死因究明モデル事業の成果をヒアリング
「第17回診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会」(座長=前田雅英・首都大学東京法科大学院教授)が12月1日に開かれ、「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」の関係者3人からヒアリングを行った。3人はモデル事業の成果について「遺族らから感謝されることが多い」と述べる一方で、「評価結果報告書の作成までに時間がかかる」「人材確保が難しい」などの問題点も挙げた。【関連記事】
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モデル事業は、厚生労働省の補助事業として日本内科学会が主体となり、東京や大阪など全国10地域で実施されている。
松本博志・札幌医科大法医学教授は、モデル事業を実施して良かった点として、「遺族から『本当にありがとうございました』という言葉を頂いた。今後ともモデル事業を続ける上で、遺族の思いに応えていければ」と述べた。奥村明之進・阪大大学院医学系研究科呼吸器外科教授も、「遺族が感謝してくれることが多い。それまでの医療機関への誤解が解けたといった形で理解していただけたということは、それなりの意義があると感じている」と述べ、「医療安全調査委員会」(仮称)の設置に向けた期待感を示した。
その一方で、問題点として松本氏は、「苦労をしているのは、(解剖の際に)臨床の立会医を確保すること。本業を別に持っている中でやっていくため、解剖が夕方、翌日になり、遺族の思いに時間的なところで少し応えられない」とマンパワー不足を指摘。また、評価基準の標準化について奥村氏は、「個々の例で事故の内容は随分違うし、事故は先進的な外科治療やまだ経験したことのないものに起こってくる可能性が高いわけで、それを標準化というのはあまりなじまない」と述べた。
今後、モデル事業を全国に拡大する上での課題について、奥村氏は「評価委員の人材確保と質の確保。現状で何とかするのなら、できるだけ事務作業を軽減してほしい」と述べた。田浦和歌子・東京地域事務局調整看護師は、評価委員にシステムエラーの研究者を加えてほしいと提案。また、「医療安全調の事業の枠組みにPDCAサイクルが回るような仕組みを取り入れてほしい」と語った。
今回の検討会では、医療安全調の設置自体に賛同する意見は共通していたが、現在のモデル事業をそのまま医療安全調に活用することについては、さまざまな課題が浮き彫りになった。
更新:2008/12/01 22:19 キャリアブレイン
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