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暴力行為 過去最多の5万2756件 昨年度・小中高校生

11月20日21時53分配信 毎日新聞


暴力行為 過去最多の5万2756件 昨年度・小中高校生

暴力行為発生件数の推移

 全国の小中高校生による暴力行為の発生件数が07年度、過去最多の5万2756件(前年度比18.2%増)に上ったことが、「問題行動」に関する文部科学省の調査で分かった。小中高すべてが過去最多で、特に小学校は前年度に比べ37.1%も増えた。いじめの認知件数は前年度より減少したが依然10万件を超え、携帯電話のインターネットサイトなどが関係した「ネットいじめ」など新しい形態も目立っている。

【解説】クローズアップ2008:小中高生、暴力行為最多 愛に飢え暴発 低い自己肯定感

 暴力行為は全小中高校計3万9025校を対象に調査し、小学校は5214件、中学校は3万6803件(同20.4%増)、高校は1万739件(同4.7%増)に達した。状況別では生徒間が2万8396件で最も多く、器物損壊1万5718件、対教師6959件、見知らぬ人への暴力1683件だった。

 校内での暴力は4万7935件で、全体の21%にあたる8204校で発生した。文科省は「同じ学校で繰り返し発生し、同じ児童生徒が複数回起こしている」と分析。教育委員会への聞き取りでは、暴力行為増加の原因について、感情をコントロールできない子や規範意識が低い子の増加が指摘された。

 学校が他機関と連携し、加害児童生徒に対応した際の相手も初めて調査した。警察など刑事司法機関が5161人と最多で、児童相談所など福祉機関は1646人だった。

 いじめについては、特別支援学校を含む計4万38校を調べた。認知件数は10万1127件(同19.0%減)で、▽小学校4万8896件(同19.7%減)▽中学校4万3505件(同15.2%減)▽高校8385件(同31.9%減)▽特別支援学校341件(同11.2%減)。文科省は「減少したとはいえ(10万件を超え)依然深刻だ」とする。

 自殺した児童生徒158人のうち、いじめが一因だった可能性があるケースは5人(同1人減)だった。【加藤隆寛】

 ◇ネットいじめ深刻、文科省が対応マニュアル配布へ

 文部科学省が20日公表した07年度の児童生徒「問題行動」調査結果は、いじめが依然深刻な問題となっていることを示した。新たな問題として「ネットいじめ」も浮上。自殺にいじめが関係している可能性がある5件のうち、神戸市の私立高校3年の男子生徒(当時18歳)のケースでは悪質なネットいじめが確認されており、対策が急務だ。

 男子生徒は07年7月に自殺。生徒の名前を冠したサイトが勝手に作られ、住所や電話番号、メールアドレスが書き込まれた上に、裸の写真まで掲載されていた。

 加害生徒は「うそ1回につき罰金1万円」というルールを作り、メールで現金を要求していた。要求額は計50万円近くに上り、被害生徒は学校に隠れてアルバイトをしていた。

 ネットいじめは本人が知らないところで中傷されるのが特徴で学校側が把握しにくい。このケースで学校は発覚直後の会見で「登下校も一緒で仲良しに見えた」と説明した。

 最近のネットいじめは、携帯電話のサイト上で相手を中傷する書き込みが主流。書き込み内容を巡るトラブルも目立ち、殺人、傷害事件にまで発展するケースも少なくない。

 このため、ネットの正しい使い方などを教える情報モラル教育に取り組む学校も増えている。文科省も教員向けのネットいじめ対応マニュアルを約8万部作成、来月中に全国の国公私立の全小中高校に2部ずつ配布する。

 過去最高となった暴力行為件数。発生率は都道府県間で大きく異なった。

 香川県は、暴力行為の1000人あたりの発生が10.1件と全国ワースト1。不名誉な記録について、県教委義務教育課は「現実をしっかり受け止めた結果だ」と述べる。小学校で152件ある器物損壊は「トイレットペーパーを便器に投げ込む」「ロッカーをける」行為も含み、細かく現状把握した結果との説明だ。

 ワースト2位の高知県。県教委は、高い離婚率や困窮家庭の増加が背景にあるとみている。

 一方、1000人あたりの発生が0.4件と3年連続で全国最少の福島県。県教委は「小中学校で少人数教育が進み、小さな変化に教師の目が届いている」と胸を張る。全国に先駆けて02年度から、小1と中1を30人学級とした。05年度には全学年に広げ、その年から暴力発生率が全国最低となった。ある小学校教員は今年、男子同士が「体育館裏でけんかする」と別の児童から教えられ、未然に防いだ。「少人数教育が奏功した」(県教委)という。

 香川、高知と隣接する徳島県は、発生率0.5件と全国で2番目に少ない。県教委は、県警や児童相談所などがいじめや暴力対応を話し合う「サポートチーム」の連携が機能していると説明している。

 ただし、調査が実情を反映していない可能性もある。文部科学省の基準はあるものの、どこまで報告するかは現場に委ねられているためだ。【三上健太郎、向畑泰司、西嶋正法、服部陽】

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最終更新:11月21日8時41分

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