医療崩壊を食い止めるのは医学生
医学生らが自身のキャリアについて学び、意見を発していくことを目的につくられた「医師のキャリアパスを考える医学生の会」は11月27日、「日本版総合医」「医師不足」をテーマにした第2回勉強会を慶大信濃町キャンパスで開催した。講師として招かれた渡辺賢治・慶大漢方医学センター准教授は、「医療崩壊は始まったばかり。崩壊が10年続くか、50年続くかは君たちに懸かっている」と、学生たちにエールを送った。
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渡辺氏は初めに、「医療崩壊がなぜ起こったと思うか」と学生らに質問。学生の間からは、「医療費の無計画な削減」「医学が進歩したため、医学が万能と患者が考え、訴訟などに発展しやすくなった」「総合医が不足しているため、大学病院などに軽傷でかかる患者が増え、負担が増大した」などの意見が上がった。こうした意見に対して渡辺氏は、「日本人のメンタリティーが不老不死を目指して、究極のところに来ている。医療崩壊をつくった原因の一つは、社会で医師を支えようとする姿勢が足りない、ということもあるのかもしれない」などと述べた。また、「医師と患者のコミュニケーションが崩れている。同列で医療を良くしようと考えなくてはいけない」と訴えた。
続いて、渡辺氏は「総合医」について言及した。日本の今後について、「超高齢社会を迎える人類史上初めてのケース」と指摘し、特に老人医療費が伸びている現状などを紹介。その上で、以前は生産者人口を支え、高度成長を支えてきた臓器別専門医を中心に、病気を治すことが最優先とされていたのに対し、今後の高齢社会では病気と共存させ、QOLを保つことを目指した「全人医療」の医師が必要だとして、総合医の必要性を強調した。
渡辺氏は最後に、「一つの治せる疾患を相手にすることも重要だが、複数の治らない疾患を有する高齢者と向き合えるコミュニケーション能力も必要」とした上で、「人類史上初の超高齢化社会の中で、全人医療を担う医師が社会を支える」と締めくくった。
更新:2008/11/28 16:26 キャリアブレイン
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