百貨店各社が新春初売りの福袋に知恵を絞っている。食の安全に対する消費者の関心の高まりに応えて農作業を体験できる企画や、女性の「変身願望」に焦点をあてたアイデアなど、あの手この手で話題づくりに精を出している。景気悪化で厳しい商戦が予想される中、来店増につなげようと懸命だ。
三越銀座店(東京都中央区)は、千葉県で36平方メートルの農地を1年間借り、大根や白菜など野菜の栽培から収穫までを体験できる福袋(3万1500円、1組2人限定)を用意した。高島屋大阪店(大阪市)も滋賀県内で田植えと稲刈りを体験し、新米1俵分が届く福袋(3万円、15人限定)をそろえた。三越広報は「食の問題や物価高と暗い話題が多いが、家族で収穫を楽しんでみては」と話す。
高島屋東京店(東京都中央区)は、中高年女性を対象に、著名メーキャップアーティストの吉川康雄氏らによる、ファッションアドバイスや化粧、エステなどがまとめて受けられる「ビューティー・マダムプロジェクト」(8万8888円、3人限定)を販売。普段なら28万円相当のサービスだが、価格は3分の1以下で縁起の良い「末広がり」とした。
東京・池袋の西武百貨店池袋本店と東武百貨店本店は、史上初となる両店共通の福袋「池袋街歩き福袋 池ふくろ~」(2960円、20組40人限定)を考案した。池袋周辺の水族館や美術館の入場券、両店内のレストラン食事券などが入っている。東京メトロ副都心線の開通で新宿や渋谷各地区との地域間競争が激化しており、顧客の池袋へのつなぎとめを図る。【小倉祥徳】
毎日新聞 2008年12月1日 21時18分(最終更新 12月2日 0時02分)