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宇宙紙飛行機の発射見送り 衝突事故やごみ化を懸念

2008年12月2日7時6分

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写真宇宙を飛ぶ予定だった紙飛行機=広島県福山市

 国際宇宙ステーション(ISS)から地球に向けて紙飛行機を飛ばす研究を進めていた宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、来年2月からISSに長期滞在する若田光一・宇宙飛行士に託す予定だった飛行実験を見送ることになった。JAXAによると、紙飛行機が地球に帰還せずにISSや人工衛星に衝突し、衛星を破損したり、地球の周りを高速で回り続ける「宇宙ごみ」になったりする恐れがあり、対策を検討するという。

 実験は、JAXAや広島県福山市の精密部品メーカー、東京大学大学院などが共同で紙飛行機(全長38センチ、幅22センチ、重さ29グラム)をISSから飛ばし、無事に地球に帰還できるかを試す予定だった。

 実験のために帰還時の空気摩擦による高温に耐えられるようサトウキビ繊維を化学処理し、耐熱性を高めた特殊な紙も開発。1月に東大の実験用超高速風洞で、音速の7倍の速さの気流や約200度の高温に耐えることも確かめた。メーカー側は10月、若田宇宙飛行士のISS搭乗に合わせて作った紙飛行機9機をJAXAの米国ヒューストン駐在員事務所へ発送していた。

 ただ、高速で地球の周りを回るISSから放たれる紙飛行機も高速で飛ぶため、飛ばす方向を誤った場合、紙飛行機がISSや他の人工衛星にぶつかり、太陽電池パネルなどの部品を破損させる恐れがあるという。それを防ぐための地上からの監視態勢の整備などが間に合わなかったという。(吉田博行)

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