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新井田TKO陥落で引退へ/ボクシング

流血しながら戦う新井田(撮影・中島郁夫)
流血しながら戦う新井田(撮影・中島郁夫)

<プロボクシング:WBA世界ミニマム級タイトルマッチ12回戦>◇15日◇パシフィコ横浜

 WBAミニマム級王者の新井田豊(29=横浜光)は、同級1位ローマン・ゴンサレス(21=ニカラグア)に4回TKO負けし、8度目の防衛に失敗した。

 新井田の右目上の腫れをチェックしたドクターが小さく首を振った。試合終了を告げるゴングが鳴り響く。4回1分59秒、試合続行不可能と判断されてのTKO負け。この瞬間、王者の防衛ロードが7でストップした。新井田は頭からタオルをかぶり、足早に花道を引き揚げた。

 試合開始直後に、アクシデントに見舞われた。初回、左を出そうとした新井田の顔面をゴンサレスの右フックが強襲した。「あれで(左の)鼓膜が破れて。バランスが悪くなった。(挑戦者の)圧力もすごかった。想像以上」と新井田。20戦18KOを誇る最強挑戦者のパンチは、それほど強く、重かった。

 4回には左アッパーを受けた右目が一気に腫れ上がった。それまでは「少しはれている程度」だったが、まぶたが開かなくなった。「まだやれると思った。もうちょっと頑張りたかった…」という新井田の思いもむなしく、ドクターは試合をすぐに止めた。

 今年6月、所属ジムの関光徳会長(享年66)が、くも膜下出血で急死。「育ての親」の訃報(ふほう)に普段はクールな新井田も告別式では人目をはばからず号泣した。「防衛し続けることが最大の供養になるから」。8度目の防衛を関会長の墓前に報告するはずだった。その夢もかなわなかった。「相手の方が1枚上だった…」とうなだれた。

 今後については「ゆっくり休んで考えたい」と引退については明言しなかった。だが新井田は同級王者だった01年10月に「腰痛の悪化と世界王座を奪取した満足感」を理由に、突如引退を表明した前例もある。及川秀文トレーナーも「本人次第だけど(負けたら)普通は…ね」と引退の可能性を示唆した。29歳。一時代を築いた最軽量級の王者が、このままリングを去る可能性もありそうだ。

 [2008年9月16日7時46分 紙面から]


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