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リンゴ品種登録失効:女性職員が虚偽 特別監察県が結論、8人を処分 /青森

 県が出願したリンゴなどの品種登録失効問題で、県は12日、総務部が行った特別監察の結果を公表した。県農林水産政策課の30代の女性職員が、期限内の事務処理を怠って「品種登録取り消し」の事態を招いたうえ、不正な事務処理をして特別監察などで虚偽の説明をしたと結論付けた。女性職員は最後まで「4月に送った」と主張したが、県人事課は女性職員を同日付で停職6月、農林水産部長ら7人を減給などの懲戒処分にして一連の問題に幕を引いた。【後藤豪】

 ■認定事実

 品種登録取り消しとなった5品種のうち、花(デルヒニウム)3品種の登録料納付期限は4月14日、リンゴ2品種は同月17日だった。監察結果によると、4月中旬、国から納付を催促する1回目の電話が入った際、職員は「納付します」と返答。3日後に再度、国から電話があったが、この時は別の職員が対応した。

 女性職員はリンゴ納付期限の17日、経理担当に「3万円分の収入印紙が至急必要」と催促し、経理担当が印紙を購入。職員は印紙を受け取ったが、納付書を国に送付しなかった。職員は約2カ月後の6月19日、登録料納付に関する決裁書類を作成。同課のグループリーダーに「事後処理で、既に納付している」と虚偽の回答をし、納付書のコピーをみせて信用させた。

 この女性職員とグループリーダーは、手続きが完了した旨を課長にも説明。課長から決裁をもらい、同26日、納付書を国に発送していた。納付期限が過ぎていたため、国は封筒に「受理不能」と書き、配達記録郵便で県に返送。しかし、受け取った記憶がある職員はなく、封筒は行方不明だという。

 ■異なる言い分

 女性職員は一貫して「納付書を他の文書に紛れ込ませて4月17日に送った」と主張。しかし他の文書だけが同日、東京都内の別の機関に届いており、県は女性職員の虚偽説明と認定した。女性職員は「未熟な仕事だった。申し訳ない」と謝罪する一方で、「報告書で認定している事実は自分の記憶と違うが、客観的に判断されているのであればそれでも構わない」と話しているという。

 ■新たなミス

 女性職員は今回の問題とは別に、昨年度に行う種苗販売業者との利用権契約2件を交わしていなかったり、業者から利用料16件分(計1万7721円)を徴収していないなど45件の事務処理で遅滞していたことも明らかになった。「忙しさに紛れておろそかになってしまった。反省している」と話しているという。

 ■処分と異動

 一連の問題を受け、農林部長や同部次長ら3人が減給1月(10分の1)、同部の4人が戒告などとなった。鳴海勇蔵・農林水産部長は13日付で中南地域県民局長に異動となり、佐藤和雄・中南地域県民局長が同部長に就任することになった。

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 ■解説

 ◇病巣は根深い

 先月下旬から県を揺るがしてきたリンゴ新品種登録失効問題は、担当職員に「職務怠慢では過去に例がない厳しい処分」(海老原諭総務部長)が下されて一応の決着となった。しかし、不祥事が絶えない県の現状をみると、病巣は根深いと言わざるを得ない。

 担当の農林水産政策課は、情報を共有し、納付先の国に確認するといった基本動作に欠け、女性職員の言い分をそのまま信じていた。また、女性職員は日ごろから事務処理が遅れがちだったのに適切な指導をせず、業務管理も不十分だった。ネジの緩みが極致に達し、前代未聞の失態を招いたといえる。

 「組織として緩みがあったと考えているか」との記者の質問に、三村申吾知事は会見で「5年間仕事をしてきて、県最大のシンクタンクとしての役割は果たしてくれている。しかし、基本をおろそかにしてはならない。このことを徹底しないといけない」と返答した。

 特別監察では再発防止策として、服務規律の確保や職員間の信頼関係の醸成、知的財産権の管理徹底--などが挙げられた。しかし、会計検査院から指摘された不正経理問題や職員の逮捕など不祥事が後を絶たず、県に注がれる県民の視線は厳しい。

 問題を一職員の怠慢で片づけてはいけない。他の部も「対岸の火事」ととらえず、組織全体で危機感を持たないと、信じられない不祥事はいつでも起きる。【後藤豪】

毎日新聞 2008年11月13日 地方版

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