国の仙台合庁新築に分権委「待った」 論議に逆行、無神経国出先機関の統廃合が議論されている中、国の仙台第一地方合同庁舎(仙台市青葉区)で来春、大規模な増築工事が始まる。「増築」と称しているが、実際には総工費114億円を投じて高層ビルを新築する計画だ。政府の地方分権改革推進委員会は「地方分権に逆行する計画であり無神経」と批判している。建設を担当する東北地方整備局によると、第一合庁の西側に隣接するテニスコートと駐車場に地上20階、地下2階の高層ビルを建設する。延べ床面積は3万7000平方メートル。年明けに入札と契約を予定している。2009年春に着工し、11年度に完成する見通しだ。 高層ビルには、第一合庁から東北財務局、東北経済産業局、東北管区警察局が移転する。仙台市内の別の場所に庁舎を構える東北地方整備局も移る。 これらの出先機関は、災害対策基本法の指定地方行政機関になっており、高層ビルを「災害に即時対応できる防災拠点」(東北地方整備局)にしたい考えだ。 整備局庁舎は1954年度、第一合庁は65年度に、それぞれ完成。整備局庁舎では近年、耐震補強工事を繰り返してきた。 一般の公共施設に求められる耐震基準を満たしている第一合庁は、東北農政局や仙台国税局が引き続き使用する。 東北地方整備局営繕部は「(両庁舎は)われわれが求める高度な耐震性能に達していない。総合的に考えれば建て替えるのが適当」と説明している。 国の出先機関をめぐっては、麻生太郎首相が「地方整備局と農政局を統廃合する方向で検討を進めてほしい」と分権委に指示。分権委も第2次勧告に明記する方向で廃止方針を検討している。 この点について東北地方整備局は「粛々と進めるだけ」として計画通りの着工を強調した。 高層ビル建設計画は、26日に都内で開かれた分権委の会議でも取り上げられた。 作家で分権委員の猪瀬直樹・東京都副知事は「役人は選挙で選ばれていないから世論を気にしないのだろう。予算を消化することしか頭にないのではないか」と指摘。 さらに「今が計画通りに進めていくべき時期なのか。無神経だ。分権論議にも逆行する。(分権を求める世論への)嫌がらせにも映る」と語り、分権委で建設凍結を求めていくという。
2008年11月27日木曜日
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