えかき



「なあ松浦よお」

「なんですか?」

「この度わたくしヨシザワは絵描きさんを目指そうと思う」

「はあ、がんばってください」

「なんでヨシザワさん絵描きさんになろうと思ったと思う?」

「それ私に聞いてるんですか?」

「そうだけど」

「知りません」

「じゃあ教えてやろう。実はこう見えてヨシザワさんお絵描きするの好きなんだ」

「はあそうですか」

「やっぱやるなら自分の好きなことやんなきゃな」

「皆一度や二度はそう思って、でも諦めていくものなんですよ」

「お前はお絵描き好きかい?」

「正直どうでもいいですね」

「藤本ミキティはどうだろう」

「まあある意味画伯ですよあの人」

「なぬ、それじゃあ困るよ」

「え?」

「ヨシザワさんミキティのためにお絵描きしてプレゼントしようと思ってるのに画伯じゃ意味ないじゃん!」

「や、その画伯っていうのは冗談で」

「やだやだ!ヨシザワさんもう絵描きなるのやめた!」

「諦めるの早いですよ。じゃあプレゼントじゃなくて交換したらどうですか?お絵描き交換」

「藤本ミキティと?」

「はい」

「お前・・・今この一年間で一番良い事言ったんじゃね?」

「はいはいありがとうございます」

「いいよ!それ凄くいいよ!お前最高だな、天才だよ!」

「いやそれほどでも」

「やーたまには良いこと言うじゃないか」

「しょっちゅう言ってますけどね」

「おーし、こうなったら早速お絵描きしてくるか!」

「頑張ってくださいねー」




「よ、亜弥ちゃん」

「みきたん」

「何してんの?」

「はい、コレ」

「何?」

「スケッチブックとクレヨン」

「いや、見たら分かるけどさ」

「ちゃっちゃとお絵描きして?」

「いや、美貴すげー下手くそだし」

「分かってるけど何か描いてよ」

「嘘でもそんな事ないとか言ってよ・・・どーなっても知らないよ?」

「いーよいーよ」




「はい」

「・・・みきたん、これ、何?」

「何だと思う?」

「えーとそれはちょっとあたしの口からは・・・」

「ライオンだよっ!」











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