とりまー



「なあ松浦よお」

「なんですか?」

「この度わたくしヨシザワはトリマーになろうと思うのだが」

「漁師はどうしたんですか」

「ばか野郎お前船すげーゆれるんだぞ」

「はあ」

「マジで立ってらんないんだぞ」

「ほお」

「半端なく三半規管やられるぞ」

「つまり船酔いしちゃったんですね?」

「酔ってない!決して酔ってなどいない!ちょっと気分が優れなかっただけだ!」

「お疲れさまでした」

「・・・ヨシザワさんもう船乗れないよ」

「大丈夫、船なんか乗れなくても人生なんとかなりますよ」

「どうしたんだお前今日は優しいな、気色悪い」

「優しいのはいつもです。最後の一言は敢えてスルーします。私、優しいですから」

「うん、まあいいや。それでなんだったっけな」

「トリマーですか?」

「そう、それだ。ヨシザワさんは学んだんだよ、偉大なる先人、戦国武将達に!」

「また訳の分からない」

「何が分からないんだお前はバカか」

「ヨシザワさんよりはマシだと思います」

「いいか?本丸を落とすには外堀から。つまり!ミキティを落とすには周りから攻めていくべきなのだよ!」

「はいはい」

「そこでだ。噂によると藤本ミキティはわんこを飼っているそうじゃないか」

「はあ」

「なのでヨシザワさんそのわんこから落とすことにしたんだ」

「もうちょっとついていけないです」

「なんでだ、わんこがヨシザワさんを好きになれば藤本ミキティもヨシザワさんのことを好きになるはずなんだ、わかるだろう?」

「わかりたくないです」

「お前は本当にあほだな!もういいよ、時間の無駄だ。ヨシザワさんまず犬に触れるようにならないと!」

「触れないのかよ・・・」




「よ、亜弥ちゃん」

「あ、ミキたん」

「さっきよっちゃんがすんごいデカイ犬追いかけてたんだけどさ、今度は何してるの?」

「さあね・・・もうわからないよ・・・」

「お疲れだね。帰ろっか?」

「うん。あ」

「あ。あれ、よっちゃんだよね?」

「そうだね」

「追いかけ・・・られてるよね?」

「られてるね」

「助けた方がいいかな?」

「放っておいた方がいいよ」

「そう?」

「ヨシザワさん犬と仲良くなりたいらしいから」

「そっか、じゃあいっか」











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