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児童見守り活動の男が児童ポルノで逮捕、広がる戸惑い
- 社会
- 2008/11/24
横浜市瀬谷区で今月五日、会社員の男(59)が児童にわいせつなDVDを渡したとして、児童買春・ポルノ禁止法違反容疑(児童ポルノ提供の禁止)で瀬谷署に逮捕され、その後、起訴猶予処分で釈放される事件があった。男は小学校近くに住んで児童の見守り活動に自主的に取り組み、子供たちに親しまれていたという。子供が巻き込まれる事件が後を絶たない中、地域防犯の重要性を唱える意見は多い。だが、見ず知らずの他人の”善意”はどこまで信用できるのか。地域に戸惑いが広がっている。
県警や周辺住民の話などによると、男は小学校前のアパートに一人で暮らしており、約二年前から下校時の児童に「気を付けて帰るように」などと声を掛けてきた。その際、個人的に譲り受けた交通安全をPRするベストを着用していたが、地域防犯グループなどには所属していなかった。学校の多くの児童が男とは「顔見知り」で、一部の児童は夏休みにもアパート前まで遊びに行くなど親しまれていたという。
一方で、地域は複雑なまなざしを向けてもいた。近所に住む主婦(69)は「交通安全のベストを着ていたので学校や地域から見守り活動を任されている人と思っていた」。別の主婦(59)は「子供たちは(男に)なついているように見えたが、度を過ぎると危ないと思っていた」と表情を曇らせる。
防犯活動に取り組む女性(52)も、日が落ちるまで児童と一緒にいる男に「活動の範囲を超えている」と感じていたというが、「本当に児童を思っているのかもしれず、やめろとはいえなかった」という。
小学校の校長によると、一年ほど前にPTAから「心配だ」という声があり、警察に相談したこともあったという。だが校長は「(その時点では)子供たちにとっては”親切なおじさん”で、実害もなかった。ベストのことなど快くは思っていなかったが、個人の着る物に口も出せない」と、今回の事件に憤る。
小学校で放課後活動支援に携わる関係者は「昔から、そうやって子供たちを見てくれる人はいた。善意と悪意の線引きは難しく、複雑な気持ち。(男は)地域の、やっかいな存在なのかも」とつぶやいた。
十四日に釈放された男は神奈川新聞社の取材に対し「事故が起きないように子供たちを見守ってきたが、親しくなり過ぎてしまった。悪意はなかったが、結果的に迷惑を掛けた。もう活動はしない」と話した。
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