法務省は28日、来日外国人に指紋と顔写真の提供を義務付けた入国審査制度の施行から1年の実施状況を発表した。個人識別情報を使い入国を拒否した外国人は846人、不法残留者の発生数は前年同期より35%減った。法務省は「就労目的の不法入国を抑止し、水際対策に効果が上がっている」としている。
過去に退去強制処分を受け、5年間の上陸拒否期間中に再入国しようとして退去を命じられた外国人は748人で▽韓国290人▽フィリピン137人▽中国83人など。他人名義の旅券などで入国しようとして退去強制処分となった外国人は98人で▽フィリピン18人▽イラン16人▽スリランカ10人など。警察から受けた指名手配者の指紋情報を基に、身柄を警察に引き渡したケースも数人いた。
入国時に指紋を一律採取する制度は04年の米国に続いて2番目で、当初は大勢の指紋提供拒否者が出ることも予想されたが、1年間の提供拒否者は中東の男性1人にとどまった。入管局は「制度が浸透し、理解が深まっている」と分析する。【石川淳一】
毎日新聞 2008年11月28日 11時28分