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【人、瞬間(ひととき)】あの事件 元参議院議員・筆坂秀世さん(60)(上) (1/3ページ)
■党の罰と妻の救いと
共産党のスターだった。党の最高指導機関である中央委員会常任幹部会のメンバーとなり、政策委員長を務め、国会では舌鋒(ぜっぽう)鋭く与党を追及、テレビの政治討論番組にもたびたび党を代表して出演していた。
平成15年5月のことだった。志位和夫委員長、市田忠義書記局長、浜野忠夫副委員長が並ぶ部屋に呼び出された。30代後半の女性職員からセクシュアルハラスメントの訴えがあったというのだ。
「1週間ほど前にその女性職員と秘書の3人で焼き肉を食べ、カラオケ店に行きました。そこで音楽に合わせて女性とダンスを踊ったときに腰に手を回し、ぎゅっと抱きしめたのは事実です」
女性の訴えは翌日にあったのだが、党は1週間をかけて調査したうえで呼び出したという。
「志位さんが『事実か』と聞くので『事実です』と答えると、自己批判書を書いて次の常任幹部会に提出するよう命じられました」
常任幹部会で自己批判書を読み上げた。規律委員会の責任者であった浜野が、警告処分(口頭注意)にしたいと提案し、全会一致で承認された。
その翌々日にはNHKの「日曜討論」に出演を予定していた志位に呼ばれ、いろいろと知恵を出した。その件はもう終わったものと思っていた。