サイエンス

文字サイズ変更
ブックマーク
Yahoo!ブックマークに登録
はてなブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷
印刷

理科教育:知識偏重、育たぬ探究心 ノーベル賞科学者らが苦言…改善策は(3)入試

 ◇選択式では学力測れない

 「マークシート方式でやっていくと、体験したことのない問題はスキップせよとなる」(益川さん、日本学術振興会での会見で)

 「選択式の試験問題で、教師は『知らない問題はパスしろ』と指導し、考えない人を育てている」(益川さん、文科相への表敬訪問で)

 大学入試の方法は大学側に裁量があるが、1次で大学入試センター試験、2次で各大学の記述試験という2段階選抜が主流だ。

 益川さんが指摘する「マークシート方式」「選択式」とは、センター試験のことだ。かつては国公立大入試の象徴だったが、私大の参加数も年々増え、08年度は10年前の2・6倍になった。文科省大学入試室は「短い期間で大量の受験者の学習の到達度をみなければいけない制約の中ではやむをえない」というが、弊害への指摘は以前から根強い。

 「センター試験の点数は要するに『受験学力』であって、本来の学力を反映していない」と話すのは村上隆・中京大教授。02~06年、国立大学入学者選抜研究連絡協議会会長を務めた。難関大ではセンター試験で9割以上の正解率だった学生がざらだが、村上教授によると、ある東大教授は「100点取るような学生がうようよいるが、教えると驚くほどできない」とあきれていたという。

 東大生産研の渡辺教授も「『なぜ』と考えさせる部分が省かれた教科書に合わせて作られた入試で合格しても大学では通用しない。入試までの教育に費やす時間と労力がもったいない」と指摘する。

2008年12月1日

検索:

サイエンス アーカイブ一覧

 

特集企画

おすすめ情報