さすがに「あんた」とは言わなかったが、党首討論の小沢民主党代表の発言は麻生首相へのお説教に聞こえた。「首相の言葉には重みがない」「こう思って言ったことは貫かないといけない」等々 その麻生首相といえば、真剣そうな顔はしていても、ライバルの指摘には馬耳東風の趣。右の耳から左に抜けていたのだろう。先の福田前首相のような感情的な言葉や予想外のセリフはなく、淡々と45分間が過ぎた つきあい始めたころの恋人同士は、真正面に座るのではなくて、90度角の隣同士に座るとよいと本紙連載「ラブラブクリニック」にあった。目と目を見つめ合う真正面の位置は、ふたりの仲が深まってからにした方がいいとも言う 近距離で真正面に向かいあう党首討論は、言葉がぶつかりあっているようで中身はすれ違いの一方通行。言いたいことを言った本人は満足だろうが、空疎なセリフと下手な役者の大見得を見せられた感じである 「ラブラブ」とはほど遠い仇敵同士だからそれで当然なのだが、多少は斜に構える役者の角度と、話がかみ合う距離の工夫がないと、見る方はつまらない。
|