雛子の雛祭り 困ったことになったなあ。どこだったか、わからなくなってしまったぞ。 暗い空を見あげながらそうつぶやいたのは、春とはいっても名ばかり。雪でも降りそうに寒い夜のことだった。 僕はだいぶ酔っていた。 それは確かだ。 ヤキトリを食いながら、何がそんなに飲ませたのかわからないが、ビールが三本に、それが日本酒になって、それからまだ飲みたい気分で、安っぽいクラブに飛びこんで、田舎ホステス相手に水割り。 そのホステスに送り出されてから、ハタと気がついたのだ。 ……ここ、どこなんだ? といっても記憶喪失なんぞではない。単なる方向音痴だ。 もともと僕は方向音痴だ。それが、知らない温泉町でこんなに酔っぱらってしまったから。しかも、……なんと、考えてみたら、泊まっているホテルの名前を思い出せない。会社の慰安旅行。ウォークマンでジプシーキングスを聞いてるうちにバスがホテルの前まで横づけされてしまったし、町に出たのだって、出ようと思って出たわけじゃない。ホテルの庭を散歩しているうちになにやら農道に出てしまい、しかたなくそのまま歩いていたら、賑やかなところに出てしまったのだ。 困った。こりゃ、ホントに困ったぞ。だって、ホテルの名前もわからない、場所ももちろんわからない、それどころか、ここが何ていう名前の町なのかも、僕は知らないのだ。慰安旅行なんてまったく無関心だったから。サボると欠勤扱いになって精勤手当が出ないという、ただそれだけの理由で来ただけなのだ。……え〜と、確かここは山陰のはずだ。山陰だとわかったからといって、どうなるもんでもない。 東京までタクシーで帰るほどの金は持ってないし、あるいはどこか別の旅館に泊まるほどの金もない。財布は置いてきたから、さっきのクラブの払いで、ほとんど無一文の状態になってしまった。 さあ、困ったぞ。 とはいうものの、僕はひどく酔っていた。しんしんと冷えこむ寒さも、まだそれほど気にならない。ふらふら歩きはじめる。自分でもまっすぐ歩いてないのがわかった。 眠ったら死ぬぞッ! なんて、冬山で遭難すると言うらしいけど、まさかこんな町中でそんなことが。 いや、けど、わかんないぞ。どこに行ったらいいのかわからないんだから。 小さな町だ。すぐに外れに出てしまう。僕と同じように、浴衣にドテラの酔客が行き来するが、彼らはいいよな、帰る場所があるんだから。 ちっぽけな川があった。そこにはやっぱりちっぽけな橋がかかって、他にすることもなし、行くとこもなし、僕はしかたなく、その欄干にもたれかかって、川面を眺めた。 夜だから何も見えない。 ホテルの名前、なんだったかなあ。ナントカ観光ホテル、……いや、国際観光旅館ナントカ荘だったか。とにかく『観光』の二文字があった。……こんなの、何の手掛かりにもならないや。温泉だもの。名前に観光のつく旅館はいくらでもある。 腕時計を見ると、十二時をまわったところだ。……そうか、もうこんな時間だ。 「なにがあるん?」 そのとき、どこかから声が聞こえてくる。エッ? と思ってその方向を向く。ウチの会社の事務員かな、と、一瞬期待していたんだけど、それは小さな女の子。 「何もないよ。……きみ、小学生だろ? どうしたの、こんな遅くに」 白いミルクのようなもやの煙る川面から眼を向けて、眺めてみると、スキーに行くみたいなダウンジャケットを着た、ショート・カットの女の子。 「小学生じゃない。中学生だってば」 彼女はそう言って胸を張る。そう言えばいくらか膨れた胸が、ダウンジャケットの上からでもわかる。 「あたし、家出してきたんよ」 ひとりごとじみた口調でそう言いながら、彼女はゆっくりと歩きはじめる。ジーパンのお尻は小さめで可愛い。つられるようにして僕も後を追う。 彼女と僕との出会いは、そんなふうに偶然の産物なのだった。 *********** 「困ったやん。……あたしも、あんたも宿なしだなんて」 事情を聞いた彼女は、オトナっぽい口調でそう言う。 「なに、歩いてみるさ。……歩いてるうちにここに出たんだから、また歩いていればホテルに出るかも」 「どうすんのよお。このまわり、みんな旅館ばっかしやん」 彼女の名前は雛子ちゃん。地元の中学の二年生だという。 「ふう、……寒い」 どこに行くともなく、僕たちはただウロウロと歩いているだけだ。それにしても寒い。と思ったら、はらはらと舞い踊るのは粉雪。「あっ、雪だよ」 「ホント」 あたりは古い旅館やら、一杯飲屋やら、もうとっくに店をしめた土産物店やら。まったく見覚えのなさそうな温泉町だ。 「そうだ、……お兄ちゃん、お風呂、はいらない?」 ピンクの手袋をパタッと打ちあわせて、雛子ちゃんが言った。 「でも。……どこのホテルだったか覚えてないんだぜ」 「この上に露天風呂があるんよ。……この時間なら誰もいないし」 先に立ってずんずんと進んでゆく彼女。メインストリートから曲がってほどなく、大きな銭湯のようなところに出た。 共同浴場の看板がある。 「もうしまってるぜ」 「だから、誰もいないんだってば」 共同浴場の裏に出ると、そこは庭のようになっている。生垣をごそごそともぐりこむ雛子ちゃんの後に続いて、けれども身体の大きい僕にとってはなかなか難行だった。 「へえ、……ホントに誰もいないや」 あたりいちめん湿っぽい湯気がもやもやとたちこめて、そこはかなり大きな露天風呂になっている。 冬でも葉を落とさない常緑樹の茂みにかこまれて、そこだけは春の暖かい陽だまりのようだ。 「ここは男湯……」 と言いながら振りむきかけた僕は、そのまま息を呑んでしまった。 「えっ?」 なにげない表情でこちらを見る雛子ちゃん。彼女はもう、脱ぎはじめている。 「やだあ、ジロジロ見んのよ」 ダウンジャケットはとっくに地面に置かれ、半袖のTシャツとジーパン。そのジーパンのチャックも降ろされて、下着がわずかに見えている。 白地に水色ストライプがはいった、可愛いショーツだった。 「い、いっしょに入るの?」 「そうよ、女湯は露天風呂ないんよ。内湯は鍵かかってて入れないし」 僕としては、ただあたりの景色を眺めているフリをするしかなかった。ホントは背後の気配に、それどころじゃなかったんだけど。 ここは谷間になった場所だ。あの町並みと、そして上にはなだらかな丘陵と、その狭間になって、お湯が湧きだしているらしい。 しかも常緑樹にかこまれて、うん、なかなかいい温泉じゃないか。 ……なんて言ってる場合じゃない。 「なに、ボーッとしとるの? 脱がんの?」 と声がして、眼の前をなにやら白いモノが。まばゆいような裸身は、雛子ちゃんだ。もこもこしたダウンジャケットのせいで太って見えたんだ。 きっと処女太りした女の子だと思っていたんだけど、うしろ姿はむしろ細い。 お尻が、……さっきはジーパンの中に閉じ込められていたのが、今は解放されて、生々しく白い。 しばらくボサッと見とれていた。 アフリカの草原を自在に走りまわる草食動物の脚みたいに伸びやかな素脚。細い背中。そしてやっぱり細い腕。髪の毛が短いショート・カットだから、こうして後ろから見ると、ちょっと男の子みたいだ。 お湯の温度を手でたしかめて、それから彼女はおそるおそる身体を沈めてゆく。 「ふうっ、……ちょっと熱いかな」 お湯のなかで僕のほうにクルッと向きなおって、楽しそうにつぶやく。我にかえって、僕はあわててドテラの紐を解いていた。 *********** 酔ったうえに迷子になってウロウロ歩きまわり、あげく、こんな熱い露天風呂だ。ほとんど頭がボーッとなってしまった。 「ねっ、あったまるでしょ?」 誰もいない露天風呂。あかりがないから、彼女の姿はぼんやりとしか見えない。空も曇って暗く、そこからはハラハラと音もなく降る雪。 「う、うん。……でも、飲んでるもんで、頭がボーッとしてきちゃったなあ」 「やっだ〜っ、ヘンなお店やないやろね」 ザバッとお湯をけたてて立ちあがった雛子ちゃんが言う。 「そんな店があるの?」 彼女は僕のすぐそばの岩のところに腰をおろした。ほんのりと白い裸がすぐ隣だ。 「多いよ。……温泉やもん、魚町のお店、みんなそうやん」 「ふうん、知らなかったなあ」 そんなこととは知らず、僕はただバカ話をしてしこたま飲んだだけだった。 「アレ、口にしたりするん?」 声をひそめて、そんな質問。 「えっ? どうゆう意味?」 「やっだ〜っ、お兄ちゃん、すか〜ん」 指ですくったお湯をザバッとかけられてしまった。……なんだよ、自分からそんな話題を持ちだしたくせに。そう思いながらも、純真無垢といった感じの彼女のヌードを眼の前にしては、何も言えなかった。 「え、えへん。……ちょっと酔ったかな」 咳ばらいをしていいわけ。 「それに、ちょっとのぼせてしまったようだ」 僕も立ちあがり、彼女に並んで、岩に腰を降ろす。 いかにも山陰の娘らしく素朴に白い素肌が、ほんのりピンクに染まっている。また何か言われてしまうだろうかと不安に思いながらも、僕は眼を離せない。 「……いつも、あの、……こうやって男の人とお風呂にはいってるのかな?」 ヘンな言いかただったかな、と思い、さらに言葉をつけたす。 「その、……このあたりじゃ」 彼女はピンクの身体を震わせて笑う。 「お客さん、東京のヒト?」 「そうだけど」 「そんなコト、あるわけないですウ。いくら田舎だからって」 鳩胸気味に上のほうについた乳房のカーブがすごく魅力的だ。その乳房は、子供っぽい顔に似ず、オトナっぽく大きい。といっても、まだまだ乳頭は埋もれたまま。その彼女が、何を思ったのか突然立ちあがる。お湯の中を歩いて僕の前までまわってきた。 「あたし、……お兄ちゃんと遊んでもいいですよ」 正面からそう言う。 「遊ぶ……?」 そこは浅くなった場所だ。お湯は彼女の膝よりわずか上まで。だから、思春期の肉体のほとんどが僕の視線にさらされている。 「あたし、もう子供じゃないでしょ?」 そう言いながら、手を後ろに組んで胸を張って。酔いがことさらに僕の頭をボーッとさせていた。もっとも、酔っていたから、黙って眺めていられたのかも知れない。酔っていなかったら、とても正視できない光景だったのかも。 乳房の大きさだけは、たしかにオトナ並みかも。ただ、それ以外はそうは言えないんじゃないだろうか。 どこかからもれてくる薄明かりのもと、下腹部は生々しく白い。その、もっと下。ふっくらした亀裂はわずかな恥毛に飾られて、それだって、とても量が少ないうえに、温泉のお湯に濡れてぺったり張りついて、ないのも同じありさま。 「遊ぶって……」 タオルがないから、その肉体によって引き起こされる僕自身の身体の変化は隠しきれないのだ。 「だから、……そーゆーコトやないの」 そこに視線を注ぎながら彼女の返事。 「キミ、……経験あるの?」 雛子ちゃんは、しばらく何か考えているような表情だった。そして、口を開く。 「……とーぜんやん」 そんなふうには見えない顔だけど、あるいは……。ここは風紀の良くない温泉町だ。 お湯が騒いだ。彼女が一歩ずつ、僕のほうに寄ってくるのだ。僕はやっぱり、少しのぼせてしまったようだった。 *********** さいしょにしがみついてキスをして、それから雛子ちゃんは僕の膝に乗ってきた。 あんまりうまくないキスだけど、ゾクゾクしてきた。 「こんなんなってる」 ちょうど僕のお腹と、雛子ちゃんのアソコの亀裂とに挟まれた肉棒。燃えるように熱く、そそり立っている。 「お金、持ってないよ」 さっきのクラブのホステスに言ったのと、同じ言葉を、僕は口にした。 「そんなんいらん」 僕のモノを見ながらそんな言葉。 「いいの?」 黙ってコクンとうなずく。 いったい、どーゆーことなんだろうと、僕は考えていた。不良娘が家出をして行きずりのオトコと火遊びする。……いや、とてもそんな娘には見えない。けど本人は経験豊富なような口ぶりだし。 酔っている僕には、それ以上何も考えられなかった。 小さな身体の彼女を抱きあげて、コンクリートの床に横たえる。雪がちらつく陽気だけど、寒くはない。この温泉は豊富な湯量をもっているらしく、客のいない共同浴場でも、熱い湯があふれっぱなしなのだ。 すっかり暖まったコンクリートに寝かせられて、彼女はしどけなく僕を見る。 「だいじょぶ。誰も来ないから」 僕は、あるいは心配そうな顔をしていたんだろうか。そんなことを口にしていた。 さいしょにキスから始めた。濡れた唇がやがて開き、そして閉じられた歯もこじあけてしまう。舌が狙うのは、次に首筋。それからずっと、下にさがってゆく。 乳暈と乳頭と、あまり区別がつかないようなおっぱい。けれどいっしょうけんめいに刺激していると、むくむくしてくる。 それとともに、ハアハアするあえぎ声が聞こえてきた。 ……やっぱし、遊んでる女の子なんだ。こんなに感じてる。そう思いながら、もっと下に。濡れそぼった恥毛の生えたあたりにキス。口に含むと柔らかくて、絹糸みたいだ。 ふっくらしたヴィーナスの丘。激しく盛りあがって、中に秘めた情熱を想像させるのであった、なんちゃって、僕は酔いとのぼせで、ボーッとしながらほとんど無意識に、雛子ちゃんに大股開きさせる。 子供みたいなアソコ。 ……遊んでるんだって? でも、そうは見えないけどな。もっとも、何度かしたからって、いきなりそうガラッと変化するわけでもないだろう。 「……んっ、」 くぐもった少女の声が昂奮させる。その声に勇気づけられて、舌で陰唇をこじあけ、中の味と感触を……。 雛子ちゃんは、されるままだった。 すぐにアソコは僕の唾液でズブ濡れになってしまい、準備完了。 「いいかな?」 重なりながら聞く。こっくりと素直な返事。大股開きを、その次の行為に都合のいい角度に調節しておいて、僕はこわばりをソコにあてがう。アタマだけ、雛子ちゃんの肉に挟みこまれるような、そんな、直前の状態。 「早くして」 彼女はそう言った。オトナの女の人みたいでおかしかった。 それから一気に。 一気に挿入れるのが、僕は好きなのだ。女は脳味噌が単純なぶん、アソコが複雑だという。外観だけじゃなく、複雑なのは中身もそうで、その複雑な内部を単純な肉棒で一気に味わうのが好きだ。 「ひっ……!」 のけぞって顔をしかめる雛子ちゃん。 予想外の反応だった。それに、予想外なのは、生暖かいオンナのブブンに一気にもぐっているハズの僕のモノ、もぐりこむどころか、逆にはねかえされてしまってる。 「い、いやっ……!」 その言葉の意味が、さいしょはわからなかった。それでムキになってズンズン。 女の子によっては、微妙に位置が違うこともある。けど、そうじゃなく、雛子ちゃんのは、スゴく狭くて、そう簡単には挿入らないのだ。けど、奮闘努力のかいあって、わずかに扉が開かれた雰囲気。 「……痛いッ、痛いよお、お兄ちゃん抜いて、抜いてッ」 そんな言葉にあわてて顔を見ると、ほとんど泣きそうな表情。僕はピンと来た。 「……雛子ちゃん、ひょっとして処女?」 泣き笑いみたいな顔で彼女はこくこくとうなずくのだった。 *********** 「ママは帰ってこないし、寂しくなったんやもん。……お雛祭りなのに」 そう、彼女の言葉のとおり、ボンボリがともっている。というか、照明はそれだけ。 雛子ちゃんの説明は、つまりこういうことだ。彼女の母親は、僕がさっき行ったようなクラブのホステスをしている。客がついたのか『今夜は帰らないから、待ってないで寝ちゃいなさい』という電話があったという。 それで寂しくなってしまった雛子ちゃんは、ふらふらと町に出て、そして僕にひっかかってしまったと。 共同浴場からさほど離れていないマンションの一室。勝手にあがりこんでしまったけど、とりあえずこれで宿の心配はなくなったというわけだ。 「もう泣かないで。ねっ?」 ひとしきり泣きじゃくった雛子ちゃんも、もうおとなしくなっている。 「お兄ちゃん、あたしのコト、好き?」 うわめづかいに、色っぽい視線。ぞくっとしてしまった。だってさっきは『直前』まで行ってる。僕がやめなければ、間違いなく最後まで行っていたはずだ。 「うん。……ねっ、だから」 しかたない。僕は彼女を抱きすくめる。温もりが伝わって、また、おかしくなってしまいそうな気分。 「……最後まで、しようよ」 消えいりそうな、小さな声が聞こえてくる。それは空耳じゃなく、彼女は確かにそう言ったんだ。 「だって」 「あたし、……初めてだなんて言うと、お兄ちゃん、してくれないんじゃないかと思って。ねっ? でも、好きでしょ? あたしのコト。だったら……」 僕はといえば、七段飾りのお雛様を見ていた。それはボンボリだけの照明に静まりかえっている。 「……それに今夜はあたしの十三才のお誕生日だし」 それだけ言って、しがみつきながら唇を重ねてくる。濡れた唇がせつない気分にさせてしまうのだ。 「そうか、お雛祭りの日に生まれたから、それで『雛子』ちゃんか」 ちょっと珍しい名前の謎がとけて、僕が眺めていると、その雛飾りの部屋に敷かれた彼女の布団の上に、あっけなく押し倒されてしまった僕。僕は酔っていたし、それだけ雛子ちゃんは真剣だった、ということかな? 「びっくりしちゃったんよ。こんな大きいなんて思わんかったし」 浴衣をまさぐる指。それは、また大きくなっていた。 「だって、……ともだちが言ってたんや。ヌルッち、カンタンに入っちゃう、って」 僕をそのままにして、ふたたび脱ぎはじめる少女。 「ほんとにいいのかい?」 「したくないん?」 「そんな……」 僕は覚悟を決めていた。だって、パジャマを脱いでしまった雛子ちゃんは、スゴく魅力的だったから。 「雛子ちゃん……!」 腕に抱くと、ほんと、ちっぽけだ。なのにやっぱり女の子。柔らかくって、いい匂いがして。さっきみたく、ゆっくりと、あちこちキスしていった。 敏感なカラダをしている。お腹のあたりに唇を寄せると、ビクッと脚がひきつったりして、次第に吐息が荒れてくるのだ。 「そこ……そこ」 小さい泣き声がした。 ちょうど脚を広げてその中心、女の子の香りのする場所にキスした時だ。昂奮がたかまり、僕は我慢できなくなってしまう。 淫らな亀裂がはいった肉のふくらみを、夢中で舐めまわす。 「ああ、……はあ、ソコ、ソコは……」 たちまちベタベタになってしまった桃色の毛饅頭。 「挿入れるよ」 重なりながら言うと、コクンと素直にうなずいて、そっと眼を閉じた雛子ちゃん。こわばりをあてがっておいて、ゆっくりと、けれど確実に押してゆく。 今度は雛子ちゃんがヴァージンだと、さいしょからわかっている。だから注意深くしたせいで、失敗はしない。 でも、肉がきしむ。ひきつれあい、きしみながらも、こわばりは確実に少女を捕らえてゆくのだった。 *********** 温泉町の、とあるマンションの一室。 なんでこんなところに居るんだろうと、チラッと思ったりする。酔った頭で、のぼせた頭で、しかも女の子を組み敷いて。 「……はあ、あああっ!」 声が響く。 それが最後のひと押しだった。頭の部分だけを雛子ちゃんの陰裂に挟みこまれていた肉棒が、そのひと押しで根元までもぐったような感触。 「……ああっ!」 悶える少女の顔を見ながら、少し身体を離す。ソコがどうなっているのか見えるように。すっかり根元まで挿入ったような気がしたけど残った部分が見えている。でも、つながってる部分の光景が刺激的だ。 「あふっ、……あふっ、」 乱れた声。少女がジタバタしている。僕は今度はゆっくりと後ろに引く。と、節くれだった肉茎が視野にあらわれる。 「ひっ、ひいい〜っ」 傷口をこすられてあがる悲鳴。 「ひ、ひなこチャン……!」 血濡れたこわばりを眺めて僕は叫ぶ。たまらなくなってズッコズッコとゆっくり抜き挿ししながら。 「ああ、痛いッよおっ」 「ダメだよ、そんなにかたくなっちゃ。もっと力を抜いて」 「うん、うん。……でも」 きつきつだ。そこはひどく狭くて、肉棒はきちきちに握られたみたいで、動くと内臓までかきだしてしまいそうな気分。 「ああ」 抵抗しようとする彼女の腕をつかまえてシーツに押しつける。腰の動きにつれて、雛子ちゃんはしゃくりあげるように途切れ途切れに泣きじゃくっている。 けれども確かに動きは楽になっていた。 「痛い? 我慢できない?」 いくらか余裕ができてきた僕は、耳にささやく。 「うん。……あの、でも、やめんのよ、途中でやめんといて」 必死に我慢している顔がたまらないのだ。 「だ、だって」 どこか、苦痛だけじゃないような、そんな微妙な、複雑な感じ。そんな雰囲気の表情。「……あたし、あたし」 抽送につれて濡れた音。雛子ちゃんのシーツ、汚してしまったけど、まあ、これはしょうがないか。 「気持ちいい?」 キョロキョロして、何か言いたそうにしているんで、そう聞いてみた。 「……やだ〜っ、み、みんなが見てる」 一瞬、なんのことだか理解できなかった。けど、雛子ちゃんの視線をたどってやっとその意味が。 薄暗いボンボリの照明のなかで、ずらっと並んだ雛人形。 あるいは、快感がたかぶってくるのにつれて、見られているような気持ちになっちゃったんだろうか。雛子ちゃんは顔を覆って隠してしまった。 すごく敏感な女の子だというのは、さっきからわかっている。くすぐったがりの娘は敏感なんだ。 熱っぽい、せわしない抜き挿し。愛液と血と、それにさっきいっぱい舐めたから、唾液とがまじったぬめりを指にからめて、僕はビンカンな肉芽をこすってみた。 「はあ、……やん」 唇が震えながら動く。 結局それがトドメになった。オナニー好きなのか、クリトリスの刺激がよく効く女の子の雛子ちゃんは、それでイッてしまう。細い腰を持ちあげ気味にのけぞって『ウッ』と息を呑んで。 頬を染めて、唇を半開きにした表情がたまらなくって、僕も限界に達している。 「イクよ、雛子ちゃん……!」 そう叫びながらこわばりを引き抜く。彼女の小さな手を引いて握らせて、操作を教える。すぐに覚えてくれた。 しとどに放出される僕のザーメン。 少女の下腹部に点々と散らばった白濁は、いくらか破瓜の出血が混じってピンク色をしているのだった。 |