押し入れが
「南の島」とは――

オマエも
なかなか――

コドモみたいなヤツだな

いまだに、
ごっこ遊びが好きだったなんて――
知らなかった!

意外とコドモぽい遊びが好きなんだな……

なんだか――
夕凪といい勝負だったじゃないか?

――クスッ

ま、夕凪はすごく楽しかったらしいから――

いっか!

良かったよ、オマエが付き合ってくれて――。
日記を隠したんで、
春風や氷柱からは――
こっぴどく怒られたらしいけど――

私はいいと思う。
あれくらいのこと――
なんか、いじらしいよな?
いかにも夕凪の考えそうなことだし。

夕凪の気持ちも――
わからなくはないからな。

きっと――
もっと目立ちたかったんだろ。

夕凪は元気で明るくて
へこたれないから、
目立つようでいて――
意外と聞き流されたりされるタイプなんだ。

元気で強く見えたって――
淋しいときもあるのに、な。

……

きっとオマエに――

もっともっと。

ただ一瞬でいいから。
ずっとなんてそんな贅沢なこと
望まないから――

ひととき、
自分だけに――
その目を向けて欲しかった。

ただそれだけ――

……。

夕凪の気持ちは私にもわかる。

夕凪のことだから、
きっと全然めげてないと思うけど――
この週末は、少し気にしてやってくれよな――

じゃじゃじゃじゃ――んっ!!

おにーちゃんっ!

今日もモチロン――
夕凪だよっ

クフフフフゥ――

だってだって――
ここには、夕凪しかいないんだもん!

日記を書くのはもちろんぜったい夕凪だけ!!

ここは――
夕凪のマホウのミラクルびっぐうぇーぶが
連れてきた――

夕凪とお兄ちゃんだけの
2人っきりの南の島なんだもーんっ!!

えへへ

昨日の夜は――
夕凪がマホウで出した晩ごはん、
ほうれん草とミートソースのラザニアに、
ゆでたまごとツナのサラダ、
カボチャのスープに、
フルーツカクテル――

超おいしかったね!

あれは――春風お姉ちゃんが作ったんじゃないんだよ、
夕凪がマホウで出したんだよ!

ね?

そうだよね?
お兄ちゃんもそう思うよね?
ねねねねね?

お兄ちゃんもおいしかったでしょ?
うふふ

これなら――夕凪、
お兄ちゃんのステキなお嫁さんになれるでしょ?

えへへ――いいよ
誓いのチューしても!

ね?

お兄ちゃん――ココには誰もいないんだから――
いいのいいの、エンリョしないで――
さっ、夕凪のほっぺはココだよココ――

――ん?
うるさいなぁ――誰の声だろ、
トントントンってそんな肩つついたりして――
ダメだってば、今イイトコロなんだから――

――あああああっ!!

ヒカルお姉ちゃん――

……

 

ここは南の島!

夕凪とお兄ちゃんしかいない――
2人きりの南の海の無人島だよ!

お日さまサンサンで――
もう、あっつくって気持ちよくって――

お昼寝しちゃいそうでしょ?

えへへへへ

あっ、お兄ちゃん――
夕凪のココでお昼寝しちゃっていいよ?

ほら、ココ――
夕凪のスカートのトコに頭のせたら――
らくちんらくちん

だーいじょうぶ、
ごはんの時間になったら
夕凪がおこしてあげるから。

だって――
夕凪、ここでは、
お兄ちゃんのお嫁さんなんだもーんっ

ほら――
もっとこっち来ていいよ?
お兄ちゃん、足しびれちゃうよ?

わぁ――
お兄ちゃんとピッタリくっついていると、
ちょっとムンムンして汗かくけど――
ああっ! でも、でもでも――
すっごくお兄ちゃんの匂いする――

なんだか――夕凪の方が
イイ気持ちになって
眠くなっちゃいそう――

ふわぁ……。

ここは――
夕凪とお兄ちゃんと2人っきりの無人島。
マホウの力で――
ココまで来ちゃった

このままずっとずっといつまでも――
2人は一緒に暮らすんだよ。
ね? お兄ちゃん――

エッヘン。
オッホン。

それでは――

夕凪がずーっといっぱい考えて、
ケンキューのすえ編み出した――
超スペシャルな新呪文!

いよいよ、お兄ちゃんに
かけちゃいま~すっ

ウフフフフフゥ

このマホウがきいたら、
夕凪はお兄ちゃんのおよめさーん!
お兄ちゃんは夕凪だけのモノになるよ

それじゃあ、いきます――

はっぴーらっきーはねむーん♪
夕凪のみらくるびっぐうぇーぶ!
お兄ちゃんと夕凪を押し流して――
2人だけの世界に閉じこめちゃえ~!!

エラトステネスが
シエナの井戸で見つけたように――

最小限の重要な
事実の上に――

現実の道を一歩一歩、
足を動かして歩くことを
しなくても――
まるで私たちが
飛行機に乗り、空を飛んで
目的地に着くように――

頭の中だけで――
確かな答えを導くことが出来る

数学は――

とても美しく楽しい学問です。

キミは数学は――
好きですか?

ピタゴラス音階や黄金比――

数学のエレガントな有用性を
示すエピソードは、
古来無数にあります。

数学の素晴らしいところは――
複雑な関数も、簡単な足し算も、
それらが全く同等に数学であることには
かわりがなく――
しかも、そこには常に――
回答が存在するところです。

私は答えのでない物事が好きではありません。

抱いた疑問が意識のどこかに残っていると――
常にそのことが気にかかってしまい――
考え続けてしまうので。

どうも――脳が過活動をし続けて
しまうように感じるのです。

今日も――
そんな問いに巡り会ってしまいました。

夕凪姉が言ったのです。
「はっぴーらっきーはねむーん♪
お兄ちゃんは夕凪のみらいのおむこさん~

キミは――
私たち姉妹の
兄、そして弟ではないのですか?

考えてみれば――

ヒカル姉は――
キミの姉?
それとも――弟?

ああ――

……

ひたいの内側に熱を感じます。
まるで頭頂部に強い熱気がたまって、
圧が高まっているような――

……

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