2008年11月28日

◆ 反物質の謎

 宇宙には、物質ばかりがあり 反物質がない。それはなぜか? 
 その謎に答える。(仮説)

 ──

 宇宙には、物質ばかりがあり、反物質はほとんどない。このアンバランスはどこに由来するのか? これが現代物理学の謎となっている。この謎に、きちんと答えよう。(仮説だが。)
 それは、こうだ。──われわれが「物質」だと思っている「電子」は、いわば「反物質」(反粒子)のようなものに相当するのだ。……電子は電荷が負である。その負の電荷の総量は、正の電荷の総量にほぼ等しい。電子を「反物質」(反粒子)のようなものと見なせば、冒頭の問題は解決する。

 ──

 まずは、謎について説明しよう。これは、既存の物理学の話題であるから、引用すればいい。

 【 引用1 】(朝日新聞)
 小林誠さんは・小林・益川理論について語った。
 「私たちが提案した理論は、実験室で起こる現象については説明できる。でも、宇宙はなぜ物質からできていて反物質がないのかという問題には、まだ答えを出し切れていない」
(朝日・朝刊 2008-11-28 )

 【 引用2 】(朝日コム)
 「実験室で見つかっているようなCPの破れは、いまの理論で矛盾なく説明できます。でも宇宙の物質・反物質の問題はそれだけで説明できない。いまの理論では破れ方が足りない。別の粒子があって、そこでもCPが破れていないと宇宙は説明できない。その候補がニュートリノ。今、それを明らかにする実験が始まろうとしている。」
( ※ ノーベル物理学賞の小林誠氏の言葉。 → 出典


 ──

 つまり、宇宙には、物質ばかりがあり反物質がない。それはなぜか? ……という謎がある。
 その謎に、私は上で簡単に答えた。次のように。──電子は電荷が負である。その負の電荷の総量は、正の電荷の総量にほぼ等しい。電子を「反物質」(反粒子)ようなものと見なせば、冒頭の問題は解決する。

 ただ、「反物質」(反粒子)ようなもの、というのは、「反物質」(反粒子)そのものではない。それは「逆粒子」と呼ぶべきものだ。……このあたり、少し事情が込み入っていて、わかりにくいかもしれない。そこで、以下では詳しく説明しよう。
 つまり、こうだ。

 (1) 原始の宇宙は、正でも負でもないような「未決定」状態の量子(超球)に満ちていた。( 灰色  状態)
 (2) 超球が回転を止めて、質量のある「粒子」の状態になった。( 白または黒の状態。  ○ or ● )
 (3) ここで、バリオンとレプトンとで、アンバランスさ(対称性の破れ)が起こった。バリオンは正に荷電し、レプトンのうちの電子は負に荷電した。前者を「正粒子」と呼び、後者を「逆粒子」と呼ぼう。
 (4) 「正粒子」と「逆粒子」は、電荷の意味ではバランスが取れているのだが、質量の意味ではバランスが取れていない。(重要!)……つまり、電荷の意味では全体として対称性が成立しているが、質量の意味では全体として対称性が成立していない。
 (5) この宇宙には、「正粒子」と「逆粒子」が存在する。そこにある対称性は、(4) の意味の対称性だ。完全な対称性でもないし、完全な非対称性でもない。大きな意味(電荷)では対称性が成立しているが、小さな意味(質量)では対称性が成立していない。
 (6) 人類は、「正粒子」と「逆粒子」とを対称的な存在とは見なさなかった。「正粒子」と「逆粒子」をひっくるめて「物質」と呼んだ。それはいわば、白と黒をひっくるめて、「プラス」と呼ぶような命名法である。
 (7) この (6) の命名法では、「宇宙はすべて物質ばかり(プラスばかり)だ」という結論になった。事実ではなく命名法によって、宇宙に非対称性が生じた。
 (8) 「なぜ宇宙には、物質ばかりがあり反物質がないのか」という謎が残った。無意味な謎が。言葉の上だけにある謎が。

 ──

 比喩的に言おう。
 この世界には、男と女とがほぼ半々にいる。男と女とを見ると、男女の対称性がほぼ成立する。ただ、男女の数は、わずかにズレがある。そのズレは、「男女の対称性の破れ」で説明が付いた。
 さて。ここに物理学者が登場した。物理学者は、男と女をひっくるめて「人間」と呼ぶことにした。すると、次の謎が生じた。
 「われわれはどうして、人間ばかりなのか? なぜ『反人間』が存在しないのか? ここにはきっと、『人間と反人間』との対称性の破れがあるからだろう。それを探ることが、物理学の課題だ」
 「本来ならば、『人間と反人間』との対称性ゆえに、人間と反人間とは半々で生じたはずだ。なのに、『人間と反人間』との対称性の破れゆえに、この世では人間ばかりが生じるようになった。『人間と反人間』との対称性の破れの理由を知ったとき、われわれは世界の真実を知るはずだ」
 物理学者は気づかなかったのである。その対称性は、自然に由来するのではなく、彼の言葉遣いに由来するのだ、と。
 本当は、よく見れば、自然界には「男女の対称性」が成立する。なのに、男女をひっくるめて同種のものだと認識したから(変に誤認したから)、「『人間と反人間』との対称性の破れ」という変な概念が生じたのだ。そしてそこから、無意味な謎が生じたのだ。言葉の上だけにある謎として。

 ──

 電子はもともと、負の荷電粒子であり、普通の物質とは対称的な存在なのだ。その意味で、広い意味での「対称性」は、この宇宙にまさしく成立する。

 ──

 以上が、私の仮説だ。

( ※ この仮説のポイントは、いくつかある。だが、根底にあるのは、「宇宙は対称的なものだ」という発想だ。その意味で、「宇宙は非対称である。なぜ宇宙は非対称か」という発想とは、反対のものだ。根源的な認識が、普通の物理学者の発想とは異なっている。非対称を前提として非対称を説明するのではなく、対称を前提として対称を説明する。)



 [ 付記 ]
 以上は、仮説としての結論である。
 ただし、この結論が出るまでには、長い道筋が必要となる。特に、(4) で「重要」と述べた事柄がある。これについては、まだ示していない。
 これらのことについては、より根源的な原理から、詳しく説明する予定。将来的に、あとでまた詳しく書く予定。
posted by 管理人 at 17:57 | Comment(0) | 物理・天文
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。