 13時33分)