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【社説】

温暖化対策会議 転換の兆しが見える

2008年12月2日

 二〇一三年以降の温室効果ガス削減ルールづくりの期限まで、あと一年。米国の復帰も間近に迫り、一日からポーランドで始まった気候変動枠組み条約会議(COP14)は大きな転換点になる。

 昨年末のバリ会議(COP13)では、〇九年末のコペンハーゲン会議(COP15)までに、新たな削減の枠組みを定めることで合意し、スケジュールや論点をまとめたバリ行動計画(行程表)をつくった。

 世界的な金融危機、米国の政権交代決定など、温暖化をめぐる国際環境が激変する中で、ポーランドのポズナニ会議は折り返し点として重要な意味を持つ。温暖化対策のプロセス自体が、停滞から「変化」にかじを切るはずだ。

 最大の変化は、米国の「転換」だ。ブッシュ大統領は、経済への影響を考慮して七年前に京都議定書を離脱した。

 オバマ次期大統領は温暖化対策で「指導力を発揮する」と表明しており、次期削減枠組みでは米国が、離脱から率先へ百八十度転回するのは明らかだ。ポズナニ会議はその契機にもなるだろう。

 オバマ次期大統領はすでに、米国の排出量を二〇年までには一九九〇年レベルに抑え、五〇年には九〇年比80%減らすと明言した。企業に排出上限枠(キャップ)を課すキャップ・アンド・トレード型の排出量取引も、連邦政府として取り入れる。十分とはいえないまでも、中長期目標を兼ね備えた米国の提案は積極的、具体的に見える。

 米国の転換は、環境産業と環境金融を米国経済再生の柱にしようという新たな政策の上に立つ。次期枠組みの成立過程で指導力を発揮できれば、そこから生まれる巨大国際環境市場で優位に立てる。ここへ来て、欧州が長期目標を打ち出したのも、そのためだ。

 日本政府はインド、中国といった新興国にも削減義務を課すよう、強く求めている。その方針にはうなずける。だが、中期目標設定などを先送りしたままの日本が、次期枠組みでどれだけ減らせるか、途上国にどのような支援をするかは、あいまいのままである。

 交渉妥結に向けて、新興国や途上国が先進国に求めているのは、野心的かつ具体的な提案だ。日本はポズナニ会議を「あいまいさ」から脱皮する転換点にするべきだ。さもないと、環境市場などでも欧米に、あっという間に水をあけられることになる。

 

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