2008年12月の日記
2008.12.01.
どうしてか、ドライヤーを使ってると生臭いにおいがすることに気づきました。
なんで!?要素ないじゃんそのフレーバー!と困惑した時の不定期連載。
「神々の天敵か」
「もしかしたらこの世界の存在ではないのかもしれない――そんなことがあるのならだが。あいつだけが異質で、この世界の成り立ちのどこにも現れないんだ」
「ふうむ」
少なくともキムラック教徒にとってこれは、際どい話だ――あいつが避けたのもよく分かる。
もっとも、あいつが避けたのなら、自分まで避けるわけにもいくまい。複雑な心持ちで、こいつは先を促した。
「それで? そいつの力がお前に取り憑いてんのか」
「そうだ。聖域の第二世界図塔によって、ドラゴン種族の遺産は完結した。これで終わりだ。もう二度と、ドラゴン種族の力は頼れない」
「別に今のところ、これまで知ってたことと矛盾があるようにも思わんが」
こいつは指摘したが、これは先走りだったらしい。そいつは手で制すると、ゆっくりと続けた。
「ひとつ見落とされていたことがある。人間種族のルーツだ」
「漂着前の歴史は残っていない」
と、これも一般的に知られたことをこいつは告げた。そのため、開拓計画は難航している。大陸の結界が消えた今も、外洋がどういった状況なのか誰も知らないのだ。
そいつは同意した。
「ああ。人間種族は三百年前、本当にひょっこりと現れた。神々の現出が起こったのが千年前。人間種族が結界内に漂着したのが三百年前。この七百年間、どうやって外界で人間種族は生き長らえたのか」
2008.12.02.
一見凄そうだけどまったく無意味なわたしの特技(?)に「目覚まし時計をセットして眠るとその時刻の数分前に必ず目を覚ます」というのがあります。
役には立たないんですが、どういう仕組みでそうなってるのか気にはなっています。なんなんだろう。時の不定期連載。
「俺にそれを訊くのか?」
もちろんそれと分からずに質問しているはずもないだろう。こいつは面食らいつつも、こんなことを魔術士と語り合う自分の境遇に皮肉を感じた。
「その当時、人間は魔術士化していなかったから、神々の怒りは買わなかった。それがキムラック教会の見方だ。そして七百年間外界で生存していたってのがこの開拓計画の根拠でもある」
「違うと言ったら、反発するか?」
問いかけてくる。
(まったく――)
と、声に出さず呆れ返る。
厄介事だと分かって投げてきている。
計っているのだろうということは想像できた。キムラック教徒がどう反応するかを。
くたばれ、と仕草で示してから、こいつは首を振った。
「聞いてから判断するさ」
「俺にも確信があるわけじゃないが、これから先、あることが確認できれば、この推測は証明できると思う」
「なにが確認できたら?」
「あいつの死だ」
沈黙の空間を挟んで、向かい合う。
こちらがなにも言わないのを見て、そいつは口を開いた。
「あいつが始祖魔術士でないことが分かれば、かなりの部分がはっきりする」
「続けろよ」
「まずひとつ。あいつは天人種族に改造された、記憶と人格を与えられた人形だ。これが意味するのは、天人種族がなにかを隠すつもりだったということ」
「あと、俺たちが馬鹿だったってことか?」
「特定の立場がどうこうってことならもっと話は早かったかもな。でも違う。俺たち全員が、騙されるべくして騙されてたんだ。俺の先生だって」
そいつは言って、話を続けた。