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【昭和正論座】元内閣法制局長官・林修三 昭和49年12月7日掲載 (1/5ページ)
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■国家公務員の政治行為禁止 評価すべき最高裁判決
≪マスコミは否定的だが≫
去る十一月六日、最高裁大法廷は、国家公務員の政治的行為の禁止と憲法との関係が問題となっていた猿払事件など三つの事件について判決を下した。一一対四の多数によってである。この多数意見は、現行の国家公務員法及び人事院規則一四−七による一般職国家公務員の政治的行為の禁止規定を全面的に合憲と判断したものであるが、この判決の出た当時におけるマスコミなどの上でのこれに対する評判は、あまりかんばしいものではなかった。あれから約一カ月、そろそろ、専門の法律雑誌などにも、この判決の批評の出るころであるが、最近におけるわが国の法律学界の傾向からみて、多数意見に対する風当りは、マスコミなどの場合よりも、もっと強いのではないかと思われる。しかし、党派的立場や特定の思想的立場を離れて冷静に客観的にこの多数意見を検討した場合、それは、大方の世間の評判とはちがってバランスのとれた、すこぶる適切な考え方を述べたものというべきではないかと考える。数量的には少数説かも知れないが、この点に関し若干の私見を書いてみたい。