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飛躍するオープンソースベンチャー企業
オープンソースを武器に拡大戦略をとるワイズノット
株式会社ワイズノット 代表取締役社長 嵐 保憲氏

株式会社ワイズノット
代表取締役社長 嵐 保憲氏

株式会社ワイズノットはオープンソースに専門特化したシステムインテグレータ。創業者で代表取締役社長の嵐 保憲氏はリクルートで営業職、インディゴで経営企画に携わった後、オープンソースに魅かれて起業を決意した。

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   ワイズノットはOSSを中核に据え、近年目覚しい成長を遂げている企業だ。設立から5年を経て、来年の12月には1000人体制を目指している。代表取締役社長の嵐保憲氏に、今後の展望についてお聞きした。

※このインタビューは10月にインプレスより発行予定の書籍「Linuxオープンソース白書2006」(ThinkIT監修)のために行いました。書籍発売に先行して記事を公開いたします。

― 単刀直入にお伺いしますが、オープンソースのビジネスって、儲かりますか

嵐 保憲氏 嵐氏:儲かるようにすれば、儲かります。一般的なシステムインテグレータの利益率が9%くらいだそうですが、オープンソースでもそれと遜色ない利益を出せますし、もっと利益率は高められる。絶対に儲かると思いますよ。

   ただ、オープンソースは初期投資がかさむ面はあります。既成のパッケージを買ってシステムインテグレーションする場合は、そのパッケージソフトとサポートがセットになっています。

   しかし、オープンソースを利用する場合はサポートの部分も自分たちで用意しなければならないので、そのための研究開発費は莫大なコストがかかります。その投資を経て回収するというビジネスサイクルなので、回収した瞬間から利益になります。


― どのくらいの期間で回収できますか


嵐氏:僕の場合は、半年で回収すると決めています。早いものは3ヶ月。初期投資が3ヶ月で、4ヶ月目から黒字化する。資本金500万で始めたので、そのくらいで回収しないとつぶれてしまいますよ(笑)。最近は長期の2か年計画というのがあって、投資1年、翌年回収というのもありますが、基本的には年度内回収です。


― 初期投資は、システム開発の部分ですか


嵐氏:初期投資は、いわば事業投資の部分ですね。受託したプロジェクトとしてのシステム開発は、そのプロジェクトごとの利益率をEVM(Earned Value Management:コスト・スケジュール・品質などのパフォーマンスに焦点を絞り、プロジェクト全体の実績状況を科学的手法によって分析する)というマネージメント手法によって全部定数化しています。それによって、プロジェクトごとの利益率は一定に保ち、それを割らないようにしています。


― オープンソースを中核に据えて起業したのはなぜですか


嵐氏:以前の会社で経営企画を担当していたのですが、起業の手伝いで事業計画を作った時に、SolarisとJavaとOracleのライセンスを計算したら1億円くらいになってしまいました。資本金が1億なのにライセンスだけで1億もかかっては、会社は作れない。何かないかなと探すうちに、そうだ、Linuxがあると。すでに言語もあって、ミドルウェアも出てきていた。これはいけるなと思いました。

嵐 保憲氏    なぜいけると思ったかと言うと、以前MS-DOSからWindowsに変わった時に、アプリケーションが出てきて、その後サービスへとビジネスが移っていきましたよね。それと同じ歴史を繰り返すはずだと思ったからです。Linux OSがある程度認知され、言語が出てきたら、次はパッケージが出るに決まっている。パッケージがないなら作ってしまおう。その後はサービスが展開されるはずだと。オープンソースはすごくインパクトがあるし、世の中を変えると思いました。

   時期的には2000年で、そろそろITバブルがはじけると感じていました。バブルがはじけたら、それまで高額なシステムを導入していた企業が安いオープンソースを使うようになるだろうと考えましたし、人材も企業から大量に放出されるだろうという読みがありました。最新の技術が普及するにはたいてい7〜8年はかかりますので、2007年にはオープンソースが一般化するだろうとも考えました。そこで、株式公開も視野に入れ開始しました。

   当初はまだオープンソースは全然知られていませんでしたし、バグもたくさんあった。しかも、バブルが崩壊しても企業はまだしばらくはお金があったので、興味をもってもらえることも少なく、順風満帆というわけにはいきませんでした。

   それでも、小さい規模でなんとかやって、オープンソースだけにこだわって、他の仕事はみんな断りました。他のものもやってしまうと、このビジネスが成立するのかどうか分からなくなりますから。小さく積み上げながら、オープンソースがビジネスとして成り立つということを検証していきました。そういう検証や痛みの分が、今になって技術として生きてきていると思います。

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