小沢代表が「国替え」を断念 そのウラに不動産と世襲問題
2008年11月27日 週刊文春
様々な憶測を呼んでいた民主党・小沢一郎代表の「国替え」が不発に終わりそうだ。「全国ほとんど候補者が決まり、国替えする所も残っていない状況になってきた」。十一月十九日の記者会見で、自らそう認めたのだ。「以前は質問されても決して否定せず『まだ決めていない。フフフ』と思わせぶりだったのに、最近は『地元の岩手四区から出るかどうか』と言い出し、明らかに変わった」(全国紙の番記者)。単なる党内引き締めだったのか。
地元ではまことしやかな解説が囁かれている。「政権交代実現へ自ら地元を出て先頭に立つというのが大義名分だったけど、空いた地元には長男を擁立し後を継がせようとしていた」(後援会関係者)というのだ。
小沢氏の長男は小学校まで地元で育ち、早稲田大学を出て、江田島の海上自衛隊幹部候補生学校に入った。卒業式に小沢氏夫妻がそろって出席する姿が写真週刊誌に載ったこともある。
「その後、自衛隊を辞めて一般の会社に勤務していたようだ。学生の頃は頼りなげだったが、今ではとても立派になった」(同前)
小沢氏が世襲を急ぐとしたら理由は何か。自民党選対幹部の推理はこうだ。
「民主党が政権を獲ったら、一部マスコミで報じられている、小沢氏の政治資金管理団体『陸山会』の資金で、都内や地元で購入したマンションなど十億円超の不動産資産問題が、再び浮上するのは確実。他にも非公表の不動産があるという話もあり、血縁者の間で上手に分散・継承していかなくてはならないからではないか」
一方で、小泉純一郎元首相が、二男・進次郎氏への世襲を一気呵成に実現させようとしたことに、地元で「小泉さんらしくない。支持できない」と冷ややかな声が広がっていることも影響しているようだ。実際、この神奈川十一区で民主党は、進次郎氏と同じ二十七歳の若手弁護士を候補者に内定。裕福とはいえない家庭に育った苦労人で、世襲批判層を取り込む作戦だ。
「小泉家への逆風を見て、小沢氏自身も今回は時にあらずと断念したから、自分で地元に戻るしかなくなったのでは」(前出・自民党選対幹部)
落選の可能性がある「国替え」説は、小沢氏が首相の座を他の民主党幹部に譲る案とセットだった。地元から立候補となれば、小沢氏は首相就任も覚悟したのか……。
※各媒体に掲載された記事を原文のまま掲載しています。
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