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11/28 2008
 キリスト教に関係するホットなディスカッションの1つに、「創造論」VS「進化論」があります。宗教的側面、科学的側面、歴史的側面が混在するディスカッションなので、正確な情報交換すら難しいのが実情ではないでしょうか。

 私自身は創造論支持者です。ただそれは、進化論を研究しつくした結果ではなく、聖書記者の言わんとしたことが聖書の唯一の意味であり真理である、という土台の上に人生を建てる選択をしたからです。ですから、進化論を論駁する、というようなことは私の専門外です。どんな学問分野においても、異なった見解の学者たちがしのぎを削って自論の正当性を証明しようと励んでいるように、進化論支持者の方も自らのフィールドで励んでいただきたいと思います。私自身はキリスト教神学、聖書学、考古学という私のフィールドで励みます。

 さて、キリスト教神学の視点からみる宇宙の始まりの理解は、以下の7つに大別できるでしょう・・・。

(1)有神論的進化論(Theistic Evolution)、(2)Progressive Creationism、(3)長期間説(Day-age view)、(4)ギャップ説(Gap Theory)、(5)Pre-Creation Chaos Theory、(6)Literary framework view、(7)Young Earth Creationism。特に19世紀後半以降、これらの論がどんどんと打ち出されて、神学会でも継続的に議論されています。その福音派神学の流れを見ていて私が感じるのは、色々な議論があったとしてもやっぱりYoung Earth Creationismが振り子の中心にドッシリ座っていて、創造論の王道であり続けているということです。

 Young Earth Creationismと聞くとき、「天地創造はB.C.4004年」と言い切ったJames Ussher(1581-1656)の説をしばしば連想されてしまうことは、大変残念です。アッシャーの計算は聖書釈義として正しくありません。詳しくは別の機会に触れたいですが、一例として彼はヘブル語の『子』という表現をすべて父子関係で捉えたましたが、氏族という意味で使われる場合も多々ある言葉ですから、アッシャーの計算は短すぎです。とはいえ、宇宙の始まりが百数十億年前という理解には決してなりません。

 私が感じているのは、このYoung Earth Creationismが米国の保守的、根本主義的クリスチャンたちによって堅持されていることではなく、欧米の福音派神学という学問の世界において王道であり続けていることです。「たとえ神学というような宗教的な学問分野であっても、時代と共に研究が進んで、Young Earth Creationismのような原始的な理解はなくなっていくんじゃないか」と思われるクリスチャンは案外多いのではないでしょうか。19世紀後半は進化論の影響があって有神論的進化論はもてはやされましたし、第二次世界大戦頃にはギャップ説が花盛りになりました。最近はLiterary framework viewが結構とりあげられていますね。それでもやっぱりどれも一時の盛り上がりで、福音派神学としてはYoung Earth Creationismがメインラインであり続けています。なぜ?字義的解釈が好きで、聖書の無謬性に固執しているから?確かにその側面もあるでしょう。しかしそれ以上に、多くの福音派神学者たちがYoung Earth Creationismを捨て去らない(捨て去れない)最大の理由は「アダムの堕落以前に、動物の死や、自然界の腐敗があったとする神学体系がローマ8:19-22と相容れないから」なのでしょう。

 Young Earth Creationism以外の説は、どれも人間の創造以前に長期間の時があったと理解しています。そしてその期間に、動物は生死を繰り広げ、あるものは化石となり、自然界は決して完全な状態ではなく、アダムの創造・堕落以後とさほど変わらぬ、いやそれ以上に原始的な環境であったとします。もしそうであれば、アダムの堕落の影響は人類だけに及ぶものであり、動物の死はアダムの堕落と関係なく「自然に」なされてきたことであり、自然界の腐敗もアダムの堕落とは関係ない・・・、まさに霊肉二元論的な、感覚的・感情的な、心の宗教としてのキリスト教理解になっていきます。神学の一貫性からやってくる連鎖反応は、「創世記の解釈は字義的か比ゆ的か」といったレベルにとどまらず、「神の救いの御業は被造世界全体に及ぶのか、それとも人の心の中だけなのか」といったレべルにまで発展するのです。

 歴史的事実の解明のために、伝道のために、進化論との接触点探しも重要かもしれません。しかしクリスチャンの方々にはその前に、自分のフィールドである「キリスト教神学」をまず理解して、それから乗り出してほしい!と私は心から願っています。一貫性のない、継ぎ接ぎだらけのキリスト教では、自らの足元がおぼつかなく、返り討ちにあうのが関の山ですので・・・。

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ブロガー: 西原智彦
1972年広島生まれ。ロボットが好きで工学修士に(1996)。聖書に惚れ込み、実践神学修士に(2005)。現在、静岡市清水区にあるカルバリの丘バプテスト教会で牧会の職についています。
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