ヨシザワさんとまつーら



「なあ松浦よお」

「その前にいいですか」

「なんだ?」

「前回このお話もう最後だって言いましたよね、なんでまだやってるんですか」

「いいじゃないか、大抵のシリーズものには番外編だとかなにやら余計なものがついてまわるものさ」

「ああそうですか。で、なんですか?」

「うん、ヨシザワさん留年しちゃっただろう?」

「そんな明るく言われても困りますけど」

「留年って事はもっかい三年生をやるってわけだ。三年生って事は松浦、お前と同級生なわけだ」

「まあそうですよね」

「ところで松浦、お前は私の事を何と呼んでいる?」

「先輩とかヨシザワさんとかですけど」

「それはアレだろ、お前が二年生で私が三年生だったからだろう?」

「そうですけど何か?」

「何か?じゃないだろ、これからお前と私は同級生だ、同じ三年生。先輩とか言うなよ」

「じゃあどうすればいいですか?」

「そうだな、ヨシザワさん、いや、これじゃ今まで通りだ、それに他人行儀な気がするな、どうしようか」

「私に言われても。っていうか回りの子は皆ヨシザワさんって言ってますけど」

「お前の回りの子はどうでもいいんだ。今はお前の問題だ」

「あの、いいですか?」

「なんだ?」

「これから私とヨシザワさんは同級生ですよね?」

「そうだと言っているだろう。お前が嫌だと言ってもどうしようも出来んぞ?」

「なのでそのお前っていう上から目線をやめてほしいんですけど」

「む、むぅ・・・それもそうだな、じゃあ何て呼ぼうか。あ、亜弥ちゃん、か?」

「・・・キモチワルイ」

「う、うるせぇ!我ながらキモいと思ったわ!分かってるよ!」

「ヨシザワさんは亜弥ちゃん禁止です」

「くそぅ、じゃあ何て呼べばいい、松浦か?」

「今まで通りですね。偉そうでムカつきます」

「むぅ・・・あ。あややでいいだろ、フレンドリーな感じで」

「そこにフレンドリーさは感じませんけどまあいいことにしておきます」

「やった!お、そうだ、じゃあお前はヨシザワさんの事よっすぃ〜って呼んでもいいぜ!」

「お前って言った」

「ぅお、早速か、すまんすまん、えーと、あやや」

「わざとらしいしぎこちないしやっぱキモチワルイです」

「なにおぅ?お前も言ってみろ、ホラ、よっすぃ〜」

「またお前って言った」

「ホラ、いちにぃさん、よっすぃ〜」

「よ、よっすぃー」

「・・・」

「・・・」

「・・・あの、自分から言い出しといてなんですが、今まで通りでいいです」

「あ、あたしも今まで通りでいいです」

「そうか?それじゃ今年もよろしくな、まつーら」

「はいはい。今年はちゃんと卒業しましょーね、ヨシザワさん」









ほんとうにおしまい

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