
こっく
「なあ松浦よお」
「なんですか?」
「この度わたくしヨシザワは調理師を目指そうと思うのだが」
「はあ、頑張ってください」
「愛がないな。もっと優しくこう」
「ギターはどうしたんですか?」
「唐突だな」
「そうですか?」
「うん、まあいいよ。えっとだね、ギターはやめたよ」
「あらら」
「何でやめたか知りたい?」
「いえ別に」
「ちょっと待って、聞いて」
「どうしてやめちゃったんですか?」
「指痛いんだもん」
「それだけですか?」
「それだけです」
「ふーん」
「で、何の話だったっけ?」
「ギターやめてコックさんになるんですよね。てゆーか自分で振っといて忘れないで下さい」
「すまんすまん。そう、そうなんだよ、ヨシザワさんコックさんになるの!」
「頑張ってくださいね」
「コックさんになるの!」
「うん、頑張ってくださいね」
「コックさんに」
「どうしてコックさんになりたいんですか?」
「よくぞ聞いてくれた。これには深い訳があってだな、実は」
「どうしてなりたいんですか?」
「うん、どうやらあの藤本ミキティはご飯を食べるのが好きらしいんだ」
「まあご飯食べるの嫌いな人を探す方が難しいですよね」
「そこでだ!このヨシザワさんはコックさんになってミキティに超デリシャスなディナーをプレゼントしようと計画しているわけなんだよ!」
「随分時間のかかる計画ですね」
「いーのいーの時間は関係無いの。どれだけ美味い料理を提供できるか、そこがポイントなのだよ松浦くん」
「はぁ、まあ頑張ってください。あ、ミキたん」
「お、亜弥ちゃん。とよっちゃん。何してるの?」
「ああミキティ、君とお喋りしたいのはやまやまなんだがね、如何せん時間がないんだ、また今度にしてくれよ。それではさらば!」
「どうしたのよっちゃん」
「さあね。それよりたんはどうしたの?」
「え?ああ、お腹空いたなーと思って」
「あ、そう言えば私もだ。何か食べいく?」
「いいねー行こ行こ」
「何食べたい?」
「肉!」
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