あなたの町にヘンプカーがやってくる
※注意 このイベントは2002年に行われました
麻の成長にあわせて、麻の車が走る
ヘンプカー・プロジェクト実行委員会事務局長 赤星栄志
植物油の一種であるへンプオイル(大麻油)で走る車が、日本全国を北から南に縦断し、各地のイべント会場でへンプをテーマにした衣食住の見本市を開催します。
期間は、2002年5月5日に青森県・三内丸山遺跡をスタートし、2002年8月8日に熊本県・阿蘇の幣立神宮で終了となり、走行距離は5000kmに達すると見込まれています。
麻の種を蒔くのは4月中旬で、2週間後にかわいい芽が出てきます。ヘンプカーがスタートする5月5日は、麻の葉が5枚(奇数)であることを象徴した世界マリファナデーであり、そして、麻が3〜4mに成長する8月上旬までの期間に併せて、へンプカーが全国縦断することによって、麻のムーブメントとしての波がどんどんと大きくなっていくことでしょう。
なぜ、ヘンプオイルで車が動くのか?
このへンプカーの日本縦断プロジェクトでは、ディーゼルエンジンで動くバス(20名乗り)を借り、軽油の替わりにへンプオイルを使います。へンプオイルをそのまま使用したのでは、車のパワーが出ないので、「バイオディーゼル燃料」に変えて、軽油として使います。この「バイオディーゼル燃料」は、石油系のディーゼル燃料(軽油)より、環境と健康への害がとても少ない再生可能な燃料です。
日本でも廃食油(天ぷら油など)から「バイオディーゼル燃料」をつくっているところがいくつかあります。たとえば、今回ヘンプオィルの軽油化を依頼する染谷商店(http://www.vdf.co.jp)、滋富県愛東町の菜の花エコ・プロジェクトなどです。また、京都市ではバイオディーゼルで200台のゴミ収集車が動いているといった事例がよく知られています。
2001年7月4日、ワシントンDCをスタートしたヘンプカーは全行程10,000マイル(16,000km)を走破。主催者のー人ケリー・シグラーは、「アメリカの国土の6%に大麻を栽培すれば、全国の輸送。エネルギー需要をすべて満たすことができる」「国内で法的に容易に栽培できるようになれば、産業用大麻は経済的かつ循環的に製造可能な代替燃料となりえる」と語っている。 |
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軽油と比べてバィオディーゼルは、 @酸性雨の原因である硫黄酸化物(Sox)を出さない。 A呼吸器障害の原因となる黒煙が3分の1以下になる。 B軽油と変わらぬ燃費と価格(廃食油利用の場合) 発熱量はバイォディーゼル:960kcal/s 軽油:10,930kcal/s バイオディーゼルの価格80円/s(染谷商店の場合) C車の改造が必要なし D軽油にバイオディーゼル燃料を混ぜると有毒物質の排出を大きく押さえ、潤滑性を大きく向上する(バイオディーゼル燃料を1%加えると、潤滑性は65%向上する) |
衣食住に使える「麻」を見て・触れて・使ってみよう
「麻の服を着て気持ちいい、麻の実を食べて美味しい、麻の家に住んでみたい」このように実感できる麻製品をへンプカー(バス)にたくさん積んで、全国を走ります、本誌でも麻でさまざまな製品ができるという話が出ていますが、現実のマーケット(市場)に出回っている麻製品は限られているので、見たことがない方がほとんどだと思います。
今のところ、どの麻製品も、
原料が少ない→価格が高い→買う人が少ない→
だれも商品開発をしない→一般に広がらない
という悪循環に陥っています。また、アパレル業界で4年ほど前に一時的なへンプファッションブームがありましたが、大麻原料、大麻糸、大麻騨物の輸入量は、1998年をピークに減少しています。
この流れを、
ヘンプを知る人を増やす→使ってみたい人が増える→
多くの人が商品開発をする→一般に広がる→
原料をたくさんつくる→価格が安くなる→もっと世界中に広がる
といった、好循環とするために、ヘンプカーが各地を訪れ、セミナー、シンポジウム、コンサート、ワークショップなどのさまざまな企画を通じて、へンプのことをより理解できる「場」を提供していきます。
また、その場で行なわれる麻の商品見本市や展示即売会によって、Tシャツ、サイフ、アクセサリーなどの小物に触れ、麻の実を使ったソバやうどん、パンを食べ、麻のお茶やビールを飲み、麻の断熱や建材ボードの感触を確かめていただきます。
見る、聞く、嗅ぐ、味わう、触れるという五感と麻のもつ波動(第六感)をフル活用して体験できるような空間を演出できればと考えています。
各地の受入れグループ・個人探しています
おそらくこの企画の成功の条件は、
@各地イべントの盛り上がり度
Aメディアでの取り上げ回数の多さ
と思っています。そのためには、各地でイベントを企画コーディネートしていただける方を募集しています。また、へンプカーの走行ルートに併せて、何か大きなコンサート、セミナーやワークショップなどがあれば、そのイべントにへンプカーが参加訪問できますので、どうぞ声をかけてください。
全国的な企画として、非常に少ないスタッフでは、到底すべてをカバーしきれない規模にまで膨らんでいます。各地でのイべントの盛り上がりに期待しています。また、それほど大きな企画ができなくても、白分たちのサークルやグルーブにへンプの詳しい話を聞きたいので立ち寄って欲しいというところも大歓迎です。
それから、一般的にほとんど知られていない「へンプ」について、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、インターネットなどのさまざまなメディアを通じたアピールを実施します。大麻=危険な植物というイメージを払拭する絶好のチャンスだと考えています。
特に県レべルでの地方局のテレビ、新聞ならば、非常にユニークな企画なので取り上げてもらう機会が多いと考えられます。全国チャンネルに1回だけ小さく掲載されたり、放映されたりするよりも、40県くらいの地方紙、地方局で大きく、何回も取り上げてもらう方が効呆が高いと考えています。
麻の波動を全国津々浦々に伝えるために、皆さまのお知恵、経験、人脈、資金の面でご協力いただきたいと思っています。
みんなの「和」で走るヘンプカー
ヘンプカー・プロジェクト実行委員長 中山康直
へンプカー・ブロジェクトは、あらゆるものをつなげ、日本を元気にしていく可能性を秘めています。へンプという有用性の極めて高い循環資源を再発見する絶好の旅といえるのです。
このへンプカー・ブロジエクトが発信する3つのキーワードは「環境」「伝統」「生活」です。
◎環境 へンプという多様性と可能性に優れた天然資源を素直に見直し活用していく。
◎伝統 古来からの貴重な伝統文化、伝統英知を守る
◎生活 現代社会のさまざまな問題を根本的に打開する可能性を具体的に提案する。
以上のようなキーワードをふまえ、各地のイべントとリンクして立体的に広がっていくように実行していきたいと思っています。
1年草という地球の循環サィクルにあった、人類にとって貴重なバイオマス資源であるへンプは、あらゆる多様性を持ちあわせており、この平和イベントによって、さまざまな分野で有効活用していくためのヒントや情報がもたらされることでしょう。
先祖代々、日本の国土は麻と非常に関係が深い土地です。その日本列島の姿は「龍」型写しであり、その「龍」の身体に麻が縦断するということは、「龍」に燃料(エサ)を与えることでもあり、水の流れが生まれます。すなわち、それは現代の日本社会に光が注がれることを意味します。
日本文化の途切れそうな縦糸を、麻によって結ぶことで、太古からのエネルギーと未来からのエネルギーが現代でつながり、大きな「和」のこころが浮上するきっかけになりそうな気がします。
ヘンプカーは、皆さまの平和への願いを燃料として走り出します。
赤星栄志 あかほしよしゆき
1974年滋賀県生まれ。日本大学農獣医学部卒。現在、ヘンプ・レボ代表。他に政策シンクタンク「構想日本」環境政策担当、バイオマス産業社会ネットワーク顧問、国際雑穀食フォーラム理事、農のあるまちづくり&ライフスタイルをテーマにしたファーミングのホームべージ及びメーリングリストを主宰。近著に『ヘンプがわかる55の質問〜ヘンプ(大麻)の基礎知識』がある。
中山康直 なかやまやすなお
1964年静岡県生まれ。幼少の頃より精神文化の影響を受け育つ。87年には、古代、神代の英知の重要性と麻の将来的な可能性に気づき、調査、研究を開始する。98年に縄文エネルギー研究所を設立し、麻の産業的有効利用に基づくヘンプ製品の開発及び発明を中心に行ない、循環型調和社会実現のため「ハートヘンプ」を実践していくプ口ジェクトの活動もしている。著書に『麻ことのはなし』(評言社)がある。