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企業と人材育成

2008年11月27日

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 これまでの円高圧力は我が国貿易収支の大幅黒字に起因するところが大きかった。最も代表的な輸出産業である自動車産業が円高を招いた、とも言うべき状況が続いてきた。その自動車も今回の金融危機の影響をまともに受けて、我が国の貿易収支は一転赤字である。それにもかかわらず円高は進行する。米国を始め諸外国が被るダメージを付け回されているようなものである。需要減に打たれ円高に打たれる輸出産業は大ピンチである。

 我が国製造業はこれまでにも幾多の難局に遭遇し、乗り越えてきた。寄せ来る円高は特にきつかった。各企業が頑張って強くなるほどに円高は進む。それは避けることのできない、いわば必然である。だが死ぬわけにはいかない。だから頑張る。そうやって異常なほどの競争力をつけてきた。それを可能にしてきたのは他でもない各企業の人材、労をいとわずひたすら企業発展のために尽くす勤勉な社員である。

 今回の事態を受けて採用内定取り消しの動きが出ている。その時々で激しく変動する場当たり的な採用策はその企業の将来に禍根を残す。我が国にあっては「部下を育てるのは上司の役割」であった。上司はごく当然のように部下を鍛え育てた。人が育ってこそ企業の将来はある。一時的にでも採用を抑えれば必ず若手を育てる層が不在になる時が来る。そして育てられた経験の無い人がいずれ上司になる時が来る。今でも年齢構成上の歪(ひず)みから人材育成が憂慮される企業は少なくない。我が国の最大の資源は人材である。厳しい状況に向かう時こそ人が財産であることを思うべきである。そして人の育つ土壌を次世代につなぐのは企業経営者の責任であることを。(啄木鳥)

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