「明日の神話」:岡本太郎の巨大壁画、東京・渋谷で公開

設置作業が終わり、一般公開された岡本太郎の巨大壁画「明日の神話」=東京都渋谷区の「渋谷マークシティ」で2008年11月17日午後4時29分、佐々木順一撮影
設置作業が終わり、一般公開された岡本太郎の巨大壁画「明日の神話」=東京都渋谷区の「渋谷マークシティ」で2008年11月17日午後4時29分、佐々木順一撮影
岡本太郎の巨大壁画「明日の神話」が一般公開され、喜びを語る平野暁臣さん=東京都渋谷区の「渋谷マークシティ」で2008年11月17日午後4時18分、佐々木順一撮影
岡本太郎の巨大壁画「明日の神話」が一般公開され、喜びを語る平野暁臣さん=東京都渋谷区の「渋谷マークシティ」で2008年11月17日午後4時18分、佐々木順一撮影

 岡本太郎が約40年前に描いた巨大壁画「明日の神話」(縦5.5メートル、横30メートル)を、東京・渋谷駅前の複合ビル「渋谷マークシティ」の連絡通路に設置する工事が終わり、17日に一般公開された。

 除幕式を感無量で見届けた一人が、プロジェクトを統括した平野暁臣・岡本太郎記念館長(49)。太郎の秘書から養女になった岡本敏子さんのおいにあたる。「長い旅がようやく終わった」と3年前の春に思いをはせた。

 本業は空間メディアプロデューサー。川崎市岡本太郎美術館の空間構成を担当し、太郎の死後は、敏子さんの活動を後方支援した。

 その敏子さんが、メキシコで100片ほどに砕けていた「明日の神話」を確認したのは03年。翌年から日本へ移送して修復するプロジェクトが始動した。

 05年4月、平野さんはメキシコで梱包(こんぽう)を見届け「パーフェクト!」とEメールで記念館の同僚へ報告した。敏子さんは大喜びしたが、2日後、心不全のため急死した。

 平野さんには悲しむ暇もなかった。「後戻りできない。借金が残ることも頭をよぎりましたが、仲間には『全力で走りきる』と宣言しました。修復から設置場所の決定まで多くの方が手を差し伸べてくださった」と語る。

 幼かった平野さんには、太郎の鮮明な記憶がある。「彫刻をつくっていた太郎に話しかけたら、一生懸命に説明してくれました。子ども扱いしない態度がうれしかった」

 「明日の神話」は今後、新しい渋谷の待ち合わせスポットとして人々を刺激しそうだ。「若い人たちの野心や想像力を高める存在になってほしい」と願っている。【岸桂子】

毎日新聞 2008年11月17日 20時22分(最終更新 11月17日 20時30分)

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