福岡県の同和教育ヤミ専従究明裁判は11月4日、福岡地裁第3民事部(一志泰滋裁判長)で判決が言い渡され、小西清則全同教(全国同和教育研究協議会。 「解同」の教育分野における実働部隊)委員長(当時)の枠外配当、県同教などの団体運営のための出張は違法とされ、福岡県教委の関係部・課長と小西委員長本人、上司である小倉商高校長ら7人に対して、連帯して311万8,327円を支払うよう命じまられした。 2000年6月から、通称「福岡県同教裁判」と呼ばれる裁判が始まりました。 原告は同県民84人。 この裁判では第1次から第3次に渡って原告団が組織され、原告団は麻生渡福岡県知事と小柳正之県教育委員会委員長を相手取り、福岡県同和教育研究協議会(県同教)への現職教師派遣にともなう年間約1億円の人件費支出は違法だと訴えて、福岡地裁で争ってきました。 2003年3月25日、福岡地裁は人件費支出の違法性を認め、住民側全面勝訴の判決を言い渡しています(控訴審判決は2005年10月17日)。 この裁判の争点は、県が人件費まで負担し、「研修」目的で、県教委から福岡県同教事務局に教諭を派遣してきたことが、適法かどうかという点でした。 言い換えれば、民間団体に過ぎない福岡県同教に、行政が人的・金銭的支援を継続してきたことの妥当性が問われたものでした。 裁判のなかで、「研修」名目で最長26年間、平均5.3年間(県教委の規則では「1週間以上、6ヵ月まで」で、大学留学などを理由としても最長3年)もの長期間、教諭が公務として県同教に派遣され、その業務を肩代わりしていたことが明らかになったのです。
福岡県は、住民監査を準備したことにあわて、県同教に11年間も「研修」として派遣していた小西全同教委員長(県同教副会長)を、在籍校の小倉商業高校に戻しました。 しかし小西氏は、その後「同和教育ヤミ専従」扱いで県同教・全同教の運営に従事していたことが発覚し、このたびの民事訴訟となったものです。
原告団・弁護台は11月4日、下記の勝訴判決声明を発表しました。
2005年11月4日
公金違法支出損害賠償請求住民訴訟原告団・弁護団
勝訴判決声明(違法○関係者への責任○)
本日、福岡地方裁判所は、民間同和団体である県同教などの行事運営に専従させるためにK教諭の県立小倉商業高校への異例の枠外配置を認めて、同教諭に出張命令や職務専念義務免除を出して、給与や旅費を支給しつつ、平成12年には174日、平成13年には204日、平成14年には153日という信じがたい回数の出張をくり返して学校現場での業務を行わないことを可能ならしめてきた福岡県の関係者の関与の是非が問われた事件について判決を言い渡した。
福岡地裁は、上記の同教諭の同和団体での活動の便宜を図るための体制を作り且つ維持してきたことに関して違法であると断じており、それに伴って税金から支出された給与支払い(公金支出)等も違法になされたことを明確に認定した。
しかも、この体制を支えてきた福岡県教育委員会の関係者の責任を明確に認めたものであり、画期的な判決といえる。
福岡県教育委員会は福岡県同和問題研究協議会(県同教、現福岡県人権・同和研究協議会)及び部落解放同盟(解同)と癒着して、解同の運動団体の実態である県同教の活動に専従させるために、長年にわたって公務員である教諭らを「研修」名目で派遣し、税金から毎年1億円以上もの給与を支給してきた。 この事実は、税金の使い方として極めて問題であるということにとどまらず、教諭が派遣された県同教が、福岡県下の教育現場に部落解放同盟の独自の運動論を持ち込み、福岡県の教育行政及び教育を大きく歪め、重大な弊害をもたらしてきたという点においても、およそ看過することの出来ない問題であった。 このような状況に対し、福岡県民の有志が原告となって2000年3月に住民監査請求で、その違法性を訴え、同年6月、住民訴訟を提起したのである(この裁判は、先般の控訴審で一審に引き続き派遣の違法性が確認された)。
この住民監査等の動きを受けて、上記事件で研修名目で県同教に派遣されていた同教諭は、2000年4月に小倉商業高校に国語教師として復帰した。 ところが、同教諭は今度は県同教等の活動のために出張を繰り返し、学校業務は殆どしていなかったのである。 しかも、職務専念義務免除をもらい、出張の数を表向き減らすということを行うという、「同和教育ヤミ専従」として活動していたのである。
そこで、この体制作りを行い維持してきた関係者の責任を問うべく住民訴訟が提起されたのである。
本日の判決は、違法な公金支出を改めさせることはもとより、福岡県の教育行政のゆがみを是正させるための重要な裁判として位置づけられる。
本判決は、このような体制作りを行ったことが違法であることを明確に宣言し、しかも教育行政の関係者に対する責任を認めたものであり、評価できるものである。
福岡県及び教育委員会はこのことを真摯に受け止め、控訴することなく、同和教育行政のゆがみを速やかに是正してゆくべきである。 本券原告団及び弁護団としては、今後とも県教委等がさきの福岡高裁判決と本日の地裁判決の趣旨をふまえ、解同及び県同教との癒着の関係を抜本的に是正し、教育基本法、学校教育法に基づき、教育行政の主体性と中立性を確保し、公教育を推進していくことを見守っていくことをもとめ、勝訴判決の声明とする。
以上
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