「百パーセント公務」仙台市長、機密保持のためと説明

行き先が記入されていない梅原市長名義のタクシーチケット
 仙台市の梅原克彦市長が2006年4月から2年半の間に使用した市のタクシーチケットのうち、行き先が記入されていないものが約120万円に上ることが27日明らかになった。梅原市長は同日、河北新報社の取材に対し、市のタクシーチケットの使い方について、「行き先を書かないことはやむを得ない」と強調した。一問一答は次の通り。

 ―市内部の申し合わせ事項では、行き先は明記するよう定めており、監査委員の指摘もあった。記入しないのはなぜか。
 「市長の仕事は非公式な会合や交渉事も多い。相手が誰かを推測されるような記録を残すことは、相手に迷惑をかけることになるので十分に配慮しないといけない。市のルールや監査委員の指摘は分かるが、機密の保持を考えれば原則通りにはいかないこともある」
 「市長がどういった所に動いたかということは重要な情報のヒントになる。仕事の性格上、ある程度、弾力的な運用もやむを得ない」

 ―行き先を書かなくては、本当に公務に使っているのか証明できない。
 「公私の区別は厳密にしており、百パーセント公務に使っている。それは国家公務員時代や市長になってからの私の仕事ぶりを見てもらえれば、市民には理解してもらえるはずだ。そもそも、私にはプライベートは一切ない。24時間市長として一生懸命、仕事をしている」

 ―仙台市はゼネコン汚職事件などを経て、公金の使用の透明化に取り組んできた。その歴史をどうとらえているのか。
 「市長になる前のことで、話としてしか知らない。不幸な出来事だった。私も東京にいたが恥ずかしかった」

 ―今後も行き先を書かないつもりか。
 「今後のことは職員と相談し、対応も含めて工夫してみたい」

◎識者や市民団体、私はこう見る

 仙台市の梅原市長が使用したタクシーチケットで、行き先が記入されていないものが多数、見つかった。公金の使い方の透明性を確保するうえで、適切といえるのか。識者や市民団体の見方を聞いた。

<抜けない官僚体質/東北大大学院情報科学研究科・河村和徳准教授(政治学)
 15年前のゼネコン汚職や食糧費問題で徹底的にたたかれた仙台市や宮城県にとって、情報公開の大切さは分かり切ったこと。市民も公金の使い方に対して敏感になり、役所も「見られている」ということを強く意識するようになった。

 梅原市長はこの時期に東京で中央官僚として過ごした。市長になって出身地の仙台に戻っても一人だけ市民感覚や役所の変化に気付いていない「浦島太郎」のようなものだ。

 国土交通省のタクシーチケットのずさんな使い方が今になって問題になっていることからも明らかなように、住民との距離がある国は地方よりも改革の波が遅い。梅原市長は地方自治体の首長になって3年半近くになるが、中央官僚の体質が抜けていないようだ。

 「市長の仕事上、行き先を明らかにしないことはやむを得ない」というのが梅原市長の説明なら、それはそれでいい。ただ、それが政治家の発言として通用するかどうか、納得できる理由かどうかは有権者が判断することだ。

<トップ示しつかぬ/仙台市民オンブズマン・庫山恒輔元事務局長>
 市のタクシーチケットは公金。何の目的で、どこに行くのに使ったのかが市民が分からないような扱いは、公金の使い方として極めて不適切だ。使途不明金といえる。

 市長がいくら「公務で使った」と主張したとしても、行き先を説明できないのでは私的に使っていたり第三者に渡していたりする可能性を推測されても仕方がない。

 1990年代、仙台市と宮城県は中央官僚への官官接待などずさんな公費の使い方が常態化していた。われわれは情報公開請求で実態を明らかにし、役所も食糧費やタクシーチケットの使い方の改善に取り組んだ。

 梅原市長はそうした仙台の負の歴史を受け止めていないようだ。組織のトップとして示しがつかないし、市役所全体が公金をだらしなく使っていると見られかねない。行き先を書かせないままにしている市長の周囲もよくない。

 そもそも、梅原市長には専属の公用車が与えられているはず。こんなにタクシーを使う必要があるのか、疑問だ。
2008年11月28日金曜日

宮城

政治・行政



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