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【人、瞬間(ひととき)】あの事件 元参議院議員・筆坂秀世さん(60)(上) (3/3ページ)
「私が何をやったのか、その中身をきちんと公表してほしかった。そうしないと、『いったい何をやらかしたんだ』と憶測が憶測を呼ぶことになるのは目に見えていましたから」
だが、この時点でもう罷免や議員辞職などどうでもよくなっていた。人間としてのプライドをどう保つか、そしてこの事実を妻にどう伝えるか、それが最大の問題となった。処分決定から公表までの1週間、ぼんやりとした頭で、苦しみから逃れるには自殺しかない、そんなことまで考えた。
「人生の中で一番苦しい時期でした。公表の前日です。妻に事実を打ち明けたのは。取り乱すことなく、黙って受けとめてくれました。これには本当に救われました」=敬称略
文 桑原聡
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【プロフィル】筆坂秀世
ふでさか・ひでよ 昭和23年、兵庫県生まれ。高校卒業後、三和銀行に入行。18歳で共産党に入党。25歳で同行を退職して専従活動家になる。国会議員秘書をへて参議院議員となり党政策委員長も務める。平成15年にいわゆる「筆坂セクハラ事件」で党のあらゆる役職を解任され、議員も辞職。17年に離党した。