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【社説】外貨準備高、1ドルも無駄にするな

 外貨準備高が2000億ドル(約19兆円)を既に割り込んだのではないかとの観測が出ている。10月末現在で外貨準備高は2122億ドル(約20兆2300億円)まで減少していた上、11月に入り政府と韓国銀行が金融機関に140億ドル(約1兆3300億円)を供給したためだ。米国債の利息収入を考慮しても、11月末の外貨準備高は1900億ドル(約18兆1000億円)台に落ち込んだ可能性が高い。

 2000億ドル台を割り込む心理的ショックも大きいが、外貨準備高があまりに急速に減少していることがさらに大きな問題だ。外貨準備高は10月だけで274億ドル減少した。11月にも140億ドル減少したとすると、2カ月で400億ドルが消えた計算になる。このペースで外貨準備高が減り続ければ、韓国経済の対外信用度が大きく揺らぎ、ドル不足から脱却できない危険な事態に陥る可能性がある。

 韓国は7-9月期に対外債権より対外債務が多い純債務国に転落したとみられる。2000年6月末以来8年ぶりのことだ。純対外債権は05年末の1292億ドルをピークにして、06年末が1208億ドル、07年末が355億ドル、今年6月末が27億ドルと急激に減少した。最近の金融危機で海外メディアが韓国経済を否定的に扱う最も大きな理由は借金が急速に増えていることだ。

 対外債務の中には、造船会社が今後受け取る船舶建造代金を担保に為替先物をあらかじめ売ったり、企業が輸出代金を先に受け取ったりしているケース、外国人投資企業が本社から借り入れた資金など、対外債務に含まれるものの実際には借金とは見なしにくい部分も多い。6月末現在で対外債務4198億ドルのうち、こうした借金ではない借金が1518億ドルを占めた。それでも対外債務があまりに急速に増え、債務国に転落したことは懸念すべき部分だ。

 幸い10月の経常収支は49億ドルの黒字となり、一息つく余裕が生じた。15億ドルの黒字予測をはるかに上回る過去最高記録だ。11月にも10億ドル以上の黒字が見込まれる。昨年12月から続いていた赤字による負担が軽減された。12月初めには韓米通貨スワップ契約による資金40億ドルも入ってくる。韓国銀行は外貨準備高を取り崩さなくても市中銀行にドル資金を引き続き供給できるようになる。中国、日本との通貨スワップ拡大も近く決まる見通しだ。非常時に取り込める資金が増える分、国家デフォルト(債務不履行)の懸念も大きく和らぐことになる。

 しかし、通貨スワップで入ってくる資金は2カ月程度で返さなければならない。つまり急場しのぎの方便にすぎない。結局はわれわれの金庫に十分な資金がなければ安心して寝られない。そのためには経常収支が黒字基調を確実に維持することが重要だ。そうしてこそ、これまで取り崩した外貨準備を埋め合わせる方法も見つかる。

 当面外貨準備高は減少が避けられないのは現実だ。国際金融市場が冷え込んでおり、対外債務の繰り延べも容易ではないためだ。そのため、外貨準備がこれ以上無駄に使われることがないようにすべきだ。政府がウォン安を招いておいて、それを反転させようと200億ドルを超える外貨を浪費したような出来事を繰り返してはならない。オバマ米次期大統領は「経済危機の解決に1分も無駄にする時間はない」と述べた。韓国政府は「1ドルも浪費する余裕はない」という覚悟で外貨準備高を管理しなければならない。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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