「えー、もらえるんですか」。素直に喜ぶ若い女性の笑顔がテレビに映し出されたのは一カ月前だった。それがいまだ、いつもらえるのか決まっていない。
総額二兆円の定額給付金のことだ。麻生太郎首相は当初「年内と年を越すのではだいぶ意味が違う」と年内実施の考えを示したが「年度内」に訂正した。クリスマスプレゼントや正月のお年玉と思った人の期待は裏切られた。
ではいつなのかと問われてもよく分からない。財源を確保するための二〇〇八年度第二次補正予算案と予算関連法案成立のめどが立っていないからだ。首相は、二次補正の提出を来年一月召集の通常国会へ先送りした。国会が混乱すれば「年度内」も怪しくなる。
総務省が、都道府県と政令指定都市を対象に給付金制度の概要を説明した。給付額は一人一万二千円で、六十五歳以上と十八歳以下は八千円加算して二万円とする。支給方法は世帯主の口座振り込みや市区町村窓口での現金手渡しとした。
しかし、体が不自由な独り暮らしのお年寄りらにきちんと届けられるかなど課題が残る。各地ですでに、給付金に関連する不審電話情報が寄せられていることも心配だ。新手の振り込め詐欺の疑いがある。
給付金は大きな話題だが、支給はまだ未定。くれぐれもだまされないように。