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注目記事

 現在、三国のトップが会う機会は、「ASEAN(東南アジア諸国連合)+3」の会合など、国際会議に呼ばれた際、同じ場所に滞在しているのを利用して会っているだけである。
 だが、本来のトップ会談とは、やはり自国の首都で交互にかつ定期的に開催されるべきものである。密接な結び付きをもつ「日中韓」が東南アジアでしか会えないのは残念なことであり、一刻も早く是正しなければならない。
「日中韓」の三者会談は将来、東アジアの連携を強化して東アジア共同体をつくる「基礎工事」といえる工程である。「日中韓」のトップが自国で会えないという状況下で、共同体を築くことはできない。まず各国間の二国間関係を整えたうえで、東南アジア諸国と話し合いを行なう視野で推進すべきである。
 三者会談で話し合うべき内容は、まず経済協力問題である。経済問題が進展すれば、自然と安全保障の関係も構築されるようになる。それが韓国と北朝鮮の融和にもつながることは、いうまでもない。韓国と北朝鮮の問題を考えるとき、中国が重要な役割を果たしており、「日中韓」の三者会談は中韓の結び付きをより強化するだろう。
 一方で日本と韓国には、拉致問題という共通の課題がある。韓国でも400人近い人々が北朝鮮に拉致されており、この問題を解決するうえで両国の協力は必須である。これまで、日韓は互いに国益が合致する部分があったにもかかわらず、先に述べた障壁により十分な協力関係がもてなかった。今後はそうした関係も改善することになるだろう。
 さらに日本と韓国のあいだに一刻も早くFTA、EPAを築くことである。現在、韓国はアメリカとのFTAを結んでいるが、隣国の日本とも結ぶことは、両国の良好な関係を促進させるうえで必須である。もちろん締結にあたっては、かなりの困難を伴うことも確かである。たとえば日本とタイで協定を結ぶときは、農産物の輸入が大きな懸案事項となった。農業についてはある程度の例外措置を設けるなど、柔軟な発想で進めていくことが望ましい。
 商工業関係でも、自由貿易協定によって関税をなくせば、日本の工業製品が大量に韓国に押し寄せていく。これは韓国の商工業界にとって痛手である。そうした問題は時限的な緩和措置を設けるなどして、日韓が緊密に話し合っていけばよい。
 いずれにせよ、日韓が自由に会談を開けなかった時代に比べ、事態は大幅に改善している。今回の大統領就任式には日本の政界だけでなく、経済界からも多数の人々が参加した。これは李明博新大統領への期待が日本の経済界からも高まっていることを紛れもなく示している。政治においても経済においてもまさに日韓関係の春、日韓新時代が始まろうとしているのである。

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