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【社会】秋葉原殺傷 早期の救急搬送に課題 検証委報告 処置の順位は適正2008年11月29日 朝刊 十七人が死傷した東京・秋葉原の無差別殺傷事件で、東京消防庁の救命救急活動を検証していた東京都メディカルコントロール協議会の事後検証委員会(委員長、山本保博・東京臨海病院院長)は二十八日、現場の混乱や病院選定の手間取りなどで迅速な搬送に課題を残したと指摘する報告書を公表した。けがの程度によって処置の順位を決める「トリアージ」については「妥当だった」と評価した。 多数の死傷者が出た現場の救急活動の検証結果が公表されたのは異例。委員会は医師や消防関係者ら十七人で構成し、六−十一月に計六回会合を重ねた。 報告書によると、トリアージの対象となった十五人のうち、死亡などを示す黒タグは五人、重症の赤タグは七人、軽症の緑タグは三人に付けられた。短時間で正確なトリアージにより、最優先で搬送される赤タグの五人を救命できたとして、「トリアージの手法、手順、実施結果ともに適正だった」と評価した。 一方、通報を受けて現場から病院に出発するまでの時間が、トリアージの対象とならなかった重症の男性(53)が二十五分だったのに対し、赤タグで死亡した女性(21)は四十六分を要したことも判明した。 報告書は原因として▽被害が広範囲にわたり全体の状況把握に時間がかかった▽指揮本部と救急隊のどちらが搬送先を決めるかの意思統一が不十分だった▽消防隊員が殺到して無線が交錯した−などを挙げ、現場到着や病院選定に時間を要した場面があったと指摘。警察との連携や特異事案を想定した訓練の実施を提言した。 ただ、死亡した七人については「重症度が高く、いずれも救命の可能性はないに等しいと言わざるを得ない」と結論付けた。 二十八日の会見で東京消防庁の野口英一救急部長は「改善すべき点があるのは事実。検証結果を重く受け止めたい」と述べた。 <トリアージ> 「選別」を意味する仏語が語源。災害や事故で多数の傷病者が出た際、医師らが緊急度や重症度で分類して治療や搬送の優先順位を決める。一般に赤(重症)、黄(中等症)、緑(軽症)、黒(死亡など)の順でタグを傷病者に付ける。米国の救急医療の分野で確立され、日本では1995年の阪神大震災以降に普及、2005年のJR福知山線脱線事故でも行われた。
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