自動小銃を構える武装集団の一人とみられる男=AP
テロで炎上するムンバイのホテル=AP
インド西部のムンバイで26日夜起きたテロの現場に集まる人々=ロイター
インドのムンバイで26日起きた無差別銃撃・爆破事件の現場に集まる通行人ら=ロイター
ムンバイのホテルから宿泊を救出する消防隊員=AP
襲撃された駅を警備する警察官=ロイター
【ニューデリー=小暮哲夫】インド西部の商都ムンバイで26日夜、中心部にある高級ホテルや鉄道駅など10カ所で武装集団による同時多発テロ事件があった。ロイター通信によると、銃の乱射や手投げ弾により日本人男性1人を含む101人が死亡(うち外国人が6人)、287人が負傷した。27日午前(日本時間同日午後)の段階で、犯人グループはまだ一部のホテルで宿泊客を人質に取っており、制圧されていない。
死亡した日本人は三井丸紅液化ガスの社員、津田尚志(ひさし)さん(38)。在ムンバイ総領事館などによると、繁華街にあるトライデントホテルのロビーで、胸や腹部に銃撃を受けたという。同僚の結束(けっそく)達也さん(44)は軽傷だった。2人は視察目的で出張し、現地に当日夕、到着したばかりだった。
襲撃の標的となったのは、人気の観光地インド門のすぐ近くにある高級ホテルやカフェ、病院、鉄道の駅など。
地元メディアによると、タージマハルホテルでは午後9時過ぎ、ロビーに複数の男らが乱入し銃を乱射。米国と英国のパスポートを持った客を探し回り、外国人を含む15人を人質に取った。
27日未明になって最上階付近で大きな爆発があり、館内に突入した警察や軍の部隊がテロ容疑者2人を射殺。地元メディアによると、その後も約100人の宿泊客が人質に取られていたが、全員解放されたとの情報もある。
一方、主要駅のチャトラパティ・シバジ・ターミナス駅では、2人組が突然、銃を乱射したうえ手投げ弾を投げつけ、10人が死亡。トライデントホテルでは武装集団がロビーで発砲した後、火災が発生。宿泊客らが人質に取られており、治安部隊が制圧に乗り出している。
犯行は、いずれも自動小銃や手投げ弾で武装した数人ごとの集団が、各地で一斉に起こしている。「デカン・ムジャヒディン(聖戦士)」と名乗る組織が地元メディアに犯行声明をメールで送りつけているが、前歴はなく、新しい組織の可能性もある。インドでは最近、イスラム系過激派によるテロが頻発しているが、仕掛けた爆弾によるテロが多く、無差別に乱射する今回の事件は異例だ。
治安当局は襲撃容疑者のうち、車で逃走を図った2人を含む4人を射殺し、9人を逮捕。会見をしたマハラシュトラ州のデシュムク首相は「武装集団は複数のボートで現場近くの海岸に乗り付けた。合計何人なのかは不明だ」と述べた。
州当局は市民らに屋内にとどまるように呼びかけ、市内の学校は臨時休校にした。ムンバイ証券取引所の株取引は終日停止される見通しだ。
ムンバイでは06年7月、イスラム過激派とみられる鉄道の連続爆破テロが起き、200人以上が死亡した。
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外務省領事局によると、27日午後1時現在、邦人が人質に取られているという情報はない。事件発生時にトライデントホテルには死傷した2人を含む10人の日本人がいたが、うち2人の安否が未確認。ムンバイ市内には在留邦人約270人と旅行者20〜30人が滞在していたと見られるが、約30人については安否の確認がとれていないという。